【正論ではなく、悪に魅了されるのが人間である!】
データサイエンティスト・松本健太郎氏が、『人は悪魔に熱狂する』と題して、人間の心理を理解するのに役立つ、悪と欲望の行動経済学のテクニックを解説する一冊。
■書籍の紹介文
つい、買ってしまった…。
最近、そんな商品やサービスありますか?
本書は、ヒット商品には必ず「悪」の顔があると提起し、人間の心理の理解に役立つ行動経済学のテクニックを解説する一冊。
先日の『未読本&積ん読本リスト』でピックアップした本。
さっそく読ませていただきました。
合理的な意思決定の限界に着目する。
これが、本書のテーマである行動経済学です。
合理的にベストの選択ではないけど、ベターな選択だとおもう意思決定をする。
しかし、ベターな選択も周囲から見れば「ワーストな選択」に見えるということも起きます。
このときに行動経済学はこう判断します。
「バイアス」が意思決定を歪めている可能性があると。
周囲から見ると「バイアス(歪んだ意思決定)」でも、本人にとってはベターな選択。
タイトルにある『悪魔』は、ここに潜んでいます。
『悪魔』に支配されて、自分にとってベターな選択を見失わないために。
『悪魔』を活用して、ヒット商品を生み、ビジネスを成長させるために。
さまざまなヒット商品やトレンドを題材に、行動経済学の世界を紐解いていきます。
「人はなぜ合理的に動かないのか」「消費者はなぜデーター通りの行動をしないのか」といった”謎”に迫ります。
人の中には、必ず”悪”の部分が潜んでいます。
そして、その”悪”を刺激されると、人は熱狂してしまいます。
「善」を理想として追求しながらも、「悪」に魅了され、バイアスにより「悪」を「善」にしてしまう人間の二面性。
このような人間の本質に迫っていく空気が、たまらなくおもしろい内容です。
人は単純ではありません。
だからこそ、どこまでも厄介で、どこまでも楽しいのです。
◆”悪”を刺激する。
人は悪魔に熱狂する
松本健太郎 毎日新聞出版 2020-7-11
売上ランキング(公開時):1,171
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■【要約】15個の抜粋ポイント
人間を熱狂に駆り立てるためには、「善」よりも「悪」や「煩悩」のほうがより重要な要素とも考えられます。
煩悩に負けてしまう心と、負けまいと修行する心。
双方を行き来しながら、悩み苦しんで日々を生きているのが人間なのだと筆者は考えます。
「膨大なデータを眺めて『次のヒットは確率的にこれ』と予想するよりも、人間の悪の側面を眺めて『こういう煩悩は誰もが持っているからヒットしそう』と予想する方が、よほどヒットする確率が高いです」
「ヒット商品」の開発者は、どうやってニーズを発見したのでしょうか。
その秘密は、人間の「悪」の1つ、「不満」の見つけ方にあります。
人はある対象を判断するとき、心の中に「アンカー」と呼ばれる基準を設けます。
そして「アンカー」の基準より「良いか悪いか」「高いか低いか」を比較します。
悪い・低い(マイナス)だったら「不満」を抱くようになります。
マイナス幅が大きいほど、大きな不満に繋がります。
「承認欲求」を「いけないもの」だと否定するような商品・サービスよりも、「承認欲求」の存在を一定程度「承認」する「悪魔的」な商品・サービスのほうが、多くの人から支持されるのは間違いないでしょう。
世の中には「正論」を振りかざすと「怒る」大人がたくさんいます。
もっと、怒って良いのです。
怒らないから、世の中は何ひとつ変わらないのです。
人間は「権威」に弱いのです。
「成功者」の権威であれば尚更です。
その意見だけで判断を下してしまうほどに弱いのです。
悪魔的とも言える説得力の源泉は、「成功すること」にこそあると言えるかもしれません。
結局、努力しろ。結果を出せ。
この9文字が全てなのかもしれません。
人々に愛されたいのなら、「学歴」や「財力」「地位」などをひけらかすよりも、「みんなと同じくらいにダメ」な「素の自分」をさらけ出すほうが余程効果的です。
「煽り」が成立するためには消費者に与える情報を一定程度制限することになりますし、逆に消費者が「煽り」に騙されないためには、なるべく情報をあつめて高いリテラシーを持つほうが良いと言えるでしょう。
つぎの3つを守るよう心がければ、「煽られて」「騙されて」搾取されるのを防げるのではないでしょうか。
・専門家の意見だけでなく、自分の頭で考える
・専門的な情報を仕入れ、それが正しいかを確認する
・データが正しいかどうか、クリティカルに考える
人間は「確率に弱い」生き物なのです。
たった1人の意見は主観ですが、それを大勢集めると「客観」として通用します。
意見は数を集めるほど「客観性」が高まり、「1人」の意見の重みが相対的に下がります。
しかし多くの人はそうした「サンプルサイズ」を気にせずに、ランキングを信用してしまいがちです。
これを「サンプルサイズに対する鈍感さ」と呼んでいます。
正しいか間違いか、いいか悪いかという単純な二項対立で物事を捉えていると、バイアスに騙されやすくなりますし、また「人間性の洞察」からも離れていってしまうでしょう。
人間は「客観的に見れば他人より劣っている暮らし」であっても、「主観的には幸せ」という矛盾を受け入れられる、都合のいい生き物ではないかと思います。
人間を理屈や損得勘定だけで判断してはいけないとわかります。
人間は「勘定」と「感情」の2つを元に行動します。
新型コロナウィルスはそうした人間の本質を露わにした、といえるでしょう。
■【実践】3個の行動ポイント
【1700-1】自分がよく購入する商品を、「悪」や「煩悩」の視点で分析してみる
【1700-2】情報やランキングを判断するときは、サンプルサイズを意識する
【1700-3】人間は「勘定」と「感情」の間を行き来する生き物だと認識する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】人は悪魔に熱狂する
【著者名】松本健太郎 ・ 著者情報
【出版社】毎日新聞出版
【出版日】2020/7/11
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】明日のマーケティング力を磨きたいときに
【キーワード】行動科学、心理学、ビジネス理論
【頁 数】336ページ
【目 次】
序章 ヒット商品には必ず“悪”の顔がある
第1章 人は「強欲」な存在である
第2章 「怒り」が人を動かす
第3章 人は「怠惰」な動物である
第4章 言葉は人を騙す
第5章 嘘は真実より美しい
第6章 人は「矛盾」に満ちている
この本が、あなたを変える!
人は悪魔に熱狂する
松本健太郎 毎日新聞出版 2020-7-11
売上ランキング(公開時):1,171
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松本健太郎さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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