
【だまされないとは、信用を失わないということ】
ビジネス数学教育家・深沢真太郎氏が、『数字にだまされない本』と題して、数字にだまされない、つまり、数字を正しく読む、そのために必要な2つの技術を指南する一冊。
もくじ
■書籍の紹介文
数字を正しく読むために必要なもの。
どんなものが考えられますか?
本書は、数字を正しく読む力を養わないと、だまされるばかりか、意図せずだますことにもなると提起し、数字を正しく読むために必要な2つの技術を指南する一冊。
冒頭の質問で、あなたが考えたもの。
それらも、数字を正しく読むために必要なものだとおもいます。
そんななか、著者は次の2つの技術に集約されると語ります。
(1)数字そのものを読む技術
(2)数字を示す人の心理を読む技術
この2つの技術を、きちんと養っておく。
すると、「だまされる」「ごまかされる」可能性を限りなく少なくすることができるのです。
さらに、2つの技術は、2つの意味で自分を守ることにつながると著者は指摘します。
ひとつは「被害者になるのを防ぐ」、もうひとつは「加害者になるのを防ぐ」ことです。
「だまされる」という表現から、前者は想像に難くありません。
では、なぜ、その気はさらさらないのに、だます側になる危険性があるのでしょうか。
それは、著者が提示する2つの技術が「数字を扱う技術」そのものでもあるからです。
「数字そのものを読む技術」は、「数字そのものを読ませる技術」に。
「数字を示す人の心理を読む技術」は、「数字を読む人の心理を読む技術」に。
このように、それぞれがつながっているのです。
だからこそ、2つの技術が未熟だと、「意図せず」「無意識に」自分が提示した数字によって、心を痛める人を生みかねないのです。
万が一、そのようなことになった場合。
どのように弁明しようと、あなたにとって最も重要なもの、つまり、【信用】を失う結末が待っています。
数字には、それほど大きな力があります。
そして、数字をどう扱うかを決めるのは、いつだって人間です。
ゆえに、「数字を正しく読む(読ませる)技術」が備わっていると評価される。
それだけで、あなたへの【信用】は増していくのです。
数字は嘘をつきません。
数字を”歪める”のは、いつだって、その数字をつくる人間と読む人間です。
◆必修の教養講座。
数字にだまされない本
深沢真太郎 日本経済新聞出版 2022-10-4
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■【要約】15個の抜粋ポイント
私は、数字とは「コトバ」であると定義しています。
数字にだまされるとは、相手の問題ではなくあなたの問題。
どんな場面でもだまされないような数字の読み方をあなたが身につければ、この厄介な問題は解決するのです。
「定義や前提がわからない数字は信じない」とルール化しておくだけで、あなたが数字にだまされる可能性は激減します。
具体的には注釈や断り書きを必ず確認すること。
あなたがビジネスパーソンなら、平均値だけで物事を論じている人とコミュニケーションする際は2つの質問をしてみてください。
Q1「ちなみに中央値はいくらなのでしょうか?」
Q2「最大値と最小値はいくらでしょうか?」
「逆はなんだろう?(裏を返すとなんだろう?)」
「一方で?」
こう自問自答することで自動的に別の方向づけができ、その数字をさまざまな方向から眺めることができます。
ランキングの算出方法や調査対象者数などが書かれていない場合は信用できない情報と思っていいでしょう。
調査結果が虚偽であるということではなく、信用に値する情報を開示していないという意味です。
数字を「点」ではなく「範囲」で捉えることで(ある意味で)予測の精度を高めることができるのです。
予測は当たらないもの。
常に誤差を認め、数字は範囲で捉える感覚を持ちましょう。
数字にだまされない人は、「その数字、なんかおかしいな」とすぐに気づける人です。
今の仕事に関連する最低限の数字はしっかり知識として持っておきましょう。
「だまされる」は曖昧な表現でごまかされるときに起こります。
常に疑う視点を持ち、事実を数字で確かめる。
正しい主張だと示すデータが存在するとき、初めて「確かにそうだね」と受け入れればいいのです。
本質はすべて「隠す」なのです。
そして究極までシンプルにするならば、「隠す」には3パターンしかありません。
①定義を隠す
②比較対象を隠す
③傾向を隠す
あなたがだまされないために必要なことは「隠し方」のパターンを知っておくこと。
そしてもっと大切なのは、何かを隠したい人の気持ちを想像することです。
●「どれくらい信じるか」を判断する6つのポイント
①調査手法や定義が明確に説明されているか
②「いい結果」ありきの調査になっていないか
③相手はその調査結果に対してどれほどのプレッシャーを背負っているか
④複数回の調査結果の平均値を採用しているか(偶然の結果に左右されない)
⑤利害関係のない人が「正しい」と評価しているか
⑥あなたが精通している内容か
メリットといった良い面をお伝えすることも大切ですが、それよりもデメリットやリスクなど悪い面をしっかりお伝えすることはもっと大切。
数字はあなたの信用を上げることもあれば、簡単に下げることもできます。
やはり最強かつ最恐のコトバですね。
■【実践】3個の行動ポイント
【1924-1】定義にこだわって数字を捉える
【1924-2】曖昧な表現を流さず、事実を数字で確かめる癖をつける
【1924-3】自分の仕事(業界)に関わる数字は常に確認しておく
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】数字にだまされない本
【著者名】深沢真太郎 ・ 著者情報
【出版社】日本経済新聞出版社
【出版日】2022/10/4
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】考える力を身につけたいときに
【キーワード】数学的思考、働き方、交渉術
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 数字を正しく読む技術[基礎編]
第2章 数字を正しく読む技術[実践編]
第3章 数字の裏にある「人の心理」を読み解く
第4章 「数字」を扱うすべての人へ
この本で、あなたは変わる!
数字にだまされない本
深沢真太郎 日本経済新聞出版 2022-10-4
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深沢真太郎さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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