【書評:2065冊目】バカのための思考法(浅村正樹)

【その考えは、本当にあなたの考えですか?】
情報空間コーディネーター・浅村正樹氏が、『バカのための思考法』と題して、現代人は与えられることに慣れきっていると警鐘を鳴らし、思考力を取り戻す方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

自分の考えが間違っていた。
こう素直に認めたのは、いつが最後ですか?

 

本書は、現代人は与えられることに慣れきっていると警鐘を鳴らしながら、自分のアタマでしっかり考えられる人間であるために、思考力を取り戻す方法を指南する一冊。

 

人間の脳は、とかく怠けるのが好きな特性を持つと言われています。
難しいことは考えたくない、変化を嫌い現状維持を好む、といったように。

 

一方で、短くて刺激的なわかりやすいフレーズが大好きです。
センセーショナルな話題や刺激的なタイトルの動画に飛びつく感覚を想像すれば分かるように。

 

いま、わたし達の日常生活は、この特性を巧みに刺激してくるモノで溢れかえっています。
わたし達の脳を気持ちよく心地よくするエサを撒き、わたし達の脳を手懐けて、行動をコントロールしようとしてきます。

 

SNSしかり、広告しかり、メディアしかり、・・・。
脳を刺激し、思考や行動をコントロールし、みずからのビジネスに有利になるように誘引・誘導してきていることは、感覚的にわかるとおもいます。

 

こうした状況を自覚せずに、刺激されるままに進むとどうなるのか。
他人と同じでありたいと思う人間を大量生産することにつながると、著者は警鐘を鳴らします。

 

そんな大量生産される人間を、「『他人思考・他人価値観』型人間」と著者は名づけます。
自分のアタマで考えることはなく、誰かが考えたことのなかから、自分にとって気持ちがよいものだけに便乗して生きる人間という意味です。

 

問題なのは、大量生産された人間のほとんどが、そのことに自覚がないということです。
あたかも自分のアタマで考えた”思考”であると、無自覚に”信じこんでいる(信じこまされている)”のです。

 

結果、なにが起こるのか。
管理された社会主義的な世界が広がることになると、著者は危機感を露わにします(「人間牧場」という言葉まで出ます)。

 

そのうえで、自分のアタマで考えるという当たり前の状態を取り戻すためにはどうすればいいのか。
著者が自分の経験をもとに導き出した”考え”を提示し、あなたが自分のアタマで考えることを促していきます。

 

もちろん、全体的な流れに身をまかせて「『他人思考・他人価値観』型人間」で生きるというのも、その人の選択です。
難しいことは考えず、誰かが考えて築いた社会のなかで生きていくというのもひとつの考えです。

 

ですが、「それって本当に”人”と言えるんですか?」と問いかけてくる感覚になる一冊です。
なぜ、人には本能とは違う”思考”という能力が与えられているのか。

 

このことをじっくり考えるよい機会だとおもいます。
読んでみてください。

 

◆考えるを考える一冊。

バカのための思考法
浅村正樹 クロスメディア・パブリッシング 2021-10-22
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「どうして毎日、給食に牛乳が出るのか?」といった素朴な疑問は、バカを脱出するための良い疑問なのである。
この「意図」を汲み取るということが「考える」ということなのだ。

 

自由主義陣営のリーダーであるアメリカが創った日本人の多くは、皮肉にも、結果として社会主義色の強い国民になってしまったのである。

 

「正しい」ことしか選択できない日本人の多くは、それほど抵抗感なく誰かが下した判断に従うのである。

 

テレビの論調を逆様にして世界を観察すると、世界がこれからどうなっていくのか、私たちはどこへ導かれているのかといった巨視的な観点を手に入れやすくなると私は思っている。

 

考えたくないことから逃げるための思考停止の手段として「陰謀論」のレッテルを貼るのは、人類の深刻な問題と言わなければいけない。

 

自分の頭の中に「真実」を組み立てていく気持ちが「人生の納得度」を左右すると私は考えている。

 

私たち人間の脳は、自分の信念や価値観にそぐわない情報は「間違っている」と認定し、素直に受け入れない傾向がある。
現実をあるがままに直視しているようで、自分の信念を曲げずに済む情報しかキャッチしないようにできているのだ。
あるいは、自分の信念や価値観に合致するようにしか現実を解釈しない特性を持っている。

 

オールドメディアかインターネットかが問題ではなく、「考える」か「考えられない」かの二極化なのだ。

 

自分の頭で考えて、自分の心で決める生き方以外に、あなたをワクワクさせる技法などないのである。

 

SNSもまた人を集めて市場を創り出し、そこに広告を打たせて収益を上げる構造である以上マスコミなのである。

 

ソーシャルネットワークという個人間の繋がりを大前提とする情報空間の場で、個人の言論や表現に対して過度にポリティカル・コレクトネス(言論表現の不寛容さ)を求めることは、情報統制や言論統制に繋がっていく。

 

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は自身の財団を通じて世界保健機関(WHO)に多額の寄付をしている。
民間からの寄付としては断トツであるだけでなく、世界各国の政府と比べても、アメリカに次ぐ第2位の高額寄付者である。
日本国よりもWHOにお金を出しているのだ。

 

一番深刻な問題はウイルスによるパンデミックよりも、自分の頭で考えない「与えられ脳」の人たちによる思考停止のパンデミックだと思っている。

 

何も考えずに生きているという自覚を持たなければ、主体的に自分の頭で考えることなどできないのだ。

 

私も含む多くの「バカ」な人間たちが、この激動の時代を生き抜いていくために必要な「思考法」とは、意識が現実を創り出しているという原理原則を学び、自らの意識と向き合っていくことなのだと私は考える。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2065-1】近現代史を勉強する

【2065-2】自分自身に関心を持つ

【2065-3】意識を自分に向けて、自分の心の声を聞くようにする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】バカのための思考法
【著者名】浅村正樹著者情報
出版社クロスメディア・パブリッシング
【出版日】2021/10/22
オススメ度★★★☆☆
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード思考自己対話マインド
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 [教育]
第2章 [世界]
第3章 [隣国]
第4章 [情報]
第5章 [感情]

 

▼さっそくこの本を読む

バカのための思考法
浅村正樹 クロスメディア・パブリッシング 2021-10-22
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浅村正樹さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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