【書評:2134冊目】「好き」を言語化する技術(三宅香帆)

【その「ヤバイ!」って何がどうヤバイの?】
文芸評論家・三宅香帆氏が、『「好き」を言語化する技術』と題して、語りたいけど言葉がうまく出ないと悩む人にむけて、自分”だけ”の言葉で想いを伝える技術を指南する一冊。

■書籍の紹介文

あなたの最近の言葉遣いを思い出してください。
口癖のように使っているなと感じるフレーズはありますか?

 

本書は、自分の好き(推し)について自分の言葉で語れるほど楽しいことはないと提起し、他人の言葉に影響されない、自分”だけ”の言葉で想いを伝える技術を指南する一冊。

 

美味しくても「ヤバイ!」。
嬉しくても「ヤバイ!」。
不快なときも「ヤバイ!」。


 

そして、「ヤバイって何がどうヤバイの?」と聞いたら最後、「その質問自体がヤバイ!」と返されてしまう悪夢の展開・・・。
あなたにも、「あぁ〜(遠い目)」と思い浮かぶ光景があるかもしれません。

 

せっかく想いを共有したいと思っても、それに値する言葉を使わないと相手には伝わりません。
ましてや、周りに合わせた言葉やありきたりの表現を使っていては、なおさら伝わりません。

 

ここに一石を投じるために書かれたのが本書です。
共有したい”想い”がしっかり”相手に伝わる”にはどうしたらいいのか、その方法を指南する内容になっています。

 

キーワードは、『自分の言葉をつくる』です。
著者は、これは技術であり、コツさえ押さえて実践を重ねていけば誰でも身につけられると説きます。

 

『自分の言葉をつくる』うえで大切なのが、タイトルにもある「言語化」になります。
但し、言語化と聞くと語彙力や表現力の話を想像してしまいますが、この本ではまったく違う話が展開されていきます。

 

『言語化とは、「どこが」どうだったのかを、細分化してそれぞれを言葉にしていく作業である』。
これが、著者の伝え方の信念です。

 

この技術を習得すると、自分”だけ”の言葉で想いを伝えられるようになる。
ひいては、自分の好き(推し)について自分の言葉で語れる楽しい世界が待っていると熱く語ります。

 

好きな作品について語ろうとしても、「面白かった」「すごい」などの凡庸な言葉しか出てこない。
SNSなどに想いを投稿したいけど、文章がうまく書けない。

 

こういった、伝えたい”想い”はあるのに、伝え方が下手で悩んでいるという方には特にオススメ。
”想い”が強い分、コツさえ掴んでしまえば、見違えるほど言葉で発信するのが楽しくなるはずです。

 

◆新感覚の文章術!

「好き」を言語化する技術
三宅香帆 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2024-7-31
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■【要約】15個の抜粋ポイント

文章を書くことにも、技術が必要です。
技術を駆使してこそ、いい感想文を書けるようになる。
それは逆に言うと、「書く技術さえ理解すれば、いい感想やいい文章は書けるようになる」ということ。

 

ありきたりな、それっぽい表現を使わずに、ちゃんと自分だけの感情、考え、印象、思考を言葉にする。
それだけで、オリジナルな表現ができあがります。

 

「よかった」理由について、昔見たものや昔好きだった推しを引っ張りだしつつ、自分の妄想を広げていく。
そんなイメージで考えるほうが、感想のネタはでてきやすいのです。

 

いつかやってくる「好き」じゃなくなる瞬間を見据えて、自分の「好き」を言葉で保存しておく。
すると、「好き」の言語化が溜まってゆく。
それは気づけば、丸ごと自分の価値観や人生になっているはずです。

 

自分の「好き」を言語化するうえで、一番重要なことを伝えましょう。
ずばり、「他人の感想を見ないこと」です。

 

●自分の言葉をつくるための3つのプロセス
(1)よかった箇所の具体例を挙げる
(2)感情を言語化する
(3)忘れないようにメモをする

 

相手が自分と違って、「その情報についてどのくらい知っているのか」「その情報についてどのような印象を抱いているのか」という2点を把握しておくこと。
それがすべての発信におけるポイントなのです。

 

感情であれ情報であれ、「聴いている人がどうなってほしいのか」を、語り手が把握できていることが重要なんです。

 

他人の言葉の影響から自分を守る方法は、「他人の言葉を見ない」か「他人の言葉を打ち消す自分の言葉を持つ」かの、どちらかだけ。

 

基本的にSNSは、みんなで同じようなポイントについて盛り上がるのが楽しいメディアなので、自分と他人の意見が同じであることを恥じる必要はありません。

 

文章とは、なにかを伝えたいから書くもの。
伝えたい読み手に対して、伝えたいことが伝わること。
それが文章のゴールなんです。

 

・「最高」と書きたいとき→「どういうところが最高なの?」と考えて細分化する
・「やばい」と書きたいとき→「どういうふうにやばい?」と考えて言葉にする
・「考えさせられる」と書きたいとき→「なにを考えさせられたの?」と考えて説明する
きれいにまとめるのではなく、具体的に自分の感情や考えたことを言葉にしてみましょう。
大切なのは、語彙力ではなく、細分化です!
細かく自分の愛を語っていきましょう。

 

修正を前提にして文章を書くクセをつけると、文章を書き終えるためのハードルが下がる

 

文章は、「真似する」ことが一番手っ取り早い上達方法です。
なんとなくいいなあ、こういう文章って好きだなあ、というものを見つけて、その人の書き方を真似してみましょう。
あなたの書きたい内容を、その人の文体や構成で書くなら、どう書くだろうと想像してみてください。

 

誰かの真似をしていくなかで、どうしてもはみだしてしまうものが、自分の個性になるんです。
最初から個性をだそうと考えるよりも、自分の好きな発信を模倣していくなかで、なぜかお手本と違ってしまうところを自分の個性として育てましょう。
だからこそ発信するときは、自分なりの「例文」、つまりは、お手本を見つけてみてください。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2134-1】「誰に」「何を」伝えたいのかを明確にしてから文章を書き始めるようにする

【2134-2】あとで修正することを前提に文章を書く癖をつける

【2134-3】『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』を読む

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】「好き」を言語化する技術
【著者名】三宅香帆著者情報
出版社ディスカヴァー・トゥエンティワン
【出版日】2024/7/31
オススメ度★★★★☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード文章力苦手克服情報発信
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 推しを語ることは、自分の人生を語ること
第2章 推しを語る前の準備
第3章 推しの素晴らしさをしゃべる
第4章 推しの素晴らしさをSNSで発信する
第5章 推しの素晴らしさを文章に書く
第6章 推しの素晴らしさを書いた例文を読む
おまけ 推しの素晴らしさを語るためのQ&A

 

▼さっそくこの本を読む

「好き」を言語化する技術
三宅香帆 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2024-7-31
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三宅香帆さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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