【読書法よりも大切な、読み手の姿勢の話】
学びデザイン代表・荒木博行氏が、『自分の頭で考える読書』と題して、本の内容を無批判に受け入れるのではなく、「懐疑」の姿勢で自分の頭で考える読書の大切さを説く一冊。
■書籍の紹介文
本を読んでいるとき。
「自分はこう思うけどな?」などと対話して読んでいますか?
本書は、「懐疑」の姿勢で読むことの大切さを語りながら、自分の頭で考えて、本の中から自分の欲しい答えへとつながる「問い」を得ることの大切さを説く一冊。
本には、自分がほしい答えは書かれていない。
なぜなら、その本は自分のために書かれた本ではないから。
わたしは、このことを自分へ語りかけてからいつも読書しています。
そうすることで、著者や本に従属せずに読むことができるからです。
答えがないとおもって読めば、著者と対話することができます。
著者の主張に対して、「自分はこういう考えなんだけど?」とぶつけることができます。
著者の主張と自分の主張。
この2つをぶつけることで、第3の道筋である、新しい「問い」が生まれます。
新しい「問い」が生まれると、頭はフル回転します。
「こうかもしれない」「こういう可能性も生まれるな」と「?」がつぎつぎと生まれてきます。
「問い」が生まれることで、頭は「答え」を探そうと”考える”ようになります。
これこそが、読書で得られる最大の価値だとおもいます。
不確実な時代、考えなければ、たちまち流されてしまいます。
考えることで、自分なりの最適解を出し、主体的に生きることができます。
そういう意味で、”考える”状態に常にいられる読書は有意義な行為なのです。
この感覚を身につけていただくのに、本書はとても役立つとおもいます。
「問い」が頭にあれば、本を選ぶのも楽しく、そしてラクになります。
選んだ本で、同じことをくり返すことで、『自分だけの考え』はどんどん研ぎ澄まされていきます。
研ぎ澄まされる感覚を覚えると、もう読書することから離れられなくなります。
『自分だけの考え』が育つと、自信をもって自分の道を歩んでいけます。
◆不確実時代の読書論。
自分の頭で考える読書
荒木博行 日本実業出版社 2022-1-28
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■【要約】15個の抜粋ポイント
常に今、目の前にある具体的なものを抽象化し続けること。
今こそ思考の次元を上げることが求められているのです。
今を生きる私たちは、自分の経験を踏まえつつ、「本」を通じて過去の先人たちの経験も借りることが自由にできます。
この変化の時代を乗り切るために、抽象化は求められ、そしていつでもやろうと思えばできるのです。
この状態を踏まえて、あなたはどんなアクションをとるか、それが求められています。
本には五感的にも時間的にも、思考できるだけの「余白」が十分にあるのです。
この「余白」こそが、読書の最大の魅力です。
本に向かう前には、まず過去を忘れて没入から入る。
そして、その次に自分の経験を使いながら解釈していく、ということです。
この順番を間違えて、最初から自分の経験を引っ張り出してしまうと、せっかくの読書経験が自分の狭い世界から一歩も出ることのない限定的な体験になってしまいます。
あまりにももったいない。
行間を読むからこそ、そこには解釈の余地が生まれ、その解釈はその人オリジナルのものとなる。
つまり、本は「遊びがいがあるメディア」ということなのです。
唯一、こだわるべき読み方があるとすれば、こう読まなければいけないのでは、というような「他者の評価から脱却する」ということでしょう。
「そんな読み方ではダメだ」とか「君はそんな読み方しかできないの?」という優劣の判断から抜け出して自由に読みましょう。
本は「問い」と「答え」が自分にとって新しいかどうかを整理することで、3つのカテゴリー、つまり「問いの発見」「答えの発見」「既知のリマインド」に分けることが可能になります。
私は読書をする際には、この3種類の本のカテゴリーのバランスをとったポートフォリオを組むことをおすすめしています。
まずはアウトプットの場を定義する。
そして逃げ場がないようなかたちに仕立てる。
そうすれば、多くの人は生存本能から、読書のスイッチは入っていくはずです。
自分だけで具体的な「問い」を抱えていても、同じところを回り続けるだけのことも多いでしょう。
そのような行き詰まり感があるときこそ、「本」という道具を活用して抽象の世界にジャンプする。
そして、新たな具体に着地する。
私たちは「本」とともに「問い」を育てていくことができるのです。
本を選ぶということは、「今の自分のコンディションを知ること」と同義なのかもしれません。
本を手に取る前に、「今、自分はどんなものを求めているのか?」「どんな問いなら受け入れることができるのか?」ということを自分に確認したうえで、それにふさわしい本をチョイスすること。
そんな読書前に行う「本と自分との間のコミュニケーション」にこそ意味があるのです。
私たちは、素晴らしい本に出会ったとき、沈黙せざるをえないのかもしれません。
言葉にできないもどかしさに耐えて、やがてそれが言葉にできる可能性に期待する。
そして、いつかそれを人生の中で実践できる日を待つのです。
それくらいの気持ちを持ち、「読んだら即実践」という短略的な読書サイクルから逃れる意識を持ちましょう。
読んだまま放置するのではなく、自分なりの読後のルーティンを定義してみる。
それを愚直にやり続けることによって、沈殿はアクティブに動きはじめるのです。
「熱狂」とは、その本のコンセプトやメッセージに対して共感・納得している状態のこと。
そして、「懐疑」とは、その本に対する違和感や不安感、疑問などを感じている状態です。
(略)
では、熱狂と懐疑の「理想的なバランス」は、いくつくらいか?
私は「熱狂7割・懐疑3割」ではないかと思います。
他者の考えを受けながらもささやかな自己主張を続けていく、という読書こそが、「生きる力」を鍛えることにつながっていくのではないか。
私はそう考えているのです。
■【実践】3個の行動ポイント
【1800-1】本の骨格となる「問い」と「答え」を捉えることを意識して読む
【1800-2】読んだ本の「問い」と「答え」が新しいものかどうかで整理する
【1800-3】自分なりの読後のルーティンを定義する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】自分の頭で考える読書
【著者名】荒木博行 ・ 著者情報
【出版社】日本実業出版社
【出版日】2022/1/28
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】読む力を身につけたいときに
【キーワード】教養、読書術、自己対話
【頁 数】245ページ
【目 次】
序章 変化の時代、「終身エンタメチャレンジ」の扉を開けよう
第1章 なぜ今、本なのか?
第2章 どんな本を選ぶのか?
第3章 本を通して「問い」を育てる
第4章 「読書の病」を治療しよう
第5章 「読書が役に立つ」とは、どういうことか?
第6章 「本を読む」とは、自らを生きるということ
この本が、あなたを変える!
自分の頭で考える読書
荒木博行 日本実業出版社 2022-1-28
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荒木博行さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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