【デジタル時代にも、本を読む意味を考える】
作家・森博嗣氏が、その著作活動を支える”読書への思い”を明らかにしながら、「読書の価値」を論ずる一冊。読書は本当に必要なのか、その読書論は思考を揺さぶる。
読書の価値。
あなたは、どのように考えていますか?
本書は、デジタル全盛、多様化する娯楽の時代における「読書の価値」とはなんなのか、著作累計1,600万部の人気作家がその「読書論」を語っていく一冊。
わたしは、読書によって自身が成長していると実感しています。
だから、わたしの今の答えは「読書には価値がある」です。
ですが、「本を読みなさい」「成功者は読書をしている」
このように、読書を崇高なもののように扱うことには、違和感をもっています。
「おもしろそうだから、話を聞きたい!」
最近は、このような感覚で読書をしています。
この点は、著者も同じようなことを仰っていたので、とても嬉しくなりました。
いわゆる、映画を観にいったり、落語を聴きにいったりする感覚と同じなのです。
言うなれば、読書を一段上の行為みたいに捉えず、他の娯楽と同じなんだよ。
この感覚を養うために、この本は役立つと思います。
わたしは、おもしろそう!と思い話を聞いて、おもしろかったです。
ですが、あなたにとって、おもしろいかはわかりません。
それでも、この本をオススメいたします。
あなたに読書をもっと楽しいんでいただきたいので。
◆出版関係者の方にもオススメ!
僕が本から得た最大の価値は「僕が面白かった」という部分にある。
だから、もし同じ体験をしたいなら、各自が自分で自分を感動させる本を見つけることである。
同じ本が別の人間に同じ作用を示す保証はないからだ。
文章を読んでも、本当の意味は理解できない。
むしろその逆だといえる。
意味が理解できたとき、初めて文章が読めたことになるのだ。
近頃では、ベストセラの小説でも、数十万部程度の売行きである。
それどころか、数万部売れれば、週間や月間ならベストセラになる。
この数字は、一億人以上いる日本の人口からすれば、0.1パーセントにすぎない。
つまり、多めに見積もっても、千人に一人しか小説を読まないのだ。
本というのは、人とほぼ同じだといえる。
本に出会うことは、人に出会うこととかぎりなく近い。
それを読むことで、その人と知合いになれる。
本の選び方として、僕が指摘したいのはその一点だけ。
とにかく、本は自分で選べ。
それだけだ。
自分が何を読みたいのか、自分にはどんな未来があるのか、自分はどんな人間になりたいのか、といったことを一番正確に知っているのは、まちがいなく自分であり、その自分のために、本を選び、限られた人生の中で、できるだけ効率良くそれらを取り込んでいくしかない。
言葉の役目は、相手に情報を伝達することにある。
文字は、相手が読めて初めて文字といえるのである。
自分の文章をいくら読み直しても、わかりやすいか、誤解が生じないか、を確かめることはけっこう難しいものだ。
最も簡単なのは、1週間くらいあとで読み直すことだろう。
文章力を高めるには、とにかくまず書くこと。
数を書くこと。
毎日何千文字か文章を書き続けること。
そして、それを直すこと。
「わからない」ということがわかったのだ。
それだけでも読んだ価値がある。
自分にはわからないことがこの世界にある、と知ることができた。
(ページの端を折る・線をひくなど)こういった反応は、ある意味でアウトプットといえる。
読書をしているときは明らかにインプットなのだが、そこにあるものを、別のものに利用したい、他者に伝えたい、未来の自分のために残しておきたい、という行為だから、外に向かっている。
もし誰にも読まれなければ、それは書かなかったことに等しい。
言葉や文章のアウトプットとは、そういう宿命にある。
自分が読む本には、読みやすさは求めない。
むしろ読みにくい本、読み甲斐がある本の方が面白い確率が高い。
本というのは、そもそもデジタルだった。
文章、文字がデジタルなのだから、これほど長く紙の本のまま存続したことが、むしろ奇跡的だったといえるのではないだろうか。
これまでの出版社は、ある意味で読者集団だったのだ。
これからは、作家集団に生まれ変わってはいかがか、という提案である。
【1170-1】「おもしろい!」と思う文章に出会ったら、なぜ面白いと感じたのか書き留める
【1170-2】自分が読みたいと思った本を読む
【1170-3】「わからない」という感情を大切にする
読書とは、人の意見を聞き、自分の意見を固める行為。
【書籍名】読書の価値
【著者名】森博嗣
【出版社】NHK出版
【出版日】2018/4/6
【オススメ度】★★★★★
【こんな時に】読む力を身につけたいときに
【キーワード】読書術、教養、文章力
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 僕の読書生活
第2章 自由な読書、本の選び方
第3章 文字を読む生活
第4章 インプットとアウトプット
第5章 読書の未来
この本が、あなたを変える!
森博嗣さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/
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