【書評:2066冊目】思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?(深沢真太郎)

【言いたいことをきちんと伝えられる喜び】
ビジネス数学教育家・深沢真太郎氏が、『思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?』と題して、思いつきや直感を、自分の意見として論理的に伝える方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

自分の意見を伝えるのが”怖い”。
そんなふうに思った経験はありませんか?

 

本書は、思いつきや直感も、根拠と論理的な組み立てを加えることでしっかりとした「意見」にできると提起し、「意見」へ仕上げるために必要な技術をストーリー形式で指南する一冊。

 

(この方法ならいけると思うんだけどな)
(次の商品企画はこれでイケるでしょ、トレンドもおさえたし)

 

仕事をしていると、こうした”思いつき”がよく浮かびます。
そして、浮かんだ勢いのまま上司や同僚に伝えると・・・・。

 

「なんで?」「理由は?」「根拠は?」と、矢の如き言葉の雨にあい意気消沈。
これを何度か経験するうちに、なにかを思いついても「伝えるのが”怖い”」とおもってしまい、発言しなくなってしまう。

 

似たような苦い経験をされた方も多いのではないでしょうか。
わたしもイヤ〜な記憶をいくつか思い出しました。。。

 

こうしたことが、「誰か意見のある者は?」→(シーン・・・)という残念な会議を生み出しているのかもしれませんね。
しかし、これを「あるある」と愚痴のネタにしても先はありません。

 

せっかく浮かんだ思いつきや直感は、議論の種になる可能性を秘めています。
うまく皆んなで育てることで、次のヒット作、苦境脱出への解決策、になるやもしれないのです。

 

そのためにも、降り注ぐ矢に負けず、相手にしっかり伝える勇気をもつ必要があります。
ここで大きな力を発揮するのが、本書が説く「論理的に説明する技術」です。

 

思いつきや直感のままでは、矢に負けてしまいます。
やるべきことは、思いつきや直感を「意見」に変換させることです。

 

そこで必要になるのが、「根拠を集めること」と「論理的に整理して組み立てること」の2つです。
思いつきや直感に、この2つを加えることで、あなただけの「意見」になります。

 

すると、矢に跳ね返されていた思いつきや直感が、しっかりと相手に届くようになるのです。
もちろん、「意見」が採用されるかどうかは別の話です。

 

ですが、少なくても「自分の意見を聞いてもらえた」「伝えたいことを聞いてくれた」という状態になれます。
これって、小さいことのようですが、ものすごく嬉しいことですよね。

 

目線も合わせず、「根拠は?」「理由は?」といって”聞いてくれなかった”あの上司が、聞いてくれるわけですから。
本書をきっかけに、「伝えられる喜び」「聞いてもらえる喜び」を手に入れてみてください。

 

◆オススメ!

思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?
深沢真太郎 日本実業出版社 2023-9-29
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■【要約】15個の抜粋ポイント

●「意見が言えない」2つのケース
ケース1:そもそも自分の考えがない
ケース2:自分の考えはあるが、それをうまく表現できない

 

「伝えられない苦しさがあるように、理解してあげられない切なさもあることを忘れないでくれ」

 

「でもね、数学って”根拠を揃えて説明すること”なのよ。ひとことで言えば、数学とは説明なの!」

 

「(自分の意見を言うという行為は)”1ー3ー2”、つまり1つの意見は3つの塊と2つの矢印でできています。前提→主張→根拠。」

 

「自分が意見を言うときに、その前提が相手と違うといい結果にならない。だから、まずは自分の考える前提を相手と共有しておく必要がある」

 

「相手と前提を揃えることは、意見を言う側の不安を取り除くことになるのか・・・不安が取り除かれるから、自信を持って意見を言いやすくなるんだ」

 

「”裏付け”というものは、比較を用いてつくるものということなの。そういう意味で、根拠とは比較なのよ」

 

●経営者が会話で使う数値TOP3
第1位:カネ(金)
第2位:ジカン(時間)
第3位:ヒト(人)

 

「エモい言葉を使って伝えると、相手は事実の認識以外に”感慨”ってやつを持つんだ。そして、その”感慨”ってやつが生まれたときが”伝わる”ってことなんだ」

 

いくら裏付けとして正確な数値をたくさん並べたところで、その意見を聞いてもらう相手の実感が伴うものでなければ意味がない。

 

「それが具体例と呼ばれるものの正体よ。何か主張があったとき、それと表面上は違うけれど構造的に同じものを用意するの。構造的に同じだと、それがうまくいったのなら、もう一方もうまくいくという説明になるし、それが事実なら、もう一方も事実のように受け止めてもらえる。そういうことじゃないかしら」

 

「”例えば”という言葉の数だけ”伝わる”も増えるってことだな」

 

「違う人間だから意見が異なること自体は問題ではない。」

 

その内容が正しいかどうか、実際に同意してもらえるか、仕事に反映されるかはあまり重要ではありません。
まずは「あなたの考えはわかった」と受け入れてもらえること。
それがとてもうれしいことだと実感していました。

 

人間同士が思っていることを言葉にし、交わし合ったからこそ良質なものは生まれる。
これは普遍の真理でしょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2066-1】前提→主張→根拠を意識して意見を組み立てる

【2066-2】なんでも図解して(構造化して)考えるクセをつける

【2066-3】「例えば」を意識して使うようにする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?
【著者名】深沢真太郎著者情報
出版社日本実業出版社
【出版日】2023/9/29
オススメ度★★★★☆
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード数学的思考伝える発想力
【頁 数】304ページ
【目 次】
序章 自分の考えをうまく伝えられない
第1章 図解〜「意見を言う」を視覚化する〜
第2章 前提〜言葉と立場を定義せよ〜
第3章 裏付け〜根拠とは比較である〜
第4章 感慨〜「エモい数値」とは何か〜
第5章 例〜「異なるけれど同じもの」を使う瞬間〜
第6章 希望〜実践した人だけに見える景色〜

 

▼さっそくこの本を読む

思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?
深沢真太郎 日本実業出版社 2023-9-29
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深沢真太郎さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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