【書評:2055冊目】面白い物語の法則〈下〉(クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ)

【上巻に続き、物語はクライマックスへ!】
ハリウッドの脚本開発に携わるプロ/クリストファー・ボグラー氏とデイビッド・マッケナ氏が、『面白い物語の法則』と題して、物語の法則を明かしながら創作手法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

書けるなら、物語を書いてみたい。
そんな欲求に駆られたことはありませんか?

 

本書は、『優れた物語は優れた構造を持っている』と提起し、優れた構造の裏に隠れている法則の数々を明かしながら、法則にのっとった実践的な創作手法を指南する一冊。

 

上巻に続く、下巻になります。
【書評:2054冊目】面白い物語の法則〈上〉(クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ)

 

上巻が創作の土台づくりなら、下巻は創作のディテールがメイン。
細い作り込みを深めていき、物語に命を吹き込んでいく部分の法則・手法を学べる内容になっています。

 

ひとつのキャラクターを仕上げるのに、こんなにもたくさんのことにアンテナを張らないといけないのか。
その細かさと奥深さを目の当たりにして、圧倒される気持ちとワクワクする気持ちが混ざり合います。

 

そして、最終盤には「物書き」として”矜恃”が示されていきます。
この部分は、わたしのようなブロガーでもグッとくる教えがたくさん詰まっていて、特にオススメです。

 

上巻の記事でも書きましたが、書き手側の勉強としてはもちろん、読み手(鑑賞する側)にとっても非常に深い学びとなる一冊です。
鑑賞する目、批評する目、こちらがものすごく鍛えられるのを実感するはずです。

 

物語を創作するのは、書き手(創作者)。
ですが、鑑賞した反応によって書き手(創作者)を育てるのは、読み手(鑑賞者)であるのもまた事実です。

 

この、書き手(創作者)と読み手(鑑賞者)のキャッチボールが、良い物語を生む源となります。
ゆえに、本書の知識を吸収してその一翼を担っていく必要が、わたし達には求められているわけです。

 

創作意欲の有無に関わらず、心が豊かになったのを感じることでしょう。
知的教養を深める上下巻、たいへんオススメです。

 

◆良い物語にたくさん囲まれて生きるために。

面白い物語の法則〈下〉
クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ
KADOKAWA 2022-2-10
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■【要約】15個の抜粋ポイント

プロップ(ウラジーミル・ヤコブレビッチ・プロップ/ロシア・フォルマリズム時代の研究者)の機能リストは、物語の在庫を増やすのに大いに役だち、古い物語のなかでいまだに生きつづける力への認識を深めるきっかけにもなってくれる。

 

動詞は行動を呼ぶ。
強く簡潔で、機能的な動詞はいい文章を生む。

 

”環境的事実”とは、日付、場所、社会的環境、宗教的環境、政治的環境、経済的環境のことである。
ひとつにまとめた全体像ではなく、各環境的事実について個々の短文を書く、というところが重要な点だ。
たくさんの短文を書くのは非生産的な作業にも思えるが、さまざまな短文を細かく比較対照すると、くり返し出てくる要素がはっきり見えてくるのだ。

 

”日付”が暗示するものは、書き手の想像力を大きく拡げてくれる。

 

”場所”とは、物語の動きが起きる正確な場所のことだ。
正確さがものを言う。

 

社会的環境を追求していくには、教育、階級、収入、知性、人種、宗教、性的嗜好、政治的傾向、年齢、民族、未婚か既婚かなど、細かい説明づけを抜け目なくやる必要がある。

 

宗教的環境は、人が自分の”求めるもの”を満たすために採用する戦略、あるいは採用しない戦略はなんなのかをわれわれに教えてくれる。

 

二人かそれ以上の人物が交流すれば、そこには必ず政治的環境が生じるということだ。

 

経済的環境は、人々の相互のふるまいに大きな影響を及ぼす。

 

複数回出てきた要素は注目に値するし、おそらくその要素が、物語作家が創った特別な世界の中心への橋渡しをしてくれるはずだ。

 

ある場面が思いどおりの感情的効果を生んでいないと感じたときは、前の場面とのコントラストを強め、インパクトを大きくしてみると効果的だ。

 

●A・R・K・O・F・Fの方程式
A:アクション(動き)ースリリングで目を奪うドラマ
R:レボリューション(革命)ー新しい大胆なテーマや題材
K:キリング(殺し)ー悪趣味にならない程度の暴力
O:オラトリー(弁舌)ー良質の会話、耳に残る台詞
F:ファンタジー(夢想)ー観客の願いや夢想の実現
F:フォーニケイション(密通)ーセクシーさ、特にヤングアダルトに訴えるもの

 

物書きは書く。
毎日机の前に座れないというのなら、自分にふさわしくない夢を追っていると考えるべきだろう。

 

不必要なものを削るためにもいくつかの”パス(関門)”を作ることになる。
草稿を改良していく最善策のひとつだ。

 

物語とは何かという考えそのものはつねに進化するもので、新しいメディアや新たな人間の需要に合わせるためには、物語を曲げたり伸ばしたりする必要がある。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2055-1】新聞記事のスクラップを作り、記事にコメントを書く習慣をつける

【2055-2】ベストセラーを読む習慣をつける

【2055-3】古今東西の古典や名作を読む習慣をつける

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】面白い物語の法則〈下〉
【著者名】クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ
出版社KADOKAWA
【出版日】2022/2/10
オススメ度★★★★☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード文章力伝える発想力
【頁 数】240ページ
【目 次】
第13章 ウラジーミル・プロップのおとぎ話アプローチ
第14章 プロップのキャラクター
第15章 環境的事実ーー概論
第16章 環境的事実(1)ーー日付
第17章 環境的事実(2)ーー場所
第18章 環境的事実(3)ーー社会的環境
第19章 環境的事実(4)ーー宗教的環境
第20章 環境的事実(5)ーー政治的環境
第21章 環境的事実(6)ーー経済的環境
第22章 環境的事実ーー結論
第23章 ボードビルから学んだこと
第24章 ショーマンシップ
第25章 プロの映画脚本家になりたい人のための五か年計画
第26章 映画会社は脚本に何を求めているか
第27章 ではさらばーー私の捨て台詞

 

▼さっそくこの本を読む

面白い物語の法則〈下〉
クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ
KADOKAWA 2022-2-10
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クリストファー・ボグラーさん、デイビッド・マッケナさん
素敵な一冊をありがとうございました!

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