【書評:1961冊目】説明組み立て図鑑(犬塚壮志)

【型を制するほどに、説明上手といわれる!】
教育コンテンツプロデューサー・犬塚壮志氏が、『説明組み立て図鑑』と題して、説明には目的や状況に応じた最適な「型」があると提起し、説明に関わる技術を解説する一冊。

■書籍の紹介文

何かを人に説明する。
あなたは得意ですか?

 

本書は、説明には目的や状況に応じた最適な「型」があると提起し、イメージしやすいイラストとともに、効果と実績のある80個の説明の「型」を解説する一冊。

 

伝えたことを、理解してほしい/行動してほしい。
伝えたことで、納得してほしい/交渉を成立させたい。

 

このように、説明には”目的”があります。
言い換えれば、伝えた後に、伝えた相手にどうなっていてほしいかをイメージするということです。

 

このことを意識している方はいるかもしれません。
では、目的によって、相手が内容を受け入れやすい説明の”型”があるということはどうでしょうか。

 

精一杯の説明をしたのに、相手の反応がいいときもあれば、大失敗することもある。
説明の”型”を間違えてしまうと、こうしたことが起きてしまうのです。

 

つまり、”目的”と”型”が一致したとき、「説明上手」が成立するわけです。
そこで学びたいのが、本書です。

 

目的と状況に応じた説明の「型」を、80個も収録。
”目的”と”型”を紐づけて、鍛えていくのに打ってつけの内容になっています。

 

◎「型」の構造が一目でわかるイラスト
◎組み立て方がわかる具体的なフレーズ例

 

これらの特徴によって、説明の「型」を習得しやすい構成になっています。
自分の説明のどこがいけなかったのか、どこを直せばいいのかを納得しながら学ぶことができます。

 

「型」にハメてみることで、相手の受け入れやすい説明がすぐに完成します。
この気持ち良さに夢中になれれば、みるみるうちにあなたは「説明上手」の階段を駆け上がることでしょう。

 

情報が氾濫している時代だからこそ、「説明上手」は大きな武器になります。
擦り切れるほど使い込んで、武器を手に入れましょう!

 

◆「型」を極める。

説明組み立て図鑑
犬塚壮志 SBクリエイティブ 2021-11-25
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■【要約】15個の抜粋ポイント

●まずはこれだけ!「基本の3つの型」
(1)CRF法:「結論としては○○で、その根拠は□□です」
(2)SDS法:「本日の概要ですが、・・・」
(3)PREP法:「まず、結論からお伝えしますと、・・・」

 

自分が言葉にしていない部分を相手は頭の中でそれとなく補っており、補うために使っている知識や考え方を「共通の基盤」といいます。
この「共通の基盤」がないと、自分が説明している内容が相手に正しく伝わらなかったり、認識のズレが生じたりします。
(略)
前提のすり合わせがないとミスコミュニケーションが起こりやすくなるのです。

 

「法則適用」の型は、すでにわかっている法則などの事実や知識を使って、説得力のある推論(=論理的な推理)を相手に示したいときに有効です。
<Step1>「○○といった法則があります」
<Step2>「この○○の法則は、□□な場面で成り立ちます」
<Step3>「この○○に、現況の数字を当てはめてみると、△△と算出されます」

 

「TAPS」の型は、相手の理想と現実のギャップを示し、その解決策を提案する際に用います。
相手に決裁印を押してもらうことまでを目的にした型でもあります。
「TAPS」は、「To be、As is、Problem、Solution」の各ステップの英語表記の頭文字をつなげたものです。
<Step1>「御社が本来目指すべき理想の姿は、○○だと考えています」
<Step2>「ただ、現在は、□□といった状況になっています」
<Step3>「この問題点として、△△が挙げられます」
<Step4>「このギャップを解消するために、××をすべきだと考えています」

 

「エビデンス強調」の型では何か言ってくる相手に「事実」という確たる証拠を提示することで納得してもらいます。
自身の意見を決して曲げようとしない相手と議論する際に、特に効果を発揮するでしょう。
<Step1>「確かに、そうおっしゃるのも理解できます」
<Step2>「ただ、その考えとは少し違った情報があるんです」
<Step3>「その証拠というのが、・・・」

 

交渉で最も重要なことは、相手を打ち負かすことではなく、互いの共通の利益を見出すことです。
<Step1>「その大変な状況、すごくよくわかります」
<Step2>「○○といったデータを見つけました」
<Step3>「この状況は非常に危険だと感じています」
<Step4>「こういった理由から、私の結論は、・・・」

 

「目利き代行」の型は、自分の経験を裏づけとして、あるカテゴリーにある膨大な数の選択肢の中から相手に代わって選び抜いたことを提案に盛り込みます。
選択肢がたくさんあり、かつ、そのカテゴリーに対する相手の知見が浅く、選ぶ視点や判断基準を持っていない場合には、特に有効です。
<Step1>「たくさんある中でご自分が選ぶのは大変だと思います」
<Step2>「私はこれまで、30年間、この○○(カテゴリー)に携わってきました」
<Step3>「これまで見てきた中で、この□□は最高の一品です」

