【新聞記者から”ひとり本屋”のオヤジへ】
Readin’Writin’BOOKSTORE店主・落合博氏が、『新聞記者、本屋になる』と題して、さして読書家でもない元新聞記者が、本屋を始める方法を指南する一冊。
■書籍の紹介文
「やってみたいな〜」
何気なくおもっている仕事や生き方を、なにかお持ちですか?
本書は、夢でもなく読書家でもない新聞記者が、いかに「ひとり本屋」のオヤジになったのかを振り返りながら、書店開業に興味がある人にむけて本屋をはじめる方法を指南する一冊。
『実践的本屋開業記』
『自分が本屋を始めた理由より、本屋を始めた方法』
このようなキャッチコピーがついている本です。
ただ、いわゆるHow to本とは一線を画す空気感をまとっています。
・自分ひとりの範囲で行う商いの”おもしろさ”
・人とのリアルなコミュニケーションの”可能性”
・自分が納得できる生き場所を築く”開拓精神”
こうした、本屋それ自体よりも大切な「どう生きるか」をも考えさせる哲学的な雰囲気がとても心地よい。
あたかも、ゆったりと落ち着く喫茶店で、マスターと対話している気分にさせられます。
この「どう生きるか」が、著者にとっては、たまたま本屋だっただけなのです。
開業前〜開業〜現在に至るまで、その心情を隠すことなくストレートに語っていきます。
「本屋だけの稼ぎで暮らすのは不可能に近い」
さんざん語った終盤になっても、平気でこう語る著者に、どんどん興味が湧いてくるから不思議です。
本屋開業に興味がある人はもちろん、ちょっと荒んだ心を癒したい人も。
ふらっと入ったお店のオヤジが語る話に耳を傾けてみてください。
付随して、ブックガイドや独立書店ガイドにも活用できます。
お近くの書店に赴き、一冊買えば、また違った話が聞けるかもしれませんよ。
◆Readin’Writin’BOOKSTORE
新聞記者、本屋になる
落合博 光文社 2021-9-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント
すでに2年近く前から本屋を始める準備をしていた。
そのせいか会社を辞めることに迷いやためらいはなかった。
無職になるならともかく、頭の中は新しい仕事のことでいっぱいで感傷に浸っている暇はなかった。
会社を辞めて新しいことを始めるのであれば元気なうちがいい。
60歳まで勤めた場合、もらえる退職金の額を人事部に試算してもらい、2年遅らせてもほとんど増えないことが分かったことも、58歳での退職を思い切らせた。
本屋はもうからない仕事だと分かっている。
仕事の合間に、主に個人経営の店をピップアップしては古本、新刊問わず訪れた。
試しに、古本を段ボール箱に詰めて路上などで販売する「一箱古本市」にも何度か出店した。
(略)
この時、本を買ってもらうことの難しさを知る。
歩いていれば、出会いは向こうからやって来る。
犬(僕は戌年)も歩けば棒に当たるのだ。
理想の「本屋のかたち」など持たなくてもいい。
お客さんの声に耳を傾け、自分自身の変化に応じて本屋づくりのプロセスを楽しみながら、それを続けることができればいいのではないか。
いつまで経っても完成することのない、つまり常に未完成な本屋でいいのではないか。
以上は何事も一歩踏み出してから考えることが多い僕の言い訳でもある。
選書の判断基準はテーマ、著者、出版社、装幀。
本屋巡りの最中に参加したあるトークイベントで京都の個人書店「誠光社」の堀部篤史さんがそう話していた。
いいと思ったことはすぐ真似、いや採用している。
リアルな本と電子書籍との決定的な違いは手に取ってみることができ、インテリアにもなり得る点。
その場合、装幀はモノとしての価値があるかどうかを判断する基準になる。
土曜日と日曜日はコンビニに新聞5紙(朝日新聞、産経新聞、東京新聞、日本経済新聞、読売新聞)を買いに行く。
退職後も引き続き自宅で購読している毎日新聞を含めて書評をチェックするためだ。
SNS、特にツイッターも情報源として欠かせない。
フォローしている個人経営の本屋で入荷情報を画像付きでツイートしているところがいくつかあり、仕入れの参考にしている。
気になる本、読みたい本を見つけると、ノートに書き留める。
タイトル、出版社、値段(本体価格)。
それをエクセルに入力する。
ほぼ毎日、この作業の繰り返し。
日付も入っているのでノートを見れば自分の興味と関心がどう変遷してきたかが分かる。
イベントは本を買ってもらえる機会にもなっている。
イベントの関連本だけでなく、直接関係のない本も買ってもらっている。
本の粗利は薄く、本だけを売っていては厳しい。
売り上げの柱は複数あった方がいい。
ビールが飲める下北沢の本屋「B&B」の経営方法にならい、飲食を柱のひとつに据えたのだ。
人は見た目では分からない。
こんな人がこんな本を買ってくれるのかと思うことは度々で、僕の先入観と偏見を裏切る買い方をする人は少なくない。
まとめ買いをしてくれた場合、その組み合わせに納得することもあれば、驚くこともある。
現場の醍醐味だ。
本屋を始めるには、とにもかくにも準備が大事。
本が好きかどうかは関係ない。
スポーツに喩えれば試合が始まる前にほぼ勝敗は決まっている。
どれだけ練習したかだ。
志と熱意があって本屋を始めたとしよう。
でも、志と熱意だけで続けることは難しい。
1000円の本が売れたとして手元に残るのは200円〜300円。
本屋だけの稼ぎで暮らしていくのは不可能に近い、というのが開店5年目に入った僕の実感だ。
■【実践】3個の行動ポイント
【1785-1】新聞、メディア、SNS、気になった本はどんどんメモして一覧表で管理する
【1785-2】Twitterで「#今日最初にお買い上げいただいた本」をチェックする
【1785-3】本書に登場して気になった独立書店を実際に訪ねてみる
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】新聞記者、本屋になる
【著者名】落合博 ・ 著者情報
【出版社】光文社
【出版日】2021/9/15
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】他人の生き方に触れたいときに
【キーワード】読書術、生き方、稼ぐ力
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 新聞記者だった
第2章 本屋開業に向けて
第3章 どんな本屋か
第4章 本を売るだけでなく
第5章 本屋の日々/考えていること
この本が、あなたを変える!
新聞記者、本屋になる
落合博 光文社 2021-9-15
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落合博さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
■お知らせ
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