【書評:1740冊目】新しい地域ネットワークの教科書(伊藤幹夫)

【孤独と孤立を間違えてはいけない!】
地域ネットワークの専門家・伊藤幹夫氏が、『新しい地域ネットワークの教科書』と題して、日本人にもっとも身近なコミュニティである”ご近所”が持つパワーと可能性を語る一冊。

■書籍の紹介文

隣近所に住んでいる人のこと。
あなたはどこまで知っていますか?

 

本書は、”ご近所”という場所が持つパワーと可能性を示しながら、「はじめの一歩」となる変化を起こすための具体的な活動方法を指南する一冊。

 

”ご近所”。
当たり前過ぎて、きちんと考えたこともなかった自分にまずはビックリしました。

 

改めて、”ご近所”を見渡すといかがでしょうか。
お隣にどんな人が住んでいて、どのような家族構成かなどの情報って意外と把握していないなとおもいませんか。

 

このことが、いかに勿体ないことであり、人生の可能性(選択肢)を狭めているかを示す一冊です。
町内会の運営テクニックとか、そんな表面的ではない、もっと根源的な話を聴ける内容になっています。

 

◎孤独と孤立の定義が不明確なままになっている
◎”ふれあい”のもつ可能性を軽視している

 

こういった言葉の数々に、日頃の姿勢を質されているような感覚さえ覚えます。
また、ご近所との交流が希薄なのは、社会のせいでもご近所のせいでもなく、自分のメンタルに起因している可能性があることを学べます。

 

この視点を得られることが、本書を読む最大の価値です。
自分に原因があるかもと分かれば、対策ができるからです。

 

自分のことは、自分でコントロールすることができます。
少しずつでも自分が変わっていければ、”ご近所”に対して見える景色も変化していきます。

 

そして、その変化を”ご近所”にも広めていくことで、社会全体が変わっていく。
その流れをつくる「はじめの一歩」になればという著者の強い想いを感じられる一冊です。

 

「お陰様」「ご縁」「お互い様」・・・。
こうした日本人がもつ素晴らしい言葉達を、ただ使うだけではなく、体現する人間でありたいですね。

 

◆”ご近所”を豊かに。

新しい地域ネットワークの教科書
伊藤幹夫 あさ出版 2021-10-16
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■【要約】15個の抜粋ポイント

ご近所の中に、私たちの家があることで、私たち自身や家族の生き方、学び方、働き方について考えることができる。
さらに、共助に向き合うことで、自然に道徳心や公共心が育まれる。
つまり、ご近所は世代問わず、人間成長の場といえるのです。

 

話し合う前に必要不可欠なのが「共通言語」です。

 

ご近所の問題を話し合う上で、最初に必要な共通言語が、ご近所のありたい姿です。
まずはそれを話し合い、共有してから課題に取り組まないと、前には進めません。

 

核家族化や個人主義の影響で、ご近所とのつきあいを避ける人が増えています。
しかし、ご近所を「自分ごと」として捉えることで、今以上の、学びがあり楽しみがあり、未来につながるのです。

 

世帯状況を把握するという大きな壁を突破できた要因は、大きく次の3つのポイントにあったと考えています。
(1)個人情報共有の3つの同意
(2)戸別訪問
(3)避難行動要支援者名簿の活用

 

まずお互いに相手に敬意を払い、しっかりと相手の意見に耳を傾けることからはじめてみましょう。
特に、私たち自身の考えやアイデアがある場合は要注意です。
「こうあるべき」という意識が強い分、無意識のうちに相手の言葉をさえぎっていることがよくあります。

 

孤独を美化するという「誤解」が生まれる理由は、次の3点にあると考えています。
(1)孤独と孤立の違い(言葉の定義)が不明確であること
(2)「弱い(ゆるい・かるい)つながり」の効用を理解・想像できていないこと
(3)孤独が私たちの精神的・肉体的健康に与えるマイナスの影響を軽視していること
まず、ご近所での「弱い(ゆるい・かるい)つながり」をみんなで育んでいきましょう。

 

「今のまま」に加えて、「さらに選択肢を増やす」「その選択肢を少し試してみる」と考えれば、現状を劇的に変化することなく、未来の変化に対応できる。

 

「行政の限界」を考えることは、行政と住民主体との住み分け(線引き)について、お互いに共通認識を持つことにつながります。
そのためには、行政側も、今ある仕組みについて、より積極的に、かつ地域住民にわかりやすく、現状の課題も含め、情報発信していく必要があります。

 

「相手を感じ取り、必要な時には助けるが、おせっかいはしない。助けてもらうことはあるが依存しない」
支え合いや助け合いを考える時には、いつもこの言葉が頭に浮かんできます。

 

まず、小さくすぐに簡単に「はじめの一歩」を踏み出すことが大切。
動き出したら、新しい景色と課題がどんどん見えてきます。

 

大切なことは、2つあります。
1つは、どう議論や活動(試行錯誤含め)を引き継いでいくか。
「引き継ぎ力」がないと新しい活動が継続できず、形骸化・自然消滅してしまいます。
もう1つは、町内会は選択肢の1つに過ぎないことを理解して、町内会とは別の「有志のチーム」の立ち上げを促し、支援していくことです。

 

災害時のご近所の自助と共助より、会社への出社や業務を優先する私たちのメンタルモデルも変えていく必要があります。

 

目の前のご近所の「1割の壁」に試行錯誤でくりかえし向き合うことは、地域社会、日本、そして世界へと、バタフライ効果を起こすことに将来つながっていくと考えると、少しワクワクしませんか。

 

●若者世代への3つのメッセージ
(1)昭和の価値観をばかにしない
(2)アナログをばかにしない
(3)前期高齢と後期高齢の違いを、しっかり理解する

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1740-1】話し合う時は、互いに理解できる「共通言語」を意識する

【1740-2】ご近所さんと挨拶を交わすようにする

【1740-3】異なる世代と会話する機会をつくる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】新しい地域ネットワークの教科書
【著者名】伊藤幹夫
出版社あさ出版
【出版日】2021/10/16
オススメ度★★★☆☆
こんな時に社会貢献を考えるきっかけに
キーワード社会自分事人間関係
【頁 数】250ページ
【目 次】
第1章 「現状」と「ありたい姿」を共有する
第2章 地域共生社会をイメージする
第3章 ご近所の共助を「自分ごと化」する
第4章 変化を起こす「考え方」「心構え」に向き合う
第5章 最大の壁「メンタルモデル」に向き合う
第6章 日本人について考える
第7章 行政の限界と住民主体について考える
第8章 地域の活動に共通する難問を解決する
第9章 ご近所の共助が日本の未来をひらく

 

この本が、あなたを変える!

新しい地域ネットワークの教科書
伊藤幹夫 あさ出版 2021-10-16
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伊藤幹夫さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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