【書評:2193冊目】無言のリーダーシップ(田尻望)

【会話の多いリーダーほどダメなリーダー?】
株式会社カクシン社長/田尻望氏が、『無言のリーダーシップ』と題して、言葉に頼ったマネジメントの問題点を提起しながら、部下が自発的に動くマネジメント手法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

指示出しや質問受けに時間を奪われて自分の仕事ができない・・・。
そんな悩みを抱えていませんか?

 

本書は、リーダーが発する言葉の多さは組織の脆さを露呈すると提起し、”性弱説”に基づく、「部下が自発的に動く」かつ「高付加価値を生み出す」マネジメント手法を指南する一冊。

 

リーダーである自分がいちいち指示を出さずとも、部下には自発的に行動して成果を上げてほしい。
職種を問わず、リーダーという立場を経験するすべての人が抱く願望だとおもいます。

 

と同時に、「願望は願望、現実はそううまくいかないよ」と諦めていることでしょう。
そして、お腹にグッと力を入れて、今日も指示出しや相談受けに忙殺されていく・・・。

 

この本は、そんなリーダーにこそ読んで実践してほしいと書かれた一冊。
”性弱説”に根差した「仕組みの構築」と「感情のケア」を軸に、組織が自発的に動くようになるマネジメント手法がまとめられています。

 

性弱説とは、「人は本来、怠けたり、ラクをしたりする弱い存在。だからこそ、その弱さを補うための仕組みが必要だ」という考え方。
この考え方をベースに、部下が自ら成果を上げられる仕組みを構築していくことを目指します。

 

この仕組み構築と、構築された仕組みに部下(組織)が共感したとき。
リーダー不要(=無言のリーダーシップ)というリーダーシップの理想形が実現すると説きます。

 

そのうえで、実現のためにはどのように捉え、どのように取り組んでいけばいいのか。
ページの許すかぎり、体系立てて濃密に指南していきます。

 

『無言』という言葉に込められたリーダーシップの本質。
悩めるリーダー達に多くの気づきをもたらすことでしょう。

 

◆軸がブレないので学びやすい。

無言のリーダーシップ
田尻望 SBクリエイティブ 2025-7-30
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「察し」を重んじるはずの組織文化のなかで、相互理解の欠如が露呈したとき、かえって過剰な説明や指示が飛び交うことになる。
「察し文化」の曖昧な空気のなかに身を置いているために、無駄な言葉が増えるという逆説が生まれるのだ。

 

「無言のリーダーシップ」は、徹底的な言語化と、そのうえに構築される仕組みがあってはじめて成立するものであることを心に留めておいてほしい。

 

リーダーの究極的な役割とは、チームが自立的に成果を上げられる仕組みを機能させ、リーダー自身が次のステージに移動できる状態をつくることだ。

 

部下との信頼関係や合意を築くうえで、最も重要な考え方が「性弱説」だ。
(略)
性弱説とは、「人は本来、怠けたり、ラクをしたりする弱い存在。だからこそ、その弱さを補うための仕組みが必要だ」という考え方だ。

 

リーダーがチーム内に潜むちょっとした不信感やぎくしゃくした雰囲気を感じ取ったら、コミュニケーション量をむやみに増やすことよりも、重要な言葉の定義に致命的なズレがないかを先に確認すべきだ。
(略)
私のおすすめは、組織において重要なキーワードだけを選び、定義をチーム内で確認・統一することだ。
たとえば、「成果」「効率」「責任」あたりはマストだろう。

 

チームの現状をいつ何時も正確に把握するために、「数字は責めるためのものではなく、問題を早期発見し解決するための道具」という共通認識を、チーム内に根付かせることが重要だ。

 

最終目標を阻む具体的な問題に注目する「問題解決型」は、「なぜ目標を達成できないのか?」という視点によって目標をブレイクダウンしていく。

 

あなたが「できない部下」を育成する必要があるとしたら、まずは彼らが次のどの要素に問題があってパフォーマンスを発揮できていないのかを見極めてほしい。
これは私が様々な現場で効果を確認してきた分析フレームワークだ。
・感性:企画の面白さ、デザインの魅力、相手の反応を直感的に捉える力
・感情:恐怖、怒り、不安、やる気など、心理的な要素
・知識:商品や業界、顧客ニーズに関する論理的・情報的リテラシー
・技術:営業トーク、プレゼン資料作成、システム操作など、実践スキル

 

基本的にリーダーは、「変数(※)をいかに増やすか」「インパクトのある変数はどれか」という視点で優先的に解決する問題を見定めていくとよい。
(※)変数:工夫次第で改善・強化できる要素のこと

 

●「都度相談」を脱却する仕組み
(1)FAQ(よくある質問)ドキュメント
(2)週1回の質問タイム
(3)ITツールによるQ&Aフォーラム

 

「無言のリーダーシップ」の観点から言えば、部下が質問してきても、リーダーが即答しないことが正解になり得る。
もちろん、すべての質問を放置するわけではないが、「まず自分で取り組んでみて、どういう仮説を持ったか」を聞く姿勢は欠かせない。

 

「付加価値を再現する」とは、他社・他業界の成功事例を丸ごと真似るのではなく、構造を抽出し、自社の状況に合わせた仕組みに落とし込む行為だ。
なぜうまくいったのか?
なぜ顧客はそれに価値を感じたのか?
その背後にある要素を引き出し、使える部分を転用し、使えない部分は切り捨てる。

 

付加価値=「顧客が価格以上の価値を感じ、リピートや口コミをしてくれる度合い」と言い換えることもできる。
そのためには、次の3軸が欠かせない。
①知識:商品や市場を論理的に理解する情報
②技術:営業・開発・プレゼン・製造など実装力
③感動:ユーザーの心を掴む物語、デザイン、体験演出

 

無言は放置や怠惰ではなく、むしろ最初にかける労力が最大級に大きい手法なのだ。

 

「無言のリーダーシップ」の本質は、「リーダーが話さなくても、組織が高い成果を上げ続ける状態をつくること」にある。
それを実現するためには、仕組みの整備と感情のケアが欠かせない。
■仕組みを整えることで、メンバーは「どう動けばいいか」がわかる
■感情のケアを行うことで、「なぜこの仕組みがあるのか」を理解し、主体的に行動できる
この2つがそろったとき、組織はリーダーの細かい指示なしに自走し、リーダーはより戦略的な業務に集中できるようになる。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2193-1】組織内の空気に違和感を感じた時は、使われる言葉の定義にズレがないか確認する

【2193-2】数字は、責任を追及するための道具ではなく、問題を早期発見するための道具と捉える

【2193-3】「なぜ目標を達成できないのか?」という視点で原因を分析する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】無言のリーダーシップ
【著者名】田尻望著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2025/7/30
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワードリーダー指導力組織改革
【頁 数】240ページ
【目 次】
序章 ここから始まる「無言」の構築
第1章 準備編:信頼と合意を築くマインドセット
第2章 問題解決編:目標達成を阻む壁を取り除く
第3章 仕組み化編:成功をくり返す、失敗をくり返さない
第4章 付加価値編:仕組みから付加価値を生み出す
終章 リーダー不要の組織へ

 

▼さっそくこの本を読む

無言のリーダーシップ
田尻望 SBクリエイティブ 2025-7-30
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田尻望さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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