【書評:391冊目】だから日本はズレている(古市憲寿)

【全体がズレているから力を発揮できない日本?】
社会学者・古市憲寿氏が、『だから日本はズレている』と題して、優れているのに大事な場面で「ズレ」てしまう日本を憂いながら、この国の向かう先を考察する一冊。

■書籍の紹介文

なんか論点ズレてない?
そんなニュースに触れた機会はありませんか。

 

本書は、「ズレ」をキーワードに、日本社会が抱える問題点をさまざまな角度からあぶり出して考察する一冊。

 

問題は、日々たくさん発生します。
これ自体は至って正常なことです。

 

重要なのは、どこに着眼点を置くかです。
ここが「ズレ」てしまうと、問題解決策も含めてすべてが「ズレ」たまま進んでしまいます。

 

それほど、「ズレ」は怖いものなのです。
にも関わらず、世の中には「ズレ」たものが数多く存在します。

 

◎実態に合わない家族構成で描かれるマイホームのCM
◎どう感じるかは相手次第なのに、「クール・ジャパン」とクールを押し付けるネーミング
◎マイナンバー制度の低普及率

 

このような身近なテーマを題材に、いかに日本社会が「ズレ」ているのかを炙り出していきます。
「ズレ」を認識することで、そこに思考が働き、自分の考えというものが浮かぶとおもいます。

 

ぜひ、それを大切にしていただき、発信したり議論したりと伝播していきましょう。
「ズレ」を修正し、日本をよりよい社会にしていくために。

 

◆オススメな一冊。

だから日本はズレている
古市憲寿 新潮社 2014-4-17
売上ランキング(公開時):ー
Amazon Kindle 楽天

■【要約】15個の抜粋ポイント

優秀な人材と巨額の予算が投入されたはずのプロジェクトなのに、どう考えても頑張りどころが違う。
消費者のことを必死に考えていたはずなのに、誰も欲しがっていないようなサービスを生み出してしまう。
そんな日本の中の様々な「ズレ」の正体を本書では明らかにしていきたい。

 

失敗例を無視して、成功例ばかりが注目されてしまうことを「生存バイアス」という。
トップダウンによって大失敗した企業もたくさんあるはずなのに、メディアが注目するのは成功した事例ばかり。
実際はまぐれ当たりだったかも知れないのに、「トップダウンは良いものだ」と安易に思われてしまうのだ。
本当にトップダウンが成功の秘訣ならば、ジョブズが何度も会社をつぶしかけている理由をどう説明したらいいのだろうか。

 

日本には「強いリーダー」や「真のリーダー」がいないと言われる。
それは別に嘆くことではなくて、むしろ喜ぶべきことだろう。
強いリーダーがいなくても大丈夫なくらい、豊かで安定した社会を築き上げてきたことを誇ればいい。

 

日本といえばアニメという発想が安直すぎる。
なによりも、ドラえもんや嵐も、日本国内では絶大な知名度を誇るが、東アジアの一部を除いて、国際的に人気があるわけではない。
要するに、それが「誰に向けた、何のための発信なのか」というマーケティングと効果測定の視点が皆無なのである。
「クールジャパン立国宣言」も同様だ。
何がクールかはその受容者が決めるのであって、日本が押し付けることではない。

 

幸せそうなパパとママ、そして子ども一人とペット一匹。
最近の国勢調査によれば、30歳時点での未婚率は男性で53%、女性41%だ。
また、アラサー(25〜34歳)が世帯主の501万世帯のうち、「夫婦と子どもからなる世帯」は35%にあたる177万世帯しか存在しない。
パナソニックが想像するような「アラサー」はもはや多数派などではない。
いかにパナソニックの頭が昭和のままか、ということがわかる。

 

人間は一人では生きられない。
人が集団で生きていくためには、お互いの情報を認識していないとならない。
人と監視は切っても切り離せない縁にあるのだ。
その意味で、人類はずっと互いを監視し、監視され生きてきた。

 

社会は突然には変わらない。
昨日までに構築されてきた膨大な遺産を引き継がないとならないからだ。
マイナンバー制度が始まったとして、もくろみ通りの運用ができるまでには莫大な費用と、途方もない月日がかかるだろう。

 

技術を運用するのは他でもない人間なのだ。

 

歴史は「たった一つの真実」として記述するのが非常に難しい。

 

●炎上を避ける六つの方法
(1)ネガティブな話をしない
(2)差別的な発言をしない
(3)犯罪を肯定するようなことは言わない
(4)批判は慎重に
(5)話し相手を錯覚しない
(6)他人に関わるコメントは根拠と説明を十分に

 

「社会人」も「入社式」同様、日本に独特な概念である。
しかもこの二つが結びついてしまったところに日本の特殊性がある。
入社式という儀式を経て会社員になることが、「社会人」であることと同義になる。
翻って、入社式が準備されないようなフリーターたちは「社会人」ではないと見なされ、社会保障など待遇の面でも「社会人」とは差を付けられる。
まさに入社式とい儀式が、「社会」に入れるか入れないかの通過儀礼としての機能を果たしてしまっているのである。

 

「安定」を得るためには、差し出すべき代償がある。
「自由」だ。

 

成功者には「能力」がある。
敗者には「能力」がない。
その「能力」は誰もが努力によって身につけることができる。
だから「能力」によって地位や収入に差が出るのは当然である。
それが、この社会の「お約束」だ。

 

若者にとって貧困とは、未来の問題だ。
20代のうちは体も健康だし、親も元気な場合が多いし、世代内収入格差も少ない。
しかし、40代、50代ともなれば自分の体も弱るし、親も老いてくる。
同世代でも「成功者」と「落伍者」がはっきり分かれる。
日本においてもし今後、本格的なデモや社会運動が起こるとしたら数十年後だろう。
現在は消費者として元気な団塊の世代がいなくなり、モノを買う人もいなくなる。
その頃にはフリーター第一世代が高齢者になっている。
彼らは生涯未婚者も多く、きょうだいの数も少ないから、本当の意味で「単身高齢者」が急増してしまうのだ。

 

人は、今いる場所を疑わなくなった瞬間に誰もが「おじさん」になる。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【391-1】常に「本当にそうなのか?」と疑問に思い、考える癖をつける

【391-2】今いる場所は本当に自分のいるところか?を常に自問する

【391-3】新聞者のニュースを読んで世の中の流れを把握する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】だから日本はズレている
【著者名】古市憲寿
出版社新潮社
【出版日】2014/4/17
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード社会問題解決考える
【頁 数】237ページ
【目 次】
「リーダー」なんていらない
「クール・ジャパン」を誰も知らない
「ポエム」じゃ国は変えられない
「テクノロジー」だけで未来は来ない
「ソーシャル」に期待しすぎるな
「就活カースト」からは逃れられない
「新社会人」の悪口を言うな
「ノマド」はただの脱サラである
やっぱり「学歴」は大切だ
「若者」に社会は変えられない
闘わなくても「革命」は起こせる
このままでは「2040年の日本」はこうなる

 

この本が、あなたを変える!

だから日本はズレている
古市憲寿 新潮社 2014-4-17
売上ランキング(公開時):ー
Amazon Kindle 楽天

古市憲寿さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

■お知らせ

■【仲間大募集中!】101年倶楽部■
書評ブロガーの読書術を教えていきます。
読書の質を高めたい方は、ぜひご参加下さい!

■応援お願いします!■

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

関連記事

コメントは利用できません。

ページ上部へ戻る