【書評:1944冊目】編集者、それはペンを持たない作家である(神吉晴夫)

【だから、命をかけて本をつくるのだ】
かんき出版の設立者であり二代目光文社社長・神吉晴夫氏が、『編集者、それはペンを持たない作家である』と題して、出版にかける情熱から伝説の編集論までを語り尽くす一冊。

■書籍の紹介文

なぜ、人は本を残すのか。
あなたはどう思いますか?

 

本書は、現在では当たり前となった、著者と編集が一緒に本を作り上げる編集法を確立した著者が、出版にかける情熱から編集論までを語り尽くす一冊。

 

◎ベストセラーの神様
◎戦後最大の出版プロデューサー
◎光文社を一躍ベストセラー出版社に成長させた名経営者
◎かんき出版の設立者

 

このように、さまざまな枕詞で語られる出版業界の偉人。
それが、「神吉晴夫」という人物です。

 

それまで、著者の原稿を一字一句変えずに出版していた出版業界。
そこに、「創作出版」の名のもと、著者と編集者が一緒に本を作り上げる、現代ではあたりまえとなった編集法を確立した人物として語り継がれています。

 

そんな著者が書き残した名著の復刻版となるのが本書。
「編集者とはなにか」「なぜ本をつくるのか」など、出版にかけるあくなき情熱を語り尽くした内容になっています。

 

『日本人の優秀さを信じているから』
『若い世代を信用しているから』

 

なぜ出版という仕事をするのか、問われた著者の理由がこの2つです。
ここに触れたとき、「この人はスゴい人だ」としばらくページから離れられなくなりました。

 

本好きの人には、ぜひ読んでほしい一冊だとおもいます。
「読者も、出版業界の将来を考えて本と向き合わなければ」、そう思った一冊です。

 

◆本は世代をつなぐ。

編集者、それはペンを持たない作家である
神吉晴夫 実業之日本社 2022-6-30
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■【要約】15個の抜粋ポイント

私はペンを持たない作家なのだ。
小説家がペンで自分の感動や恋を描くように、ペンを持たない作家・神吉晴夫は、ほかの人の作品で、自分自身の感動を表現するのである。

 

読者の身がわりとして、著者の先生と一般読者を結びつけようとする出版プロデューサーです。

 

不安や悩みをいだいているものは、共感しやすく、友だちになりやすい。

 

私の言葉でいえば、現代は「はじめに欲望ありき」の時代なのだ。
消費者の欲望をキャッチし、それに呼びかけて、品物をつくって売る、これが現代のセールスなのだ。

 

執筆の過程で、こうした方がいっそうよくなると助言をしたり、著者が書きとばした原稿を、さらに宝石を磨き出すように削ってもらったりするーーーーこれは編集者の仕事だ。

 

読者の欲望といっても、その欲望は眠っていることが多い。
それを眠りから呼びさまして、「あなたが望んでいらっしゃる本が出ましたよ」と、知らせねばならない。
これもカッパの編集者の仕事なのである。

 

よい内容の本とすぐれた広告とが結びつくと、一夜にして、ベストセラーが生まれることを、私はこれまでの経験で知っていた。

 

「序文を読んだだけで、その本の批評をする人がある。序文を読んで買う人がある。だから、序文は全力をあげて書いてもらう必要があるよ」

 

自分の立地条件を生かすーーーーいいかえれば、自分を大切にしろ、人真似をするな、ということだ。

 

アイデアというものは、これまでに蓄積されているいくつもの要素に、新しい組みあわせを与えることであり、ものを新しい角度から眺めなおすということだ。

 

出版プロデューサーは、読者の代表として、読者の一人として、何十万、何百万という顔も知らない多くの読者が、胸の中にモヤモヤした形でもっている欲望を、しっかりつかまえねばならぬということだ。

 

自分が納得しない商品を市場に出すことは、消費者を裏切るだけでなく、自分を汚すことだ。

 

出版企画の最初から宣伝費まで一貫して、すべてを計画的に、読者にむかって演出する。
企画に徹するということだ。
すぐれた出版企画はそのまま宣伝となり、販売となる。
(略)
一にも企画、二にも企画、三にも企画である。
そのほかにタネもシカケもないのだ。

 

経営者というものは、人間の心の技師でなければならぬということだ。
人間を見抜くこと、そして発見した人材によって、光文社という組織を将来も長く成長・繁栄させるーーーこれが経営者としての私の責任である。
埋もれていた一人の人間の才能を発掘し、抜擢することも人間の発見なら、その人間の心がなめらかに燃焼するように、舞台を演出してやることもまた、人間の発見である。

 

エゴとエゴとがぶつかりあう。
たがいに自己を主張し、たがいに意見を交換して、相手を説得し、共感させてしまう。
これが民主主義社会のあり方だし、そこから生まれでる”和”こそ、ホンモノだと思う。
自己主張をしよう、エゴを大切にしようーーー私は声を大きくして、若い世代に、こう呼びかけたい。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1944-1】自分の欲望を思いつくままに書き出す

【1944-2】経験・体験の数を増やす

【1944-3】自分に打ち克つことを意識し続ける

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】編集者、それはペンを持たない作家である
【著者名】神吉晴夫
出版社実業之日本社
【出版日】2022/6/30
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日の仕事力を磨きたいときに
キーワード働き方発想力リーダー
【頁 数】240ページ
【目 次】
ペンを持たない作家
サルマタを脱いだ『人間の歴史』
松本清張さんと田舎まんじゅう
金の卵かアヒルの卵か
英語に強くなる法
創作出版とは何か
カッパ誕生
カッパの宣伝、販売術
私の経営哲学

 

この本で、あなたは変わる!

編集者、それはペンを持たない作家である
神吉晴夫 実業之日本社 2022-6-30
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神吉晴夫さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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