【書評:2091冊目】ギャラをいくらにする?(堀内雅生)

【適正なギャラは適正な会計知識で測る】
日本大学芸術学部非常勤講師・堀内雅生氏が、『ギャラをいくらにする?』と題して、活躍し続けるには会計の理解が必須と提起し、フリーランスに必要な会計の知識を講義する一冊。

■書籍の紹介文

仕事における会計処理。
「面倒くさいな」などとおもって行なっていませんか?

 

本書は、会社員であれフリーランスであれ、ビジネスで活躍し続けるには「会計」の理解が必須であると提起し、ここだけは押さえておきたい「会計」の知識を講義する一冊。

 

「ギャラの提示は強気が肝心!」
「ギャラ交渉はこう攻略しろ!」

 

もしこのようなキャッチーな情報を求めているのなら、本書は不向きです。
もちろん、そのような浅はかな方はいらっしゃらないとおもいますが・・・・。

 

ビジネスをするということは、お金のやり取りをするということです。
この、お金のやり取りをルールに従って処理するのが「会計」です。

 

逆にいえば、処理された「会計」を見れば、そのビジネスが見えるのです。
「会計」が持続可能な状態ならば、そのビジネスも持続可能と判断できるわけです。

 

ゆえに、ビジネスをしてお金を稼ぐ以上、会社員であれフリーランスであれ「会計」への理解は必須なのです。
とはいえ、公認会計士や税理士などの国家資格職があるほど奥の深い世界・・・。

 

専門職を目指すわけではないわたし達としては、「基本的な知識と仕組みを効率よく・・・」と願うわけです。
そうしたわたし達に向けて書かれたのが本書になります。

 

『会計の本質は数字の”組み合わせ”パズル』
著者はこう語りながら、押さえておきたい「会計」の知識をわかりやすく解説していきます。

 

日本大学芸術学部は、アーティストやクリエイターとして個人で独立する卒業生も多い環境。
そうした人達が「最低限は会計を理解できるように」という意図も含まれて書かれているので、とても噛み砕いた内容になっており読み進めやすいです。

 

会計の仕組みは社会の仕組みの一部である。
社会の仕組みを知ることは、社会でつまずかないための身を守る手段につながる。

 

この著者の信念がひしひしと伝わる、丁寧な構成になっています。
初学者はもちろん、「会計」をうやむやにしてきてしまった人にもオススメです。

 

◆会計は4色のパズル。

ギャラをいくらにする?
堀内雅生 秀和システム 2024-2-15
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す

■【要約】15個の抜粋ポイント

価値あるものを、価値を感じてくれる人に適正な価格で提供することは正当な経済活動で、経済的な自立を確保するための大事な手段です。

 

●会計の仕組み:3つの目的
1.株主への配当の計算と会計報告のため
2.その会社のおこなっている事業の状況を把握するため
3.ほかの会社と同じ基準で比較するため

 

(会計のパズル)ピースの種類は収益(グレー)、費用(水色)、資産(青色)、負債・資本(黒色)の4種類で、大きさの差額として、利益(白色)というピースが加わります。
左右同じ大きさにするのが絶対のルールです。

 

集計するときは、水色・グレー、青色と黒色が必ずペアになると決まっているので、改めてここで覚えてください(「資本取引・損益取引区分の原則」というもので、お互いに種類が違う)。

 

会計のことがまったくわからないとなってしまうと、お金のやり繰りがうまくできずせっかくの才能や長年の努力が活かせなくなってしまいます。

 

資産と負債・資本の組みが「財政状態」を表す貸借対照表、費用と収益の組みが「経営成績」を表す損益計算書、左側を借方(Debit)、右側を借方(Credit)と呼びます。

 

仕訳は、ビジネスで起こり得る活動(取引)を勘定科目と数字(金額)で表現していくものです。

 

会計は基本的にはパズルの単純な積み重ねで、それをなるべき網羅的に、いかにうまく合わせられるかを第一に考えます。

 

費用と資産は表裏一体であり、その境目もわずかな違いで、さらにほとんどの資産はいずれ費用になるのだと考えてください。

 

回収できないリスクもあるので、代金は後払いではなく先に現金でいただくのが最強ということは忘れずにいきましょう。

 

損益分岐点は、これまで説明してきた損益計算書と貸借対照表を眺めるだけでは答えは出ません。
それらの表の中身を分析して突き詰める必要があります。
何より”分岐点”ですので、利益が出るように超えることが大事です。

 

固定費はその名のとおり、何もしなくてもかかる費用です。
もちろん売上がゼロでも。
ということは、売上をゼロから増やしていき、どこで固定費をまかなう利益を出すことができるかを考えると、赤字から黒字への転換点の売上がわかります。
ただ、売上に伴い変動費も増えるので、増える利益の計算ではそれも考慮します。

 

現状から”限界的に”最低単位の稼働が増えたら増える利益のことを限界利益と呼んでいます。
固定費は何をしても変わらないので、売上から変動費を引いたものが、この限界利益に相当します。

 

損益分岐点は、限界利益が固定費と同じ金額になるポイントです。

 

最終目的は「適正な利益を獲得すること」と設定して思考してみましょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2091-1】日商簿記3級など、基礎的な会計に関する資格取得を目指す

【2091-2】自分の財政状況(お金の使い方)を、会計的に整理してみる

【2091-3】気になる企業の財務諸表を自分なりに分析してみる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】ギャラをいくらにする?
【著者名】堀内雅生
出版社秀和システム
【出版日】2024/2/15
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日の起業力を磨きたいときに
キーワードフリーランスビジネスモデル稼ぐ力
【頁 数】240ページ
【目 次】
第1章 ビジネスの初歩をおさえよう
第2章 会計は「4色」だ
第3章 芸術的な会計記録をつくる
第4章 売上・仕入などの取引を記録する
第5章 在庫・資産・負債を記録していく
第6章 利益の出た会計記録は美しい
第7章 損益分岐点を超えよう!
第8章 損益分岐点分析の実践

 

▼さっそくこの本を読む

ギャラをいくらにする?
堀内雅生 秀和システム 2024-2-15
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す

堀内雅生さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る