【書評:2133冊目】教養としてのアメリカ大統領選挙(神野正史)

【大統領選挙がわかるとアメリカがわかる】
世界史講師・神野正史氏が、『教養としてのアメリカ大統領選挙』と題して、アメリカの政治史を紐解きながら、アメリカの動向を推測できるようになる「歴史視点」を指南する一冊。

■書籍の紹介文

アメリカの大統領選挙。
どのような仕組みで、なぜそうなっているのかを説明できますか?

 

本書は、大統領選挙が理解できるとアメリカという国が理解できると提起し、知っているようで知らないアメリカの政治史を紐解きながら、押さえておきたい「歴史視点」を指南する一冊。

 

現在、世界の覇権国家はアメリカ合衆国である。
このことに異論を挟む人はいないでしょう(思うところはあったとしても・・・)。

 

ゆえに、アメリカの動向はわたし達の生活にも多大な影響を及ぼします。
アメリカの決定ひとつで、右に左に世界が振り回されるといっても過言ではありません。

 

そして、この”アメリカの決定”を下す最たる人物がいます。
言わずもがな、アメリカ合衆国大統領、その人です。

 

この地位に誰がつくのか、どんな状況で選ばれたのか。
ここが読み解けるようになると、その後のアメリカの動向が見えやすくなる、ひいては受ける影響も推測しやすくなる。

 

そう説くのが本書の著者です。
そのうえで、推測するときに絶対に欠かせない”アメリカを見る目”=「歴史視点」を指南していきます。

 

アメリカの政治史を紐解くことで見えてくる、いくつもの法則。
法則通りの選挙結果のときに何が起きるのか、反対に、法則に反する結果のときに何が起きるのか。

 

イラストと簡潔な説明でわかりやすく解説していきます。
著者が授けてくれる「歴史視点」を活用することで、まさに今、直前に迫ったアメリカ大統領選挙の見方も変わってくることでしょう。

 

「歴史視点」でみると、今のアメリカの状態は大丈夫なのか。
眉間にシワが寄るニュースばかりの世界情勢は、今後好転するのか悪化するのか。

 

流れてくるニュースや論評を鵜呑みにせず、自分なりに考えてみることはとても大切です。
そのことにとても役立ちそうな一冊だと感じます。

 

アメリカ合衆国大統領の座に誰がつくかで、世界の流れは決まります。
他国の政治ショーとして楽しむのではなく、冷静に見つめられる人間でありましょう。

 

◆政治を見るとはこういうこと!

教養としてのアメリカ大統領選挙
神野正史 秀和システム 2024-9-21
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■【要約】15個の抜粋ポイント

その国の”本質”を知りたければ、その国の成り立ち、民族の出自、歴史背景、そこから成り立つ民族性を理解することが”最初の一歩”となる。

 

「正義の国」を自称するアメリカ合衆国は、開戦口実を得るためなら、挑発・因縁・誘導・演出・捏造・国民の犠牲など、どんな卑劣な手段も厭わない。

 

”正論”を振り翳す者は、自らの行う悪虐非道から目を逸らせようとしている。

 

歴史が時代の転換期に入ると、生き残りをかけた政策は限られてくるため、「共和党」「民主党」の政策の違いはなくなる。

 

アメリカ合衆国が開戦するときは、まず最初に「合衆国が正義」「敵は”悪の帝国”」という虚構(ファブリケーション)をでっち上げる。

 

「合衆国が正義」「敵は”悪の帝国”」という虚構をでっち上げるためなら、アメリカは、捏造・印象操作・国際ルールの改変、どんな悪行非道も厭わない。

 

欧米は自分たちが自分たちの都合で作ったルールを異文化圏にも強要してくるが、それが自分たちにとって不都合になると平然とルールを改変または破棄する。

 

アジア(孫子)は完全包囲の愚を戒めるが、欧米(クラウゼヴィッツ)は敵を如何にして完全包囲、殲滅するかを目的とする。

 

現職大統領の”途中降板”により、大統領選挙という”洗礼”を受けることなく副大統領から昇格した大統領はほぼ全員(例外を挙げれば、セオドア・ルーズヴェルトくらい)無能。

 

TV討論会が導入されて以降、このときの国民支持で大差を付けた方が当選確実となる。

 

戦前までは「平時の共和党、戦時の民主党」、戦後からは「緩和の共和党、緊張の民主党」を原則とする。

 

国際会議によって構築された「国際秩序(インターナショナル・オーダー)」が壊れたとき、
①そのまま大戦争へと転げ落ちていくパターン
②一国で国際秩序を支える時代を20年ほど挟んでから大戦争に向かうパターン
の2パターンがあり、現在に至るまで、この2つのパターンを交互に2周していることがわかります。

 

戦後の「2期8年ごとに政権政党が交替する」という法則は、それを維持するだけの大統領資質に欠けた人物が現れると”乱れ”が生じる。

 

「1回」しか起こらないものは「例外」として処理すればよいが、「連続」して起これば、それは水面下で変化が生まれている証拠となる。

 

歴史の本を読んでそこに書かれた”知識を暗記”することには何の意味もありません。
歴史から生きる知恵を学び取ることに意味があります。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2133-1】正論を翳して同意を迫られるときほど、裏がないかと冷静に見極める

【2133-2】同じようなことが連続して起きたときは、大きな変化が起きていないかよく分析する

【2133-3】「いつもと違う」という違和感を感じたら、流さず掘り下げる習慣をつける

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】教養としてのアメリカ大統領選挙
【著者名】神野正史著者情報
出版社秀和システム
【出版日】2024/9/21
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード教養社会グローバル
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 二大政党制の成立
第2章 覇権国家への野望
第3章 覇権国家への道
第4章 狂騒の20年代
第5章 冷戦時代
第6章 ポスト冷戦
第7章 そして現代

 

▼さっそくこの本を読む

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神野正史 秀和システム 2024-9-21
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神野正史さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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