【書評:1679冊目】読んでいない本について堂々と語る方法(ピエール・バイヤール)

【「読む」が変わる!】
パリ第八大学教授/ピエール・バイヤール氏が、『読んでいない本について堂々と語る方法』と題して、知識人がいかに「読んだふり」をしていたかを示しながら、本と向き合う方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

読んでいない本についてコメントする。
あなたはできますか?

 

本書は、コツさえ押さえれば、読んでいない本について堂々と語れると提起し、知識人のエピソードを事例にしながら、本と向き合う方法を指南する一冊。

 

<共有図書館>と<内なる書物>。
この2つの概念に、とても大きな衝撃を受けます。

 

この2つの概念を理解できれば、納得できます。
「読んでいない本について堂々と語ること」が可能ということに。

 

と同時に、なんのために本を読むのか。
この問いへの自分なりの答え探しにも、光が射したように感じる一冊です。

 

読書のステージが上がる。
そういっても過言ではありません。

 

本を読む人ほど、”読む価値”がより高まる。
その扉を開けてください。

 

◆くり返し読みたい本。

読んでいない本について堂々と語る方法
ピエール・バイヤール 筑摩書房 2016-10-6
売上ランキング(公開時):13,500
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■【要約】15個の抜粋ポイント

どれほど熱心な読書家であっても、存在するすべての書物のほんの一部しか読むことはできない。
したがって、話すことも書くことも一切しないというのでないかぎり、つねに読んだことのない本について語らされる可能性があるのである。

 

読む行為はつねに「読まない行為」を裏に隠しているのだ。
「読まない行為」は意識されないが、われわれはそれをつうじて別の人生では読んだかもしれないすべての本から目を背けているのである。

 

一冊の本は、われわれの視界に入ってきた瞬間から未知の本ではなくなる。
その本に関して何も知らなくても、それについて夢想することも、議論することもできる。
教養ある、好奇心旺盛な人間なら、本を開く前から、タイトルやカバーにちょっと目をやるだけで、さまざまなイメージや印象が沸き起こるはずである。

 

教養とは、書物を<共有図書館>のなかに位置づける能力であると同時に、個々の書物の内部で自己の位置を知る能力である。
この二重の方向づけの理論からいえることは、一冊の本について何らかの考えをいだき、それを表現するのに、その本を手にしている必要はないということだ。

 

読書を始めた瞬間から、抗いがたい忘却のプロセスが起動するのである。

 

書物について語るときに自分が正確にどのような立場にいるのかを分析することは、読んだことのない書物に関するわれわれの考察には欠かせないエレメントである。

 

書物の書き手が探求し、形にしようと努めるのも、その書き手の<内なる書物>だといえるかもしれない。

 

読者がいくら自分の<内なる書物>を作家のそれに重ね合わせようとしても、作家がそれを自分のものと認めることはまずないのである。

 

<内なる書物>は誰にも伝えられないし、いかなる書物に重ね合わせることもできない。
なぜならそれは、われわれを絶対的に単独化するものであり、われわれの内部にあって、いかなる表面的な合意からも隔てられた、伝達不可能生そのものだからである。

 

作家は自分の本についての要約や詳しいコメントなどまったく期待していない。
それはむしろしないほうがいい。
作家がもっぱら望んでいるのは、作品が気に入ったと、できるだけあいまいな表現で言ってもらうことなのである。

 

しかじかの本を読んでいないとはっきり認めつつ、それでもその本について意見を述べるというこの態度は、広く推奨されてしかるべきである。

 

書物から抽出され、手直しされた抜粋によって、われわれの人格に欠けている要素を補い、われわれが抱えている裂け目を塞ぐ、そうした役割を果すのである。

 

ルストーは、申し分ないと思っている本をこき下ろす方法を伝授する。
それにはまず「本当」のことを述べ、作品を褒めなければならない。
このように冒頭で好意的な批評にふれ、信頼感をいだかされることで、読者は批評家を公平だと判断し、その先を読んでもいいと思うのである。

 

批評家にコメントされる作品は、したがって、まったくつまらないものであってもかまわない。
だからといって批評ができないわけではないのである。
というのも、作品は口実にすぎないからだ。

 

良い読者は、書物の各々が自分自身の一部をかかえもっており、もし書物そのものに足を止めてしまわない賢明さをもち合わせていれば、その自分自身に道を開いてくれるということを知っているのだ。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1679-1】タイトルやカバーから、本の内容を想像してみる

【1679-2】本棚を、図書館のように分類して並べてみる

【1679-3】自分がどのあたりに位置するかを考えながら読む

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】読んでいない本について堂々と語る方法
【著者名】ピエール・バイヤール
出版社筑摩書房
【出版日】2016/10/6
オススメ度★★★★★
こんな時に読む力を身につけたいときに
キーワード読書術教養思考
【頁 数】300ページ
【目 次】
1 未読の諸段階(「読んでいない」にも色々あって…)
2 どんな状況でコメントするのか
3 心がまえ

 

この本が、あなたを変える!

読んでいない本について堂々と語る方法
ピエール・バイヤール 筑摩書房 2016-10-6
売上ランキング(公開時):13,500
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ピエール・バイヤールさん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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