【書評:1519冊目】売上を、減らそう。(中村朱美)

【軸をズラすと道が開ける!】
国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」店主・中村朱美氏が、『売上を、減らそう。』と題し、業績至上主義から軸をズラすことでたどり着いた、社員と利益を守る経営手法を解説する一冊。

■書籍の紹介文

働くうえで一番大切にしたいこと。
あなたは、なにを求めますか?

 

本書は、「頑張れ」で幸せを目指すことから脱却し、「仕組み」で幸せを目指すことでたどり着いた、『佰食屋』というビジネスモデルを解説する一冊。

 

佰食屋という屋号のとおり、100食限定が最大の特徴。
100食という「制約」を課すことで、多くのブレークスルーを起こしたビジネスモデルです。

 

100食限定の「制約」が生み出した特徴的なメリットが、つぎの5つです。
メリット1:「早く帰れる」退勤時間は夕方17時台
メリット2:「フードロスほぼゼロ化 」で経費削減
メリット3:「経営が究極に簡単になる」鍵は圧倒的な商品力
メリット4:「どんな人も即戦力になる」やる気に溢れている人なんていらない
メリット5:「売上至上主義からの解放」 誰にとってもやさしい働き方へ

 

飲食業界の矛盾に疑問を持ち、打って出たのが、従来とは真逆のビジネスモデル。
それはまさに、「できっこない」「常識外れ」を打ち破るためのチャレンジへの道です。

 

チャレンジの過程で味わった苦悩や喜怒哀楽。
これを追体験できるのが、本書を読む最大の価値です。

 

自分がもっとも幸せを感じられる働き方を、どこまでも追求し続ける。
そのためなら、どんな失敗にもあきらめず、乗り越えていける姿を見せてくれています。

 

翻って、自分自身はどうだろうか。
自然と内省や自己対話を促されます。

 

「拡大の時代」から「成熟・縮小の時代」へ進む日本社会。
ひとつの生き残り戦略として、とても示唆に富んだチャレンジだと感じます。

 

大きな潮流に流されずに、”自分の場所”をしっかり確保する。
そのための覚悟が問われている時代のひとつの事例として、読んでおきたいチャレンジです。

 

◆なにを一番に求めるのか。

売上を、減らそう。
中村朱美 ライツ社 2019-6-14
売上ランキング(公開時):31
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■【要約】15個の抜粋ポイント

食べることは、暮らしの根幹を担っているのに、それをつくっている人たちが満足に休めず、家族と過ごす時間も限られてしまうなんて。
なんとかして、こんなよくない「当たり前」を変えたい。

 

たった1件のブログが、一過性のものではなく継続的な売上として定着した。
それは、佰食屋が提供するステーキ丼、つまり「商品力」だけは一切の妥協をしなかった結果だ、と思っています。

 

100食という「制約」はすべてのブレークスルーを生み出しました。
それはそのまま「佰食屋」という屋号になり、「限定」というお客様の「来店動機」となり、「売上ファーストではなく従業員ファースト」という「経営方針」にもなり、ついには従来の業績至上主義とは「真逆の働き方」が出来上がりました。

 

佰食屋で働く従業員にとって、目標はたった1つです。
「1日100食売ること。そしてそのなかで、来られたお客様を最大限幸せにすること」。
たったこれだけです。

 

人生の幸せがなにで決まるか。
わたしがいちばん大切だと考えているのは「自己決定権」です。
就業時間も、働き方も、自分で決める。
やる仕事も、役職も、そして、仕事の後の時間をなにに使うかも、自分が決められる。
それこそが、納得のいく幸せな人生だと思うのです。

 

●佰食屋流 商品開発の4つの条件
(1)月に1回、自分がその金額を出してでも行きたいお店かどうか
(2)家庭で再現できないもの
(3)大手チェーンに参入されにくいもの
(4)みんなのごちそうであること

 

佰食屋の採用基準は、「いまいる従業員たちと合う人」。
それだけです。

 

いつもよりも一人少ない四人体制でお店を回すことになるなら、そのぶん20食少ない80食を目標にします。
足りないなら、減らせばいいのです。

 

重要なのは、「事業成長ありき」ではなく、「一人ひとりが成長してきたからこそ自然と売上を伸ばすことができた」という事実です。

 

佰食屋には、クレド(行動規範・信条)があります。
「会社は明日の責任を。みんなは今日の責任を。」

 

大切なことは、彼女を「測りのH」と呼んだように、その人の個性や得意なことに名前をつけてあげること。
すると、本人すら自覚していなかった自分の特長に気づくことができます。
そして、それを周知することで、ほかの従業員も「じゃあ、お肉を測るのはHさんに任せよう」と、仕事をお願いしやすくなります。
結果、本人の自尊心は高まり、スキルも劇的に向上する、という好循環が生まれていきました。

 

一点、ここだけは間違ってはいけない、と考えているのは、従業員同士がただの「仲良しグループの集まり」にならない距離感を保つこと、です。

 

仕事だけで1日が終わってしまうのではなく、自分のやりたいこと、好きなことにもっと時間をかけられる働き方を、もっと多くの人が選べるような世の中になったら…。
「佰食屋1/2」は、いまの世の中に求められているビジネスモデルだと思うのです。

 

佰食屋が挑もうとしているのは、「小さくても向かうところ敵なし」の戦いです。

 

わたし自身、「成功している」とは言いきれません。
まだまだ、これから。
そう思っています。
それでもよく「成功の秘訣は?」と聞かれることがあります。
その問いかけに、いつもこう答えます。
「何回失敗しても、成功するまであきらめなかっただけです」と。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1519-1】自分で決定する回数を増やす

【1519-2】いくらあれば生活が黒字になるのか計算する

【1519-3】【1519-2】を稼ぐために、もっとも効率的でもっとも継続的な方法を追求する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】売上を、減らそう。
【著者名】中村朱美著者情報
出版社ライツ社
【出版日】2019/6/14
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日の起業力を磨きたいときに
キーワードビジネスモデルアイデア働き方
【頁 数】264ページ
【目 次】
第1章 超ホワイト企業「佰食屋」はどのようにして生まれたのか
第2章 「100食限定」が生んだ5つのすごいメリット
第3章 佰食屋の労働とお金のリアルな実態
第4章 売上を目標にしない企業は、社員になにを課しているのか?
第5章 佰食屋1/2働き方のフランチャイズへ

 

この本が、あなたを変える!

売上を、減らそう。
中村朱美 ライツ社 2019-6-14
売上ランキング(公開時):31
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中村朱美さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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