【書評:2046冊目】裏切り者は顔に出る(清水建二)

【感情は、表情として必ず顔に出る!】
空気を読むを科学する研究所代表・清水建二氏が、『裏切り者は顔に出る』と題して、無意識の表情=「微表情」の世界を解説しながら、表情から相手の本音を見抜く方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

相手の表情や仕草から感じる違和感。
あなたも感じたことがありますよね?

 

本書は、米軍やFBI、CIA等でも駆使されている、無意識の表情=「微表情」を読み解くスキルを紹介しながら、表情や仕草、会話から相手の本音を見抜く方法を指南する一冊。

 

微表情とは。
抑制された「真の感情」がフラッシュのように一瞬で顔に表れて消え去る表情のことをいいます。

 

満面の笑みを浮かべているようにしか見えないのに、ほんの一瞬だけ表情が曇る。
相手のことを褒めたたえているときに、ほんの一瞬だけ口角が上がる。

 

注意していないと見逃してしまう。
その一瞬の変化にこそ、本当の感情、すなわち本音が隠れているというのが、微表情の世界です。

 

さまざまな研究や著者の知見から、微表情が表れている時間はわずか『0.5秒』だといいます。
まさに、一瞬の出来事ですね。

 

ゆえに、無意識のもとに微表情は起こり、コントロールすることはほぼ不可能なのです。
だからこそ、そこを読み解くことができれば、その表情の裏に抑制されている「真の感情」を知ることができるのです。

 

とはいえ、0.5秒です。
特別な能力を持っている人にしかできない芸当だとおもってしまいます。

 

ただ、著者は「スキルである以上、トレーニングすれば習得することは可能」と説きます。
しかも、1時間ほどの練習で、微表情検知テストの正答率が練習前の2倍に向上することがわかっているとのこと。

 

本書では、さまざまな顔写真や実際の活用例などを豊富に使った解説を通じて、微表情を読み解くスキルを指南していきます。
実用性はもちろんですが、楽しみながら学べる内容だという印象を受けます。

 

「裏切り者はーー」とタイトルは少し攻撃的な印象を受けます(そういう活用法もあるので仕方ありませんが)。
あくまで主眼は、微表情を読み解くスキルを持つことで、相手をより深く理解でき、関係向上へ役立てることに置かれています。

 

興味深くもあり奥深くもある微表情の世界。
人間関係をよりよい方向に向かわせるためにも、ぜひ覗いてみてください。

 

【補足】
本書を読んでいて、ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間を思い出しました。
微表情からウソを見破ることで次々に事件を解決していく米国のサスペンスドラマです。
書籍の内容を補完するのにいいなとおもったので、参考までに。

 

◆表情に隠れた微表情に目を。

裏切り者は顔に出る
清水建二 中央公論新社 2022-2-9
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■【要約】15個の抜粋ポイント

抑制された感情が意識・無意識問わず、瞬間的に、ときに部分的に顔に表れる微表情。

 

人間の感情というものは強ければ強いほど抑えることが困難になり、微表情として生じてしまうことがわかっています。

 

実際にやってみると、最初はもの凄く難しく感じますが、次第に読みとれるようになってきます。
一時間のトレーニングで、微表情検知正答率が四〇パーセントから八〇パーセントにまで向上することがわかっています。
またトレーニング実施後、微表情検知トレーニングを何もしていなくても二〜三週間、持続することがわかっています。

 

表情は最も雄弁に感情を語ってくれます。
感情は表情、声、ボディーランゲージの順番で、質・量ともに豊富な情報を提供してくれるのです。

 

幸福・軽蔑・嫌悪・怒り・悲しみ・驚き・恐怖の七つの感情が表情に表れるとき、国や文化を問わず、いつでも、どこでも、誰にでも同じ表情筋の動きを伴うことがわかっています。

 

幸福表情とは、いわゆる笑顔です。
幸福表情の特徴は二つです。
①頰が引き上げられる
②口角が引き上げられる
(略)
また、幸福表情のバリエーションとして愉快と満足があります。
愉快表情の特徴は五つです。
①まぶたに力が込められる
②頰が引き上げられる
③口角が引き上げられる
④口が開かれる
⑤頭が上げられる
満足表情の特徴は二つです。
①まぶたが引き下げられる
②口角が引き上げられる

 

(メラビアンの法則には)前提が必要です。
それは「言動が一致していないとき」という前提です。
言動が一致していないとき、言葉からは七パーセント、声の調子や口調からは三八パーセント、(表情を含む)ボディーランゲージからは五五パーセントの影響を受け、メッセージが適切に伝わらない、ということです。

 

ボディーランゲージの形態・動きを動作別に分類すると四つに分けることができます。
それぞれ、
1.ポスチャー(姿勢)
2.マニピュレーター(身体に触れる)
3.イラストレーター(手ぶり・身ぶり)
4.エンブレムと微動作(ジェスチャーやしぐさ)
の四つです。

 

正直な話をしている者に比べ、ウソをついている者は、身ぶり・手振り(イラストレーター)が減る傾向にある、ということを多くの研究が示しています。

 

言い間違えや返答ミスの一言で判断するのではなく、文脈を考えながら、「あ、今、言い間違えが起きたな。ちょっと注意して話を聞いてみよう」くらいのスタンスがよいと思います。

 

次の八つの項目にチェックが入るほど、実際の体験に基づく可能性が高い発言と判断出来ます。
①発言内容に整合性がある
②空間情報がある
③時間情報がある
④人に関する情報がある
⑤五感情報がある
⑥その他の詳細情報が豊富である
⑦順序立っていない発言がある
⑧発言内容の訂正がなされる

 

●本音を引き出す「七つの質問」
(1)オープン質問
(2)フォローアップ質問
(3)クローズド質問
(4)反予測質問
(5)反復質問
(6)コントロール質問
(7)要約質問

 

自分に自信があるときこそ、勢いのまま突き進むのではなく、相手がどう思っているか、慎重になる必要があると思います。

 

話をしていて、「何かこの人、話の間合いがおかしい」と感じることがあります。
そんなとき、適当なタイミングを計り、意識して眉間に力を入れながら相手の話を聞きます。
最初はさりげなく、それでも気づかれなければ、相手の方をじっと見ながら明確に。
相手がこちらの異変に気付き、話の間を変えたり、話の主導権をこちらに譲ってくれるようなリアクションがあれば、「あ、良かった。この人とはまともなコミュニケーションがとれそうだ」と思います。

 

相手がウソをついていたことがわかったとしても、ウソに込められた意図に想いを馳せることも重要です。
そのウソは利己的なものではなく、誰かを守るためのウソかも知れません。
利己的なウソだったとしても、ウソをつかざるを得ない状況に苦しめられているのかも知れません。
ウソを見抜いて終わりではなく、ウソを見抜いたうえでの付き合いというものもあるでしょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2046-1】相手のことをよく観察する(無論、不審に思われない範囲で)

【2046-2】相手の表情が変わったら、その後の相手の言動に注意を払う

【2046-3】ウソを責める前に、ウソに込められた真意を探る

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】裏切り者は顔に出る
【著者名】清水建二著者情報
出版社中央公論新社
【出版日】2022/2/9
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日の人間関係を良くしたいときに
キーワード人間関係心理学リーダー
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 「微表情」とは?
第2章 人類共通の表情、異なる表情
第3章 ジェスチャーを見抜く
第4章 会話から漏れる心理
第5章 日常に潜む危険サイン

 

▼さっそくこの本を読む

裏切り者は顔に出る
清水建二 中央公論新社 2022-2-9
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清水建二さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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