【書評:1706冊目】親子で取り組む作文教室(山口拓朗)

【作文は子どもの能力を伸ばす!】
伝わる文章の専門家・山口拓朗氏が、『親子で取り組む作文教室』と題して、「親子インタビュー」を使った、親子関係もよくなる「子どもの作文能力」が高まる方法を伝授する一冊。

■書籍の紹介文

「作文嫌い」か「作文好き」か。
あなた(のお子さん)は、どちらのタイプですか?

 

本書は、作文が子どもの能力を伸ばすのにどれだけ役立つかを示しながら、「親子インタビュー」を使った「子どもの作文能力」が高まる方法を伝授する一冊。

 

作文と聞くと、夏休みの苦痛を思い出してしまいます(笑)。
同じような感覚になられた方も、多いのではないでしょうか。

 

ふり返ると、作文の書き方をきちんと学んだ記憶は意外と少ないことに気づきます。
「好きに書きなさい」と言われたのに、「もっとここをこうしましょう!」と”矯正”された印象が強く残っています。

 

したがって、作文に対してはいい感情があまり残っていません。
このことが、子どもの個性や能力を育むのに、いかに機会損失なことかが明らかになる一冊です。

 

著者が、子ども向けメディアでの連載や相談への対応で気づいたこと。
それは、作文することで「子どもの10の能力」を伸ばすことができるということです。

 

●作文で伸びる「子どもの10の能力」
(1)観察力
(2)理解力
(3)論理力
(4)思考力
(5)伝える力
(6)表現力
(7)自分を知る力
(8)分析力
(9)共感力
(10)行動力

 

素晴らしいですよね。
身につけてほしい(身につけたい)とおもう、ほとんどの力を伸ばすことができるのですから。

 

◎親子インタビューを使って質問すること
◎質問で引き出した「ホンネ」を肯定すること
◎書くことが楽しくなるワザを教えてあげること

 

この3つを中心に、子どもの個性や能力を育む具体的な方法を示していきます。
親子で一緒になって取り組むことで、親子の関係性にも好影響を与える内容になっています。

 

また、子どもも学べるように平易に書かれています。
そのため、ブロガーなど、苦手な文章力を伸ばしたい人にとっても基礎を学ぶのに役立つでしょう。

 

文章が書けるようになると、自分を表現できるようになります。
これを実感できるように導くことで、連動してさまざまな能力が開かれていくのです。

 

◆作文は子どもの個性を育む!

親子で取り組む作文教室
山口拓朗 日本能率協会マネジメントセンター 2020-8-1
売上ランキング(公開時):18,512
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■【要約】15個の抜粋ポイント

子どもが「作文好き&得意」になるか「作文嫌い&不得意」になるか、そのカギを握っているのは親である(大人である)あなたにほかなりません。
作文という「自己表現」の場を借りつつ、子どもの自己肯定感を高めてあげることが親の役割と心得ておきましょう。

 

子どもの作文能力を伸ばしたいなら、できる限り早いうちに「自問自答」の習慣を身につけさせることです。

 

そこで、お父さんやお母さんの出番です。
子どもの自問自答を手伝ってあげてほしいのです。
おススメしたいのが「親子インタビュー」です。

 

●作文することで伸びる「子どもの10の能力」
(1)観察力
(2)理解力
(3)論理力
(4)思考力
(5)伝える力
(6)表現力
(7)自分を知る力
(8)分析力
(9)共感力
(10)行動力

 

「親子インタビュー」の量を増やすことで、その子の作文能力はグングン伸びていきます。
なぜなら、「質問を受ける→回答を受ける」のプロセスに慣れることで、子どもの思考回路が開けていくからです。

 

親が取るべき反応は、どんな答えであれ「子どもの答えを受け止めること」です。

 

とくに多用してもらいたい質問が「なぜ」です。
作文に理由や根拠が書かれていると、読み応えと説得力がアップします。
また、「なぜ」の答えが書かれていると、その子が「何をどう考えているのか」「物事をどう捉えているのか」、そうした思考のプロセスも垣間見えます。

 

