【書評:2176冊目】やりたいことは全部やりなさい(森永卓郎)

【やりたいことは、今やれ・すぐやれ・好きなようにやれ!】
経済アナリスト・森永卓郎氏が、『やりたいことは全部やりなさい』と題して、人生の最期に思う、これからの時代を生きる若者に伝えたい人生哲学を書き遺した一冊。

■書籍の紹介文

あなたにとっての幸せな人生。
それは、どんな人生ですか?

 

本書は、「やりがいだけのために生きること」が最高の幸せだと信じて生き抜いた著者が、これからの時代を生きる若者に向けて、人生の最後に後悔しない人生哲学を書き遺した一冊。

 

老後に”何不自由なく”生活できるように・・・。
お金について考えるとき、多くの人が当たり前に考えることだとおもいます。

 

ただ、この本を読むうちにふとした考えが浮かんできました。
それは、「”何不自由なく”と考えていること自体が、そもそも不自由の始まりなのではないか」ということです。

 

もちろん、”何不自由なく”と望むことは何も間違っていません。
ただ、盲目的に”何不自由なく”という言葉だけに囚われてしまうことには気をつけるべきだと感じます。

 

そもそも、何が不自由で、どうあれば「不自由ない」と自分は感じるのか。
この点は、さまざまな情報を遮断したうえできちんと整理しておく必要があるでしょう。

 

そのうえで、お金というものを一旦忘れて、自分の人生を設計してみる。
お金で買うができないなら食べ物は自給自足しないといけないな、といった風にです。

 

こうして考えていくと、自分はどこに住むべきなのか、環境を整えるためにいくら必要なのか、生活を維持するためにいくら必要なのか。
そうした、自分にとって”リアル”なお金の姿が見えてくるとおもいます。

 

さらに、考える過程で「自分は何がやりたいのか、何にやりがいを感じるのか、どう生きていきたいのか」というのも見えてくることでしょう。
それこそが、国やメディア、”世間”のステレオ的な人生設計に惑わされない、自分だけの人生設計の土台となります。

 

無論、本書で展開される著者の分析や主張を鵜呑みにする必要は全くありません。
ただただ自らの信念に従って生き、その生き方を貫き通せた人間の考えに触れて、我が人生を考える。

 

そんな姿勢で向き合ってみると、有意義な時間となることでしょうか。
興味のある方はぜひ対話してみてください。

 

◆著者の御冥福をお祈りします。

やりたいことは全部やりなさい
森永卓郎 SBクリエイティブ 2025-4-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント

私は働く目的、仕事の機能というものを、明確に2つに分けています。
1つは「所得を得る」という目的・機能、もう1つは「生きがいを得る」という目的・機能です。
そして特に現代、人が幸せに生きていくには、後者を重視するべきだと信じているのです。

 

私のモットーは「今やる、すぐやる、好きなようにやる」。
人生はあまりに短い。
やりたいことを全部やり、悔いなく生きるために、興味が赴くままに何でもやってきたという自負があります。

 

私は、人生には3つの選択肢があると考えてきました。
(1)ハゲタカ=富裕層を目指して、お金儲けに邁進する
(2)奴隷=中流を維持するべく「社畜」になる
(3)アーティスト=資本の奴隷にならず、クリエイティビティを発揮する
この3つのうち、みなさんに目指していただきたいのはアーティストです。

 

やりたいことが見つかれば、誰もが自然と努力するようになる。
そしてやがては、自分のクリエイティビティを存分に発揮して活躍できる、素晴らしいアーティストになっていくことでしょう。

 

資産形成は、ひと言で片付けられるほど簡単なことではありません。
投資という危ない橋を渡って資金をすべて失う可能性もあります。
新NISAなど長期積み立てを推奨する言説は嘘だらけですし、資本主義経済そのものが瓦解しようとしている今、投資による全資産損失の危険は、いまだかつてなく高くなっています。
今、そこまでのリスクを背負ってまで資産形成するのは、とうてい有効な生存戦略とは言えません。
それに対して、お金が必要ではない暮らし方を確立していけば、そもそも資産形成など考える必要はないわけです。
そんなことをせずとも豊かに暮らす道を探ったほうが、今の生活も将来の生活も幸せになるでしょう。

 

どれだけの富を持っていたとしても、この世の中のすべてを買い尽くすことは不可能です。
物質的な豊かさばかりを追い求めていては、永遠に心の満足を得ることはできず、本当の意味での幸せには到達できないでしょう。

 

電力も食料も、ある程度は自分で賄えるようになっておくこと。
これには、単なる生活費の低減にとどまらない大きな意味があるのです。

 

引退後、何不自由なく暮らしていくには、お金はたくさんあるに越したことはない。
そんな思い込みがあるから、お金を手放せないのです。

 

本当にやりたいことを全部やりながら生きていくためには重要な条件があります。
20代から30代のうちは、とにかく一生懸命、働くことです。

 

転職はおすすめしません。
転職をしても、今の日本ではキャリアアップも給料アップも望めないからです。
ましてや「楽しく働けて給料がいい」「いい人ばかりで和気あいあいと働ける」「上司との折り合いもいい」といった甘い夢を転職に抱いているのなら、絶対にやめるべきです。

 

転職の目的はお金「以外」であるべきだと私は思います。
経験のためであるという前提においてのみ、転職は選択肢になりうるということを、(略)、強調しておきましょう。

 

自分の人生を光り輝かせることができるのは、自分自身しかいません。
そして人生の輝きとは、死から生を眺めてみたときに、最も高まるものである。
これは今、死を目前にした私が、非常に強く感じている真理のようなものです。

 

本来なら、「自分がやりたいかどうか」で選ぶべきことが、「それで生活できるかどうか」「どれくらい儲かるか」という判断基準によって左右されてしまう。
これでは、まさにお金に依存し、人生の主導権をお金に渡してしまっているのと同じことです。

 

やりたいことを見つけるには、どうすればいいのか。
そのために必要なのは、「まずやってみること」です。
(略)
「これで食べていけるかどうか」という考えはいったん脇に置き、とにかく興味を持ったことに挑戦してみる。
さまざまな分野のことを試してみる。
やってみて楽しかったら続ける。
楽しくなかったら、さっさとやめて次に行く。
それだけの話です。

 

「やりたいことを全部やる」人生とは、「生きがいだけのために生きる」人生と同義だと思います。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2176-1】「みずからの死」を想像したうえで、どう生きるかを考えてみる

【2176-2】「自分がやりたいかどうか」を判断基準にする

【2176-3】興味を持ったら「まずやってみる」

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】やりたいことは全部やりなさい
【著者名】森永卓郎
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2025/4/6
オススメ度★★★★☆
こんな時に他人の生き方に触れたいときに
キーワード生き方考える働き方
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 やりたいことは全部やりなさい
第2章 「資本の奴隷」になってはいけない
第3章 新しい増税地獄を生き抜け
第4章 「常識」は正解じゃない
第5章 属せども、隷属せずに働きなさい
第6章 「終わり」を意識して生きなさい

 

▼さっそくこの本を読む

やりたいことは全部やりなさい
森永卓郎 SBクリエイティブ 2025-4-6
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森永卓郎さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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