【書評:1638冊目】「勘違い」を科学的に使えば武器になる(堀田秀吾)

【勘違いを乗り越える伝え方!】
明治大学教授・堀田秀吾氏が、『「勘違い」を科学的に使えば武器になる』と題して、バイアスから人が受ける影響を示しながら、バイアスを味方にするコミュニケーションを解説する一冊。

■書籍の紹介文

どうにもかみ合わない…。
人付き合いで、このように感じることはありませんか?

 

本書は、錯覚や歪みを指す「バイアス」は、誰もが持ち、決して取り除くことはできないと提起し、「バイアス」をうまく味方にするコミュニケーションを解説する一冊。

 

『そっか、「違い(間違い)」じゃなくて、「”勘”違い」なんだ。』
読み進めていくうちに、フッと、こんなことを考えてしまいました。

 

「違い(間違い)」と捉えると、どちらが正しいかという二元論に陥ってしまいます。
人間関係は、殺伐としたものとなるでしょう。

 

一方、「”勘”違い」と捉えると、相違点があっても「そんなものだよね」とおもえます。
人間関係は、相違点があっても過剰な反応をせず、穏やかに向き合うことができるでしょう。

 

この”勘”につうじる部分こそ、「バイアス(錯覚、歪み)」です。
齟齬や誤解からくる人間関係のトラブルには、必ずといっていいほど「バイアス」の罠が潜んでいるといいます。

 

「”勘”違い」ならぬ「”バイアス”違い」によって、「かみ合わない」「通じない」「なぜ?」が引き起こされるのです。
そのメカニズムと、いかに人が影響を受けているかを学べるのが、本書です。

 

おそらく、あまりにも「バイアス」に支配されている人間の姿に嫌気が差すとおもいます。
と同時に、「バイアスから決して逃れられない」という著者の指摘を受け入れざるを得ないという気持ちにさせられます。

 

逃れられないなら、どう折り合いをつけるかを考えなければなりません。
この点をくわしく分厚く解説してくれているので、とても学習意欲を駆り立てられます。

 

「バイアス」からいかに影響を受けているかを認識できるようになる。
すると、相手がどういう「バイアス」にかかっているのかをおおよそ把握できるようになります。

 

その先に、齟齬や誤解からくる人間関係のトラブルを回避できる道がひらけます。
結果、ビジネスでもプライベートでも楽しくコミュニケーションが取れて、充実した日々が実現するのです。

 

自分がどんな「バイアス」にかかっているかを探しながら…。
「バイアス」とうまくつき合う方法を身につけましょう!

 

◆「バイアス」を味方に。

「勘違い」を科学的に使えば武器になる
堀田秀吾 秀和システム 2020-3-20
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■【要約】15個の抜粋ポイント

現実的には「自分や相手の基準を絶対視しない」ことができれば十分でしょう。
私たちは、自分自身や、家族や身近な人がいう「普通」が、普遍的な普通だと考えてしまいがちなので、自分を疑う視点を持ったほうがいいのです。

 

だから、自分や他人の「普通」を当たり前だと思いすぎない、という自戒の念も込めて、話半分に聞くくらいがちょうどいいのです。

 

私たちはみなバイアスまみれで、それぞれが違うパラレルワールドに生きているようなものです。
ですから、コミュニケーションが成立しなかったときは、その理由を相手のせいにせず「もしかしたら自分が勘違いしているのかもしれない」と考えてみることが重要です。

 

多くの方が、他国の文化のあり方を尊重していると思います。
同様に、同じ国民同士でも、個人個人がお互いの「世界」「文化」を持っているわけですから、それらを尊重し合うことが大切です。

 

相手の懐に入り込むためには、やはり相手が関心を抱くような情報を持っている人が強いのは間違いありません。
でも、1つだけ忘れないでほしいのは、目的はあくまでも人づき合いを良好にすることです。

 

「勘違い」とは、ある物事について、一方的に決めつけることで起きます。
科学的証拠についても一緒です。
ですから、村上春樹さんの小説に出てきそうな次のフレーズのように、柔軟な態度で科学に接することが大切です。
「僕はAだと思う。でも、Bかもしれないし、もしかしたら、そのどちらでもないのかもしれない(やれやれ)」

 

私は、グーグル社の造語「E-A-T」を意識することをおススメします。
①Expertise(専門性がある)
②Authoritativeness(権威がある)
③Trustworthiness(信頼できる)
この3つのイニシャル「E-A-T」は、信頼に足る高品質なコンテンツに求められる要素を表しています。

 

真の「平均」と同じように、真の「客観」は、たくさんの人の主観を集約して、初めて姿を表すものです。
(略)
だからこそ、発言者が誰かということにあまりとらわれすぎずに、意見の内容そのものにきちんと向き合うことが大切です。

 

自分の思う自分自身の性格って、それほど確かで動かないものでしょうか?
もし、そう考えているとしたら、それは立派なバイアスです。

 

女性が、社会的権力を持っている層の口調(パワー・スピーチ)で証言をすると、評価や信憑性が顕著に上がります。
しかし、男性が、社会的弱者層の口調(パワーレス・スピーチ)で話すと、評価が極端に下がるという実験結果が出ているのです。
これは、もともと高い社会層の話し方が男性的で、低い社会層の話し方が女性的だという、ステレオタイプが根づいているために起こる現象だと分析されています。
つまり「男は強くあるべき」と思う人から見ると、しなやかな話し方をする男性は、自信がなさげに映って評価が低くなるのです。

 

たくさん質問してもらったほうが自分のことを知ってもらえるために嬉しく感じ、相手に好意を抱くのです。
権力者でも同じことです。
人間、結局は誰もが「かまってちゃん」なのです。

 

わかってくれない人には過度な期待をせず、必要な要素は全部ことばにするくらいの意識で、情報量多めの会話を意識してください。

 

ツイッターで、自分と近しい考え方の人ばかりをフォローしていると、タイムラインには自分と同じ意見がどんどん目に入ってきます。
そうなると、自分の考えに対する確信が深まっていき、ほかの意見が目に入らなくなりがちです。
このように「好み」で情報源の取捨選択をしていることが、バイアスを強化してしまうのです。

 

「そうですね」という言葉は非常に便利です。
考えを整理し、コメントを考えるための時間をつくり出すだけでなく、相手の発言に共感を示す効果もあるからです。

 

三人称で自分を語るだけで自分を客観視でき、感情を抑えられるというわけです。
ある意味「三人称」の語彙が持つバイアスを、うまく利用した感情のコントロール法です。
ふだんから客観的な自分語りを積極的にやってみることで、より心穏やかに、他人との衝突を避ける生活ができるようになるでしょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1638-1】自分や相手の基準を絶対視しない

【1638-2】信頼に足るコンテンツかを「E-A-T」で判断する

【1638-3】三人称で自分を語ることを意識する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】「勘違い」を科学的に使えば武器になる
【著者名】堀田秀吾著者情報
出版社秀和システム
【出版日】2020/3/20
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日の人間関係を良くしたいときに
キーワード心理学話し方人間関係
【頁 数】240ページ
【目 次】
第1章 バイアスの使い方を知って「負けない」武器としよう
第2章 科学への関心と疑念が仲間をつくり、敵を遠ざける
第3章 言語学を駆使すれば騙されない、勘違いされない
第4章 バンプ・オブ・チキン(弱者の一撃)を食らわせよう!
第5章 相手の勘違いや思い込みをゼロにする「神の伝え方」

 

この本が、あなたを変える!

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堀田秀吾さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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