【書評:1743冊目】お金のむこうに人がいる(田内学)

【お金を取っ払って考えるとお金の真実がみえる】
元ゴールドマン・サックスの金利トレーダー/田内学氏が、『お金のむこうに人がいる』と題して、誰もが自分の頭で考えられるようになる、経済の捉え方を伝授する一冊。

■書籍の紹介文

あなたの預金残高。
別の言い方をすると、どう表現できますか?

 

本書は、見誤ることが許されない経済の最前線で「お金」を考え抜いた末に気づいた、だれもがシンプルに考えられるようになる、経済の捉え方を伝授する一冊。

 

冒頭の問題はわかりましたか。
スパッと答えられなかった方は、本書を必ず読んでみてください。

 

答えに悩む人ほど、「お金」「経済」の捉え方を誤っている。
世の中の常識や氾濫する情報によって、お金の本質、経済の本質がみえなくなっているといえます。

 

現在のあなたが、どれだけみえなくなっているかを簡単に知る方法があります。
それは、本書を読んで「読みづらい」「わかりづらい」とどれくらい感じるかです。

 

強く感じる人ほど、経済をみる”視点”が凝り固まっているというわけです。
こうお伝えできるほど、まったく違った”視点”から経済をみることができる一冊です。

 

経済というと、どうしてもお金を中心に考えてしまいます。
もちろん、それは間違いではありません。

 

ですが、もう一歩先をみることで、経済の”本質”を自分で捉えられるようになると説きます。
一歩先とはなにか、それが本書のタイトルにつながる、お金のむこう側にいる”人”です。

 

なぜ、”人”を”視点”にしてみると、経済の”本質”がシンプルに理解できるのか。
ここを理解できるようになる本書は、多くの人の価値観に影響を与えるでしょう。

 

なによりも、金融の最前線にいた人間がこの内容の本を書いた動機。
そこに本気度と信頼をつよく感じる一冊です。

 

◆すべての人が読むべき一冊。

お金のむこうに人がいる
田内学 ダイヤモンド社 2021-9-29
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■【要約】15個の抜粋ポイント

税金は円貨幣(紙幣や硬貨)で払わないといけない。
税金を滞納すれば国税庁の人たちが徴収しにやってくる。
それでも支払わなければ刑務所に入れられる。
実は、この法律があるからこそ僕たちは円を使うようになったのだ。

 

紙幣をコピーしてはいけないのは、「価値が薄まってしまうから」ではない。
「みんなが支え合って生きていけなくなるから」だ。

 

あなたが消費しているのは、お金ではなく、誰かの労働だ。
お金のむこうには必ず「人」がいる。
あなたのために働く人がいる。
個人にとってのお金の価値とは、将来お金を使ったときに、誰かに働いてもらえることなのだ。

 

一人ひとりが自分だけのモノサシを持てば、自分の幸せに直結するお金の使い方ができる。
そして、価値あるものが生産され続けることにもつながる。
自然に価値があると感じる人が多ければ、自然が壊されることも減っていく。

 

「お金」に惑わされず、「誰が働いて、誰が幸せになるのか」を考えればいいだけだ。
大事なのは、みんなが生きている空間を意識して経済を捉えることだ。

 

僕たちの預金残高は、銀行が借りている借金残高でもある。

 

預けているお金をいつでも取り出せるから、僕たちはお金を貸しているのではなく、保管してもらっていると信じてしまうのだ。

 

社会全体にとって重要なのは、お金を増やすことではなく、お金を流すことだ。
なるべく多くのお金を流すために、銀行の金庫の扉は2つある。
正面の扉からなかなか出ない(預金を使わない)のであれば、裏から出す(貸し出しを行う)しかない。
その結果、誰かの借金が増えて、同時に預金が増える。
それだけの話なのだ。

 

僕たちが流している投資や消費のお金が、労働の配分を決めていて、その配分によって未来が作られている。

 

大事なのは「どれだけの労働が、どれだけの幸せをもたらすか」を考えることだ。
「GDPを増やす」「雇用を創出する」という目的のために経済効果に目がくらむと、割りの合わない労働を生み出してしまう。
経済効果は、お金の移動量を表す数字でしかないのだ。
だから、「経済効果」という言葉を聞いたときは、まず「効用のよくわからない生産活動なのではないか?」と疑ったほうがいい。
数字にごまかされて、効用に見合わない労働や資源が投入されているのを放っておくと、社会はどんどん疲弊していく。

 

「労働の借り」を増やすと、将来外国のために働く人が増えて、自国のために働く人が減る。
自分たちの生活が苦しくなってしまうのだ。

 

モノを作るのはお金ではない。
働く人だ。
自然資源と労働がモノを作るというのは、現在も変わらない大原則だ。
とすると、モノが足りなくなる原因として考えられるのは、次の4つだろう。
①自然資源が足りないから
②労働が足りないから
③何かが生産を邪魔しているから
④誰かがモノを独占しているから

 

事情はどうあれ、働いてもらったのに、働いて返せなければ破綻する。
個人だろうと国だろうとあたりまえのことなのだ。
原因は借金ではなく、働くことにある。

 

専門家たちが「経済のため」と言っていても、誰のためにもなっていないと感じたら、疑ったほうがいい。
彼らの専門用語が理解不能でも、あなたの直感のほうがきっと正しい。
経済は本来、易しい話だ。
そして、優しい話であるはずなのだから。

 

経済を考えるときには、お金の存在を取り払って、そのむこう側にいる人のことを考える。
お金を受けとるとき、誰かが幸せになっている。
お金を払うとき、誰かが働いてくれている。
誰が働いて誰が幸せになっているのかを考えるだけで、経済をシンプルかつ直感的に捉えることができる。
お金のむこうに人がいる。
一人ひとりがそう意識するだけで「僕たち」の範囲は広がる。
経済の目的が、お金や仕事を増やすことから、幸せを増やすことに変わっていく。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1743-1】お金を使うとき、「誰が働いて、誰が幸せになるのか」を考える

【1743-2】自分の直感を信じる

【1743-3】同じ目的を達成するために協力し合える仲間の”輪”を意識し広げていく

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】お金のむこうに人がいる
【著者名】田内学著者情報
出版社ダイヤモンド社
【出版日】2021/9/29
オススメ度★★★★★
こんな時にお金と賢く付き合いたいときに
キーワードお金哲学社会
【頁 数】272ページ
【目 次】
第1話 なぜ、紙幣をコピーしてはいけないのか?
第2話 なぜ、家の外ではお金を使うのか?
第3話 価格があるのに、価値がないものは何か?
第4話 お金が偉いのか、働く人が偉いのか?
第5話 預金が多い国がお金持ちとは言えないのはなぜか?
第6話 投資とギャンブルは何が違うのか?
第7話 経済が成長しないと生活は苦しくなるのか?
第8話 貿易黒字でも、生活が豊かにならないのはなぜか?
第9話 お金を印刷し過ぎるから、モノの価格が上がるのだろうか?
第10話 なぜ、大量に借金しても潰れない国があるのか?
最終話 未来のために、お金を増やす意味はあるのか?
おわりに 「僕たちの輪」はどうすれば広がるのか?

 

この本が、あなたを変える!

お金のむこうに人がいる
田内学 ダイヤモンド社 2021-9-29
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田内学さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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