【書評:207冊目】なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?(堀田秀吾)

【ことばのルールを知れば、活用法がわかる!】
言語学者である明治大学教授・堀田秀吾氏が、「なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?」と題して、言語学の観点から言葉の力を仕事への活用法を伝授する一冊。

■この本の紹介文

ことばって本当に難しいな…。
こんな風に落ち込んでしまった経験ありませんか?

 

本書は、言語学をはじめ、心理学・脳科学などの最新の研究成果をもとに、ことばの秘密に迫りながら、仕事への活用法を伝授する一冊。

 

ことばをうまく使えば、頼みごともスムーズになります。
ことばをうまく使えば、人間関係もスムーズになります。

 

では、どうすれば「ことばをうまく使える」ようになるのでしょうか?
この点を、言語学の観点から解説しているのが、本書です。

 

特に、「選択の自由」と「ことばの切り替え」が人の心を動かすコツという点は勉強になる。
それ以外も、教養本でありながら楽しく読むことができます。

 

ことばのチカラを身につけた人は強い!
あなたも、ことばのチカラを身につけたいと思いませんか?

 

◆だから、ことばは面白い!

なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?
堀田秀吾 筑摩書房 2014-2-5
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■本がわかる!15の要約ポイント

ことばは、単に意味を伝えたり、コミュニケーションをしたりするための道具や媒体ではありません。
ことばは、さまざまな影響や効果を引き起こす機能を持っています。
つまり、ことばには、人を動かす大きなチカラがあるのです。

 

どういうチカラがあるのかということを簡単に言えば、他人や自分自身の「思考や行動に変化や影響を与え」てしまうほどのチカラがあるのです。
ですから、それを上手に利用すれば、ある程度相手から思い通りの答えを引き出したり、相手を思い通りに行動させたりということができるでしょう。
そういったことばのチカラの使い方を知る事で、他人と関わって仕事をしていく際に、役立つ技術が身につけられるのです。

 

読者のみなさんにぜひ覚えてもらいたい言語学の考え方があります。
「有標・無標」という考え方です。
簡単に言うと、
ある状況の中で、普通、標準、当たり前のものを「無標」
ある状況の中で、異質、非標準、あるいは逸脱しているものを「有標」

 

前提を含むことで、前提が言われている出来事や様子が当然のように受け取られるので、それに私たちの記憶や判断が引っ張られてしまうのです。

 

人は、状況や環境によって変わっていくものですから、「自分の存在意義」とか「自分は何者か」なんて、知らないほうが良いでしょう。
「自分の定義」は要らないのです。

 

「あとでやろうはバカヤロウ」というように、暗示のことばを常に口に出す。
他人に話してみる。
自分が見えるところに書いておく。
こうしたことをすることによって「自分自身の追い込み度」が高まり、行動を起こすようになっていきます。
そして、やる気スイッチがオンになります。

 

●予期せぬ出来事をたくさん経験し、上手に昇華させていくための5つの心構え
①常に機会を求め、
②あきらめないで努力して、
③成功すると自分に言い聞かせ、
④固執しないでフレキシブルに、
⑤リスクを恐れず挑むこと

 

ウチとソトの切り替えを意識的に行うことによって、相手との心の距離をある程度コントロールできるようになります。

 

●協調の原理を構成する4つのルール
(1)量のルール
(2)質のルール
(3)関連性のルール
(4)伝え方のルール

 

・量のルール:適切な量の情報を提供しなさい
・質のルール:嘘や間違っていると思うことは言わない
・関連性のルール:話題に関係のあることを話しなさい
・伝え方のルール:曖昧さを避けて、順序良く、効率的に話しなさい

 

協調の原理の違反は、冗談で成立する原理にもなっているのですが、うまく使わないと、円滑なコミュニケーションを難しくすることが多いので、人はできるだけ協調の原理を守ることを前提に会話を行っていくのです。

 

伝えようとする人と伝えられたものを理解しようとしている人、つまり、話し手と聞き手は、常にお互いにこれらのルールを守ることが原則になっていて、守られないときには必ず守らない「理由」が存在します。
人は、これらのルールが守られないときには、その理由をあれこれ想像します。

 

グライスの協調の原理は、コミュニケーションの根本的原理だけあって、知っておくと、ビジネスの世界でもとても役に立ちます。

 

まどろっこしいものの言い方は、丁寧表現の基本原理の一つです。
たとえば、便所というとあまりにも直接的でそのままなので、便という本来の目的ではなく、用を足したあとに手を洗うというところに視点を移して「お手洗い」と呼んだり、化粧をなおす場所ということに着目して「化粧室」と呼んだりして、まどろっこしく表現するわけです。

 

ことばによるコミュニケーションの神髄は、相手のためにかける「手間」です。
面倒くさがってはいけないのです。
十分な情報を、適切な方法で伝える手間、ことばをかける手間、メールを書く手間、表現を考える手間など、手間をかければかけるほど、コミュニケーション上手になっていきます。

 

■これをやろう!3つの実践ポイント

【207-1】無標・有標を実践して感覚を掴む

【207-2】協調の原理を意識してコミュニケーションする

【207-3】自分に自己暗示をかける言葉を書き出す

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日紹介した書籍情報

【書籍名】なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?:仕事に使える言語学
【著者名】堀田秀吾
出版社筑摩書房
【出版日】2014/2/5
オススメ度★★★★☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワードことばのチカラ引き寄せコミュニケーション
【頁 数】203ページ
【目 次】
第1章 ことばのチカラで人を動かせ!
第2章 ことばを変えて、自分を変えろ!
第3章 ことばの規則で心をつかめ!
第4章 大人のたしなみとしての仕事ことば

 

この本が、あなたを変える!

なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?
堀田秀吾 筑摩書房 2014-2-5
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堀田秀吾さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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