【勝ち負けではない交渉論】
弁護士・谷原誠氏が、『7タイプ別交渉術』と題して、交渉の極意とは相手のタイプを見抜くことにあると提起し、7つのタイプ別に交渉が驚くほどスムーズになる交渉術を解説する一冊。
■書籍の紹介文
自分の思い通りに交渉できた。
それなのに、後味の悪さを感じた経験がありませんか?
本書は、勝ち負けにこだわる交渉から一線を画す、相手のタイプを見抜くことで実現する、お互いに納得できる交渉術を解説する一冊。
交渉と聞くと、戦いというイメージが少なからず湧いてきます。
自分が勝つか、相手が勝つか、主張をぶつけ合う場だというイメージです。
しかし、これらのイメージは交渉の本質ではないと著者はいいます。
交渉とは、相手のタイプを見抜いた上でお互いに納得できる点を探ることだと説きます。
相手がどんな人かを理解しないのに、交渉の着地点がわかるわけがない。
着地点を知りたければ、相手がどんなタイプなのかを見抜くことが大切だというわけです。
本書は、人を7つのタイプに分類しています。
それぞれの特徴を示しながら、タイプ別に有効な交渉テクニックを解説します。
人は、自分の価値観にしたがって、物事を判断します。
ゆえに、価値観に即した提案がされると、納得して「YES」と答えやすいのです。
ここに焦点をあててテクニックをまとめているので、強引さとは無縁です。
交渉ごとは苦手だという人でも、安心して取り組むことができます。
交渉のやり方を理解していないと、思わぬところで敵をつくり損をする可能性があります。
言い換えれば、やり方さえ理解していれば、友好的な交渉はだれにでもできるのです。
相手のタイプを見抜き、納得してもらう交渉術。
学びごたえのある内容の一冊です。
◆交渉とは、勝ち負けにあらず!
7タイプ別交渉術
谷原誠 秀和システム 2020-4-25
売上ランキング(公開時):55,291
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■【要約】15個の抜粋ポイント
私が仕事をする上で心掛けているのは「more than expected」(=期待以上)ということです。
報酬以上の顧客満足度を得ていただくことを心掛けています。
●質問の持つ「4つの力」
①人は質問されると、その答えを考えてしまう
②質問によって、相手の思考は限定されてしまう
③質問は相手に答えを強制する力がある
④質問に答えた人は、自分のその答えに縛られる
相手が考えた場合には、こちらが強制したわけではないので、その考えは「相手の考え」ではなく「自分の考え」になります。
その人は、自分の考えに納得し「イエス」と言いやすくなる、ということです。
相手と合意をしないと、いま自分の抱えている問題を解決できないから、交渉しているのです。
人は、相手に勝つために交渉するのではありません。
心理法則は、相手がそのとおりの心理になってくれないと、何の役にも立たないのです。
(略)
したがって、交渉でテクニックを使うには、相手がどのような人なのかということを知って、有効なテクニックを用いていく必要があるということです。
まず「自分と相手は違うのだ」ということを出発点とします。
そこから「では、なぜあなたはそう考えるようになったのか?」ということを探るのです。
人がある考えを持ったり、行動したりする背景には、必ずその人なりの理由や目的があるからです。
価値観は、その人の幸福度を測る指標となるものです。
人は自分の価値観に基づいて生活できれば、それで幸せなのです。
説得や交渉をうまくいかせるポイントも、ここにあります。
しぶしぶではなく、相手が納得する形で動かしていくには、相手が大切に思う価値観を満たしてあげるか、あるいは相手が大切に思う価値観が失われる恐怖を感じてもらうかが必要ということです。
●価値観別「7つのタイプ」
①損得タイプ:物事の判断を損か得かで決める
②成功追求タイプ:物事の判断を自分の成功に結びつくかどうかで決める
③快楽追求タイプ:物事の判断を楽しいかどうかで決める
④平和主義タイプ:物事の判断を平和で争いにならないか否かで決める
⑤ロジカルタイプ:物事の判断を感情ではなく、論理的に正しいか否かで決める
⑥勝敗タイプ:物事の判断を相手に勝ったり負けたかで決める
⑦人助けタイプ:自分を犠牲にしてでも、他人のためになることを最優先する
損得タイプを説得するには?
①「こっちのほうが得だ」と感じさせる
②「Aでは損だから、Bにしよう」と感じさせる
ロジカルタイプを説得するには?
①感情よりも理性に訴える
②相手の考え方を否定せず、「考え方を変える」ことを正当化してあげる
③過去の発言や理念などとの自己矛盾を見つけて指摘する
勝敗タイプを説得するには?
①最後に「勝った」と感じてもらう
②交渉カードを最後まで温存して、最後に譲歩する
③交渉を成立させるには、迎合せずにぶつかることが必要な場合もある
弁護士がよく使う議論のテクニックとして「そもそも論法」というものがあります。
①「そもそも」(大前提)
②「ところで」(事実認定)
③「とするならば」(事実を大前提にあてはめる)
以上の順番で議論を展開する方法です。
交渉では、可能な限り、嘘をつかないことをお勧めしますが、期限については、事実と異なる期限を告げることも検討していいでしょう。
なぜなら、期限についての嘘は、相手に損害を与えないからです。
相手の価値観を変える「だからこそ」の活用法
①相手の価値観を特定する
②その価値観の上位となる価値観を特定する
③②で特定した価値観から「だからこそ」で始めて、反対の結論を導く
■【実践】3個の行動ポイント
【1667-1】「期待以上」を心がけて仕事をする
【1667-2】「自分と相手は違うのだ」ということを念頭に人と接する
【1667-3】「人は自分の価値観に基づいて生活できれば幸せ」ということを念頭に人と接する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】7タイプ別交渉術
【著者名】谷原誠 ・ 著者情報
【出版社】秀和システム
【出版日】2020/4/25
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】明日の仕事力を磨きたいときに
【キーワード】交渉術、問題解決、人間関係
【頁 数】238ページ
【目 次】
第1章 人は説得されたいのではない、納得したいのだ
第2章 口ベタ・気弱な人だからこそ納得してもらえる
第3章 相手を7タイプに分けられたら交渉成立に王手
第4章 7タイプはどう交渉すれば納得してくれるのか?
第5章 どのタイプにもすぐ使える弁護士の交渉テクニック
この本が、あなたを変える!
7タイプ別交渉術
谷原誠 秀和システム 2020-4-25
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谷原誠さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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