作文初心者や、「作文嫌い」を患っている子どもは、「自由に書きなさい」といわれればいわれるほど、どう書いていいかわからなくなる、という傾向があります。
そのひとつの解決策として、文章テンプレートを提案します。
中でも低学年に合っているのが「メッセージ型」です。
とてもシンプルな型で「①メッセージ→②理由→③未来」の順に流れていきます。

 

表現力が磨かれていくと、作文能力も飛躍的に伸びていきます。
何よりも子ども自身が書くことを「楽しい」と感じるようになります。
ポイントは、「『言葉』で書いて『映像』で届ける」ことです。
(略)
「映像」で届ける方法のひとつが「オノマトペ」の活用です。

 

どうしても「手垢のついた表現」が多い子どもには、その子が使いがちな「手垢のついた表現」を示したうえで、「これらの表現を使わずに書いてみようか」と提案してみましょう。

 

【視覚】何が見えた?
【聴覚】どんな音が聞こえた?
【嗅覚】どんなにおいがする?
【味覚】どんな味がした?
【触覚】どんな手触りだった?
あらゆるテーマ、あらゆる場面で、この「五感質問」が使えます。

 

五感のセンサーは千差万別。
感覚に唯一の正確はありません。
子どもが五感を使って表現したことに対して、親であるあなたにできることは、フラットに受け止めてあげることです。

 

・喜び:喜ぶこと/うれしいこと
・怒り:怒ること/腹を立てること
・哀しみ:悲しいこと/辛いこと
・楽しみ:楽しいこと/愉快なこと
「●●にもこういう感情があるんじゃない?」と子どもに聞いてみてください。
子どもが自分の喜怒哀楽を自覚するだけでOKです。
「自覚する=言葉でつかまえる」です。

 

どうすれば子どもに「書き出しの重要性」を実感してもらうことができるでしょうか?
その答えが、「個性的な書き出しにたくさん触れさせる」です。
子ども自身が「おもしろい」「いいね」「楽しそう」と思えば、その子は、似たような「書き出し」を書いてみたいと思うでしょう。

 

書き終えたときの完成度が50%くらいだったとしても、推敲に力を入れることで100%へ高めることもできます。
以下は推敲をするときの9つのポイントです。
(1)書きたいことを書けているか?
(2)「いらない」ところはないか?
(3)「説明不足」や「言葉足らず」なところはないか?
(4)話の筋がとおっているか?
(5)内容に間違いがないか?
(6)「主語」と「述語」が合っているか?
(7)漢字や送りがなに間違いはないか?
(8)「接続詞」や「てにをは」は正しいか?
(9)「句読点」は正しく打たれているか?

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1706-1】「なぜ」「もしも」を取っ掛かりに自問自答して考える

【1706-2】表現がありきたりのときは、「これらの表現を使わずに書いてみたら?」と考える

【1706-3】印象的な書き出しの文章に出会ったら、ストックする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】親子で取り組む作文教室
【著者名】山口拓朗著者情報
出版社日本能率協会マネジメントセンター
【出版日】2020/8/1
オススメ度★★★☆☆
こんな時に書く力を身につけたいときに
キーワード子育て文章力自己対話
【頁 数】192ページ
【目 次】
第1章 子どもたちが作文嫌いになるワケ
第2章 作文することで伸びる「子どもの10の能力」
第3章 食材(=素材)がなければ料理(=文章)はつくれない
第4章 子どもへの質問力を磨こう
第5章 論理的な思考を作る魔法のテンプレート術
第6章 さらにふくらませたいときは「理由」のあとに「具体例」を入れる
第7章 魔法の質問で名読書感想文を書こう
第8章 楽しく作文が書ける9つの「お題」
第9章 「もしも作文」で空想の世界を旅しよう
第10章 「オノマトペ」を使って世界でひとつの表現をしよう
第11章 「手垢のついた表現」を避けよう
第12章 「五感質問」で子どものオリジナリティを引き出す
第13章 「喜怒哀楽」から始める感情表現
第14章 「書き出し」と「締めくくり」で作文は決まる
第15章 子どもが書きたくなる「お題」の出し方
第16章 〈書いたら読み返す〉9つのチェックポイント+α

 

この本が、あなたを変える!

親子で取り組む作文教室
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山口拓朗さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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