【書評:1803冊目】書ける人だけが手にするもの(齋藤孝)

【短文時代からこそ活きる「長く書ける力」】
明治大学文学部教授・齋藤孝氏が、『書ける人だけが手にするもの』と題して、書く力は自分を知る力だと提起し、頭の中を自由に表現できるようになる文章術を指南する一冊。

■書籍の紹介文

文字数は原稿用紙3枚(テーマは自由)。
こう指示されて、あなたはすぐに文章を書けますか?

 

本書は、「書く力」=「自分を知る力」だと提起し、ちゃんと書く機会が減っている時代だからこそ身につけてほしい、おもったことを表現できるようになる文章術を指南する一冊。

 

文章を書くことで、目の前に「もうひとりの自分」が出現する。
日頃から文章を書いていると、このように感じる瞬間があります。

 

文字に起こしたものを、自分の目(視覚)で読んでみる。
自然と書かれた文字を客観視することができます。

 

文字に起こすのも自分、読むのも自分ですが、第三者的な視点をつくることができるのです。
すると、「あっ、こんなふうに捉えていたんだ」「この気持ちには気づいていなかった」などといった”気づき”が得られます。

 

これこそが、文章を書くことの醍醐味だとおもいます。
頭の中だけで完結して「こうだろう」と認識していたことが、書き出すことで「あれ?」「そうなの?」と修正されていく。

 

これをくり返すことで、わかっているようでわからない「自分」を知ることにつながります。
書く→読む→気づくのサイクルで、自分の内面が浮かび上がっていくわけです。

 

自分を知ることができれば、自分にとって心地よい人生を、自分自身で与えることができます。
著者は、そのためにも、ぜひ書く力を身につけてほしいと願い、本書を書きあげています。

 

ポイントは、「考える」タイミングを間違えないこと。
書くのが苦手な人ほど、「考える」→「書く」の順で捉えています。

 

ではなく、「書く」→「読む」→「気づく」→「考える」の順で捉えるのです。
つまり、書いたものを読んで、気づいたことを叩き台にしてはじめて「考える」ということです。

 

先頭に「考える」をもってきてしまうと、「どうしよう?」「大丈夫かな?」と頭の中で堂々巡りになります。
これでは、いつまでたっても自分の内面を知るための突破口がみつかりません。

 

まずは、いま頭の中に浮かんでいることを、考えずに手が動くままに書き出してみる。
あとは、整理したり、並べ替えたり、膨らませたり、するだけでまとまった文章に仕上がり、内面を知る立派な突破口になるのです。

 

よく言われる、「考えてから行動するな!行動しながら考えろ!」とまったく同じ構図です。
書きながら考えることが身につくと、文章を書く手が止まらなくなります。

 

◆考えるな!書いて考えろ!

書ける人だけが手にするもの
齋藤孝 SBクリエイティブ 2022-1-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「書くことで自分の考えがはっきりする」というのが、文章を書くことの最大のリターンではないかと思うのです。

 

文章を書くというのは、自分の内側にあるものを文章という目に見えるかたちにアウトプットするというプロセスです。
このプロセスそのものが、実は思考を深める行為でもあるのです。

 

●「話すように書く」3つのステップ
ステップ1:好きな本を読み、キーワードをピックアップする
ステップ2:読んだ感想を人に話す
ステップ3:話した内容をもとに書いてみる

 

「?」のフックで、最終的には「!」を引っかけてくれば、実に歯切れがよく、読みごたえのある文章になるのです。

 

どんなに身近なことでも、まずは「?」を探そうとする目で物事を見つめることが、そのまま文章を書く力、そして読ませる力につながっていくのです。

 

概念とは、物事を見るための視点を与えてくれるものなのです。
その視点をもって物事を見ることで、思考の幅も選択肢も広がっていくきっかけを与えてくれるものともいえるでしょう。

 

「自分が書きたいネタがどこかにあるはず。どこにあるだろうか」という素直な目で世の中を見渡してみれば、自然と「書きたいこと」が向こうから飛び込んできてくれるのです。

 

書きたいことが決まったら、次に必要なのは、自分がもっている材料を整理するという作業です。
テーマをもとにすぐに執筆に取りかかるのではなく、文章を書くために使える材料をまずは「列挙してみる」のです。

 

箇条書きをした時点では、書くための材料たちが脈略なく並んでいます。
今回、文章にしたいこととはあまり関係ないことも混ざっているかもしれません。
そこで、一つひとつの材料を吟味しながら必要な材料だけをピックアップし、筋道を立てながら並べ替えてみるのです。

 

「私の勘違いかもしれませんが、まあ、とりあえず読んでみてくださいよ」というくらいに開き直って、自由に書いてみたらいいと思うのです。

 

語彙力は「書くこと」によって磨かれます。

 

発信することの快感は、発信することの恐怖をはるかに凌駕するのです。

 

書くことを身につけることで得られる最大のものとは何でしょうか。
それは、「認識力が磨かれること」だと私は考えています。

 

引用できるところを見つけるつもりで読書をする。

 

リズムのいい文章を書けるようになるためには、やはり先人たちの残したリズムのいい文章に多く触れていく必要があります。
それも、ただ目で追って読むのではなく、声に出して読む「音読」をやってみてほしいと思います。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1803-1】書く材料となる「?」がないかと、周囲を観察する癖をつける

【1803-2】【1】で見つけたら「?」に対して思うことをどんどん書き出す

【1803-3】【2】で書き出したものを整理して文章にしたら、開き直って発信する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】書ける人だけが手にするもの
【著者名】齋藤孝
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2022/1/6
オススメ度★★★☆☆
こんな時に書く力を身につけたいときに
キーワード文章力情報発信ことばのチカラ
【頁 数】224ページ
【目 次】
序章 話すように書けば、原稿用紙10枚書ける
第1章 文章の書き方には「型」がある
第2章 文章は準備が9割
第3章 迷わず書ける処方箋
第4章 「読む」ことで「書ける人」に生まれ変わる

 

この本が、あなたを変える!

書ける人だけが手にするもの
齋藤孝 SBクリエイティブ 2022-1-6
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齋藤孝さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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