【書評:2162冊目】若手が辞める「まさか」の理由(井上洋市朗)

【離職防止には3つの要因の解決が不可欠!】
離職防止コンサルタント・井上洋市朗氏が、『若手が辞める「まさか」の理由』と題して、離職理由の分析から、令和の時代における組織・人材・リーダーのあり方を指南する一冊。

■書籍の紹介文

今の仕事を離れるべきかどうか・・・。
もし、あなたがこのように悩むとしたら、何がその原因となりそうですか?

 

本書は、若手が早期離職に至る本質的な要因を紐解きながら、早期離職者を組織・チームから生み出さないために重要な「リーダーのあり方」を指南する一冊。

 

離職理由。
そこには、千差万別の事情があることでしょう。

 

なかには、本音ではない理由が挙げられているかもしれません。
また、理由を深く掘り下げず、事務的に受理してしまっていることもあるでしょう。

 

あらゆる業界で人手不足が叫ばれる令和の時代。
離職の”理由”をきちんと分析し、社員が定着し活躍し続けられる環境の整備は死活問題である!

 

そう提起するのが本書です。
離職の”理由”ときちんと向き合うことで、組織のあり方、人材のあり方、そして、社員を預かるリーダーのあり方が見えてくると力説します。

 

多様性が叫ばれる昨今、働くことに対する価値観も世代や個人によって大きく異なります。
「自分の若手のときはこうだった!だから・・・」は通用しません。

 

ましてや、合わなければ新しい人材に入れ替えて・・などという人的余裕もありません。
今後、業界を問わず、人材難による弊害は増す一方だからです。

 

やるべきことは、積極的かつ柔軟に適応し続けることです。
そのうえで、「どう適応するか?」を思考する際に『離職理由は宝の山』であると著者は説きます。

 

実例をもとにした解説が豊富であり、「知識」と「実務イメージ」をバランスよく学ぶことができます。
そこから、リーダーのあるべき姿の提示までもうまく繋げられており、納得感の高い一冊に仕上がっています。

 

離職理由の活用から示される「リーダーのあり方」。
とても新鮮な視点が得られる書籍でオススメです。

 

◆離職理由、きちんと向き合ってますか?

若手が辞める「まさか」の理由
井上洋市朗 秀和システム 2025-2-11
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■【要約】15個の抜粋ポイント

私が今までインタビューを重ね、様々な企業の若手社員や人事の方々と対話する中で、若手社員が辞める理由として、次の3つの要因があることがわかってきました。
①存在承認の不足
②貢献実感の不足
③成長予感の不足

 

若手社員が思い描いている「安定している会社」というのは、今後も成長し続ける会社を意味していると感じることが多々あります。

 

若手社員にとっての安定とは、会社がつぶれないという意味での安定ではなく、どんなことがあっても自分の食い扶持は自分で確保できる、という安定ではないかと考えられます。
成長というキーワードも同様です。
企業や上司から求められる成長ではなく、会社の外でも通用する力を身につける成長を目指しているのだと思います。

 

安易に最近の若者の傾向から辞める理由と対策を考えてはいけないのなら、どうしたらいいのかと悩んでしまう方も多いでしょう。
そんなときにヒントになるのが「ハーズバーグの二要因理論」です。
これは、職場の満足度を決める要因が2つ(二要因)あるとする理論です。
(1)動機づけ要因:満たされるほど満足感が生まれる
(2)衛生要因:不足→不満、充実→満足感にはつながらない!

 

離職対策は会社の状況に合わせた実施が重要ですが、若手社員がなぜ辞めるのか見当がつかない場合は、次の3つの方法がおすすめです。
①退職者インタビュー
②社員へのアンケート
③エンプロイージャーニーの整理

 

離職対策の視点は、取り組みの主体別に会社・チーム・個人、3つの視点から考えてみてください。

 

離職対策を考えるときに「企業は選ぶ側から選ばれる側に変わった」という認識は非常に重要です。

 

職場のリーダーである管理職は、未来を描かなくてはいけません。
未来を描けない、未来を語れないリーダーに部下はついていきませんし、未来を語ることは、部下の成長予感に直結するからです。

 

自分が何かを伝えるとき、相手は「何を言っているかではなく、誰が言っているか」で判断していると思ってください。
普段から言行不一致の人や横柄な態度の人、裏で影口を言っている人が正論を言ったところで、部下や新人からすると「あなたに言われたくない」と思ってしまいます。

 

●信頼関係を築くための「傾聴3原則」
原則1:共感的理解(相手の立場になって聞く)
原則2:無条件の肯定的関心(まずは否定せずに受け入れる)
原則3:自己一致(わからないことは素直に聞き直す)

 

「相手を動かすには、理解してもらうだけでは不十分であり、納得してもらえなければ相手は動かない。主体的に動いてもらうためには、共感してもらう必要がある」

 

報連相を受けたときの対応は「お・ひ・た・し」です。
お:怒らない
ひ:否定しない
た:助ける
し:指示する
早期離職者インタビューでは、おひたしと反対の指導・教育に対する怒りの声をよく耳にします。

 

信頼関係が十分にできていないタイミングでは「クローズド質問で事実・属性情報」を聞くのがおすすめです。

 

共感はしても同調はNGです。
(略)
共感は相手に安心感を与えますが、同調は相手が自分の意見を正当化し、視野を狭める原因にもなり得ます。
結果的に、相手の成長のためにもならないばかりか、問題が解決されないまま放置される危険性が高まります。

 

どんな期待の言葉が響くのかは個人差があるので、絶対にこれがいいとは言い切れません。
だからこそ、組織のリーダーは、期待を伝える言葉の引き出しを増やす努力をし続ける必要があるのです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2162-1】言行の一致した人間でいることを常に意識する

【2162-2】相手の報連相へは「お・ひ・た・し」で対応する

【2162-3】共感は積極的に、同調は慎重に、を常に意識する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】若手が辞める「まさか」の理由
【著者名】井上洋市朗著者情報
出版社秀和システム
【出版日】2025/2/11
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワードリーダー組織改革問題解決
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 若手社員の本音と実情
第2章 的外れな離職防止策を正す
第3章 時代に即したマインドとスキルを
第4章 社内コミュニケーションの活性化
第5章 信頼関係を築く若手への声掛け

 

▼さっそくこの本を読む

若手が辞める「まさか」の理由
井上洋市朗 秀和システム 2025-2-11
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井上洋市朗さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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  1. 2025年 3月 13日

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