【シェア読書:1035冊目】誰がアパレルを殺すのか(杉原淳一、染原睦美)

【買いたい服がないは、なぜ生まれるのか?】
日経ビジネス記者である杉原淳一氏と染原睦美氏が、深刻な苦境にあるアパレル業界を徹底取材した一冊。結果、「誰がアパレルを殺すのか」の問いの答えがみえてきた。

■この本の紹介文

仕事で矛盾に感じることがありませんか?
その矛盾が、あなたの仕事をじわじわ殺しているかもしれません。

 

本書は、苦境にあえぐアパレル業界で今なにが起きているのか、その現状を国内外で徹底取材した一冊。

 

まず見えてきたのは、「消費者を誰も見ていない」という致命的な業界の欠陥です。
川上から川下まで徹底した分業がいきすぎた結果、「消費者がなにを求めているか」という根本的な姿勢が忘れ去られた、”内輪の論理”に終始している既存アパレル業界の現状が晒されます。

 

分業が進み過ぎた結果、「まったく同じ商品が、商品のブランドタグが違うだけで、日本中の店舗に並ぶ」という、信じられないほど滑稽な事態がまかり通っていることに驚かされます。
それをおかしいとも思わないほど、既存のアパレル業界は”思考停止”しているのです。

 

明るい未来への可能性は示されています。
ただ残されている時間は、想像以上に少ないように感じます。

 

一番の問題は、業界の変革までに人材が枯渇しないかということです。
”内輪の論理”で長年使い捨てにされてきた販売の現場は、限界を超えているからです。

 

毎日着ている洋服の話。
袖を通す前に、読んでおきたい一冊です。

 

◆買いたい服は、なぜ店から消えたのか。

■本がわかる!15の要約ポイント

作った商品が見込みほど売れず、不良在庫が発生してセールに回るのはほかの業界でも珍しくはない。
ただ、アパレル業界がほかと違うのは、大量の売れ残りを前提に価格を設定し、ムダな商品を作りすぎているという点だ。

 

ユニクロや欧米ファストファッションは、アパレル産業の川上から川下までの情報を正確に把握し、サプライチェーン全体を合理的に管理している。
(略)
強さの本質はサプライチェーンのすべてを把握している点にある。
だがそれに気付かなかった既存の大手アパレル企業は、製造拠点を中国に移すだけで、製造拠点を中国に移すだけで、ユニクロや欧米ファストファッションと同じように人件費を安く抑えられ、大量生産によるスケールメリットによって製造コストを下げられると考えた。

 

「投資ファンドによるアパレル会社の買収や再編が相次ぐのでは」という憶測は、相変わらず業界の内外で飛び交っている。
それは、かつてないリストラを実施しているにもかかわらず、アパレル各社の業績がいまだ反転攻勢とはほど遠い状況にあるからだ。

 

ユニクロは中国に自社工場を持っているわけではない。
本質的な強みは、「中国のどの経営者が、どんな工場を経営しているのか」といった情報を常に収集することで、どこの誰に、どんな仕事を発注すればいいのか知っていることにある。

 

見誤ってはいけないのは、アパレル業界は不振に陥ったから、現場が”ブラック”になったのではない。
何十年にも渡って、現場の販売員を使い捨てにする風潮を放置し、彼らの存在を軽視してきたために販売力が削がれ、業界不振の原因になったのだ。

 

既存のビジネスモデルを守りながら、その上につぎはぎして延命を図る経営は限界にきている。
ゼロから新しいビジネスを作るつもりで、既存のビジネスモデルを破壊する。
経営者に問われているのは、その覚悟だ。

 

日本のブランドには、価値観がないんです。
(ユニクロ/柳井正氏)

 

新興プレーヤーは消費者の利益を最優先に、商品やサービスの質を磨く。
”内輪の論理”を優先し、消費者のメリットを後回しにしてきた既存のアパレル企業とは大きく異なる。

 

ライアン・バベンジンCEO(靴のオンラインSPA「GREATS(グレイツ)」)は「従来型のセールはしない。第一、セールを実施するということは、元の価格設定が誤っていることの証左だ」と切り捨てる。

 

ZOZOTOWN(ゾゾタウン)の年間売上高は763億9300万円(2017年3月期)。
この売り上げ規模は、阪急阪神百貨店の婦人服の売上高を上回る。

 

メルカリの利用者の中には、実店舗で新品を買う時にも、メルカリでそのブランドの中古相場を調べてから買い物をする人も多い。
売ることを前提として新品を買うのだ。

 

売り場をショールームと位置付け、インターネットでブランドの世界観を伝えるオンラインSPA(製造小売業)や、憧れのブランドの洋服を売らずに「貸す」レンタルサービス、思い通りの商品を「オーダーメードする」カスタマイズサービス。
IT業界からアパレル産業に参入したプレーヤーたちは、洋服の新しい楽しみ方を教えた。
消費者も、次々に誕生する新サービスを好意的に受け入れ始めた。

 

「アパレル業界に大器晩成はない。20〜30代向けのマーケットで戦うなら、若くして芽が出ない人間は生き残れないから」(TOKYO BASE/谷正人CEO)

 

モノ作りの巧みな「技」をアピールする日本のアパレル企業は多い。
しかし、それを世界に売り込みたいと思うなら、技術を知り尽くし、自分の言葉で情熱を伝えなくてはならない。
ジャパンブルーの成功はそれを教えてくれる。

 

世の中は大量の衣料品であふれている。
にもかかわらず、さらに日々新たな商品を作り続けることに、どれほどの意味があるのか。
長期間使ってもらうモデルを模索すれば、不毛な「短期大量生産」のサイクルから脱することができるし、「修理」「リサイクル」を新たな成長の柱に据えれば、新品を作らずともビジネスは成り立つのかもしれない。

 

■これをやろう!3つの実践ポイント

【1035-1】じぶんの仕事の矛盾を書き出す

【1035-2】じぶんの仕事の理想の姿を書き出す

【1035-3】理想の姿を実現するための障壁を書き出す

 

■ひと言まとめ

何事も、原因は外ではなく内にあり!

 

■本日紹介した書籍情報

【書籍名】誰がアパレルを殺すのか
【著者名】杉原淳一染原睦美
出版社日経BP社
【出版日】2017/5/25
オススメ度★★★★☆
【こんな時に】ビジネス理論を深めたいときに
【キーワード】ビジネスモデル決断組織改革
【頁 数】252ページ
【目 次】
第1章 崩れ去る”内輪の論理”
第2章 捨て去れぬ栄光、迫る崩壊
第3章 消費者はもう騙されない
第4章 僕らは未来を諦めてはいない

 

この本で、あなたは変わる。

 

杉原淳一さん、染原睦美さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

本日もお読みいただきありがとうございました!

 

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