 

伝え手の「私には、あなたを支える意思がある」という気持ちが相手に伝わることが重要です。
尻込みしている相手をどのように勇気づけ、そして、行動に結びつけることができるのか。
人間的な側面に焦点を当てた説明スキルが、この「エンカレッジ」の型なのです。
<Step1>「躊躇する気持ちも、確かにわかるよ」
<Step2>「ただ、キミだったら必ずできるはずだよ」
<Step3>「なぜなら、・・・・だからです」
<Step4>「最後までサポートするよ」

 

「はしご」の型は、相手のメンタルブロック(心理的障壁)を、相手が自力で乗り越えるお手伝いをします。
喩えるなら、相手の中にあるメンタルブロックにそっとはしごをかけて、本人がその壁を乗り越えられるようにする説明です。
<Step1>「確かに、この○○をするのはハードルが高く感じてしまいますよね」
<Step2>「ただ実際には、○○をするのは、見かけほど難しくはないんです」
<Step3>「なぜなら、まずは、△△だけすればいいからです」

 

「欠如アピール」の型では「今、あなたの情報として、ここが足りていないんです」のように相手の情報不足をあえてアピールすることで、相手の知的好奇心を刺激することができます。
ヒトは「自分に足りていないものがある」と認識したとき、それを埋めたくなる衝動に駆られます。
そして、この型は、「その情報を仕入れれば(埋めれば)、安心できる」というヒトの心理を利用します。
<Step1>「今、あなたが知っておくべきことは、全部で○個あります」
<Step2>「実は、この○個のうち、残りの1つを教えてなかったのです」
<Step3>「その最後の1つを、これからお話ししますね」
<Step4>「それが、△△となります!」

 

自分の説明の中で最も重要な情報を1つに絞り、それをリピート(反復)して伝えることで、相手にその情報を覚えやすくさせます。(「リピート」の型)
<Step1>「今日の話の中で持って帰っていただきたいことは1つ、○○です」
<Step2>「別の言い方をすると、△△ということです」
<Step3>「他の内容は一切忘れて構わないので、今日はこの○○だけは必ず覚えておいてください」

 

「再現性」の型は、繰り返しの反復練習が必要なスキルを定着させたいときの説明で、特に効果を発揮します。
<Step1>「○○ができるようになるためには、□□をすればいいんです」
<Step2>「それには、△△がポイントです」
<Step3>「たとえば、××を繰り返し行います」

 

「ネガティブ・フォロー」の型は、ある対象(人や商品など)において、ネガティブな側面が相手にバレることを見越して、あえて自分からネガティブな側面を先に出します。
その上で、ポジティブな側面を見せることで、相手の関心を惹きつけることができます。
<Step1>「確かに、○○(ネガティブなこと)という事実はあります」
<Step2>「しかし、△△(ポジティブ)な面もあるのです」
<Step3>「なぜなら、・・・なのです」

 

説明に大義を盛り込むコツは、「仮想敵」を作ることです。
まず、相手と共通しそうな仮想敵を設定します。
そうすることで、それを打ち破りたいという意志が大義となって伝わり、相手に「応援したい!」と思わせることができます。
<Step1>「○○って、許しがたくないでしょうか?」
<Step2>「○○は、たとえば、□□なことを引き起こしているんです」
<Step3>「私はその○○を世界からなくすために、△△をします!」

 

自分の商品サービスの欠点や短所を自ら先に白状しておくことで、相手に対する誠意を示すことができます。
嘘偽りない説明こそが相手の不安感を一掃し、信用や信頼を得ることができるのです。
<Step1>「この商品の優れた点は○○や□□、さらには、△△があります」
<Step2>「ただ、唯一、他の方が気にされる点が1つあります」
<Step3>「この商品は唯一、××な部分は苦手です」
<Step4>「なぜなら、▼▼なため、△△はできないのです。その分、○○の点で特に優れているのです」

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1961-1】「伝えたいこと」に適した説明の型を意識する癖をつける

【1961-2】説明の型を使って文章を考えるトレーニングをする

【1961-3】説明するときは、伝える目的を明確にする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】説明組み立て図鑑
【著者名】犬塚壮志著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2021/11/25
オススメ度★★★★☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード伝える話し方交渉術
【頁 数】352ページ
【目 次】
第0章:まずはこれだけ! 「基本の3つの型」
第1章:話を理解してもらいたい
第2章:複雑なことをわかってもらいたい
第3章:聞き手を納得させたい・説得したい
第4章:議論で勝ちたい
第5章:交渉で有利に立ちたい
第6章:買ってもらいたい
第7章:相手をやる気にさせたい
第8章:相手を引き込みたい
第9章:何かを覚えてもらいたい
第10章:習得させたい
第11章:話し始めに聞き手の心をつかみたい
第12章:共感を得たい
第13章:信頼されたい

 

▼さっそくこの本を読む

説明組み立て図鑑
犬塚壮志 SBクリエイティブ 2021-11-25
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犬塚壮志さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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