【いざ、その時が来て慌てないために】
ジャーナリスト・河合雅司氏と不動産プロデューサー・牧野知弘氏が、『2030年の東京』と題して、2030年の東京の姿を可視化しながら、来るべき時代への処方箋を提言する一冊。
もくじ
■書籍の紹介文
2030年。
社会はどうなっていると、あなたは予測しますか?
本書は、『2030年』は東京そして日本にとって、その後の時代への分岐点になると提起し、仕事や住まい、家族といったテーマごとに、今から考えたい処方箋を提言する一冊。
『変化に合わせて変わらなければ生き残れない』
ダーウィンの進化論でも有名なこの”法則”は不変である。
読み進めるうちに、このように思いました。
そして、変化への感度、対応の鈍さを危惧してまとめられているのが本書です。
「仕事」「家族」「街、住まい」「暮らし」「老後」。
このテーマごとに、2030年の東京の姿を可視化していきます。
超高齢化社会と言われて久しい日本。
そのピークは2040年代に来ると言われています。
このピークに向かって、社会全体に大きな変化が起き始めるのが2030年だと指摘。
既存の成長モデルやビジネスモデル(から来る固定観念や常識も含めて諸々)が、いよいよ本格的に通用しなくなると予測します。
その上で、来るべき”その時”に備えて、今から考え、行動を変容させるべきことを提言していきます。
2人の著者の予測をもとに、自分でも考えて、家族や周囲の人たちともざっくばらんに話し合うことが、何より大切です。
半世紀も前の計画に従って、いまだに延々と新幹線やら高速道路やらを作り続けるような日本の行政に暗澹たる気持ちを覚えるのは皆同じです。
ただ、2030年もその先も、そんな社会を生きるのはわたし達なのです。
人の集合体が社会なのですから、社会が変わるためには一人ひとりの”変化”が不可欠です。
変化から逃げていたら、生き残れないのですから。
◆目を背けないこと。
2030年の東京
河合雅司、牧野知弘 祥伝社 2022-3-1
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■【要約】15個の抜粋ポイント
日本は経済大国になりました。
しかしながら、労働集約型の企業が少なくないだけでなく、利益高より売上高を重視する薄利多売型の企業も多い。
いまだに発展途上国型のビジネスモデルのままなんです。
人口減少社会において、私たちは「死んだ時間(通勤時間や移動時間など)」を「生きた時間」に生まれ変わらせる意味をもっと重視しなければいけません。
簡単にAIにとって代わられないように、自分が持ちうる「人間ならでは」の能力を見つめ直しておくことは大事だと思います。
2030年までに解決しなければならないのは、高度経済成長期以降、地方から東京に流入した多くの若年層が高齢化することで起こる、高齢者の増大問題です。
加えて現在、現役の人たちの親まで東京に流入するとなれば、介護に関する人員と施設不足に拍車がかかります。
逆に地方の介護施設は現在、空床が目立つようになっています。
今後の東京は、単身者の急増が予想されます。(略)
2030年の単身者は1人暮らしの高齢者です。
詰まるところ、東京は十分な所得を得られない独り身の人たちの集合体になってしまうからもしれません。
成長ラインで言うと、東京はまず西に向かって伸び、それが南に移り、次は東、最後に北が成長していくという法則があり、このラインで地価が形成されています。
実際、JR中央線、小田急線、京王線、東横線の地価が高くなり、次にJR東海道線、JR京浜東北線が高くなりました。
そして、円を描くように広がったところで、縮み始めた。
伸びきった東京は今後、2030年にかけて縮んでいくのです。
乱暴な言い方をすれば、住民を横に並べたのがニュータウンで、縦に並べたのがタワマンです。
今後は、持ち家か・賃貸か、新築か・中古か、一戸建てか・マンションかなど幅広い選択肢から選ぶことができます。
さらにデベロッパーが昭和・平成型の開発をして「さあ買え」とばかりに供給されたマンションや建売住宅を買うのか、自分が気に入った街の中古住宅を自分で選ぶのか、土地を買って自分の好みの住宅を建てるのかを自分の意思で決められるようになります。
それが定着するのが2030年頃でしょう。
伸びる街とは、街プライドを創成することができる街であり、そうすれば次世代につながる好循環が生まれます。
2030年に向けて、郊外型の巨大商業施設は東京郊外では減少すると思います。
高齢者にとっては、スーパーマーケット化したドラッグストアのほうが使い勝手がいいかもしれません。
最近のドラッグストアが1人暮らし向けの食材を充実させているのも、そうしたニーズが大きくなってきたからでしょう。
2030年の東京を展望する時、気がかりな課題の一つに治安の悪化があります。
犯罪は確実に増えていくと見ています。
2030年頃になると、老後資金を十分に貯めきれないまま60代を迎えるという人もたくさん出てくるでしょう。
もし老後資金が足りなければ、自衛手段を講じなければなりません。
それは主に三つあります。
①働けるうちは働くこと
②可能な人は資産運用すること
③自分でできることを増やして家計支出を抑えること
2030年を東京に限らず、日本の分岐点の年として位置づけるべきだと考えます。
(略)
これまで何とかやってきた古き成功モデルがどんどん通用しなくなり、小手先の改革では意味をなさなくなるのが、2030年代なのです。
■【実践】3個の行動ポイント
【2028-1】2030年の自分の年齢を確認する
【2028-2】自分が持つ「人間ならでは」の能力を棚卸しし、徹底的に鍛える
【2028-3】日常生活の中で自分のできること(家事やDIYなど)を増やす
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】2030年の東京
【著者名】河合雅司
【著者名】牧野知弘
【出版社】祥伝社
【出版日】2022/3/1
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】社会、考える、教養
【頁 数】192ページ
【目 次】
第1章 仕事はこうなる
第2章 家族はこうなる
第3章 街、住まいはこうなる
第4章 暮らしはこうなる
第5章 老後はこうなる
▼さっそくこの本を読む
2030年の東京
河合雅司、牧野知弘 祥伝社 2022-3-1
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河合雅司さん、牧野知弘さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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