
【値上げは最終手段という呪縛を解こう!】
中小企業診断士・吉田由佳氏が、『「4割値上げ」で始まる小さな会社の”らしさ”ブランディング』と題して、小さな会社が生まれ変わるための実践的な戦略を指南する一冊。
■書籍の紹介文
商品サービスの価格を値上げする。
自分が売り手の立ち場だとして、どれくらい抵抗感を感じますか?
本書は、「値上げをしたうえで商品の価値をどう伝えるかを考える」ことこそ小さな会社が成功する秘訣だと提起し、誤った固定概念を壊しながら、小さな会社が生まれ変わるための実践的な戦略を指南する一冊。
「値上げ」と「倒産」。
顧客にとってどちらが”迷惑”かと問われれば、「倒産」ではないでしょうか。
なぜなら、顧客はせっかく気に入っていた商品サービスを二度と使うことができなくなるからです。
さらに、代替の商品サービスを探さなければいけないという負担を強いることにもなります。
「きちんと話してくれれば、値上げされても継続利用したのに」
「顧客第一とか言っておきながら、結局は顧客を信用してなかった(値段だけで買う客だと見られてた)ってことか」
このように、顧客のためと思って値上げせずに耐えてきたのに、反対に責められる。
こんな悲しいことはありませんよね。
この悲劇をあなたもくり返さないために・・・・。
本書は、「値上げ」をしてもビジネスがより良い方向に進んでいくための戦略をまとめ上げています。
小さな会社の経営者が陥りやすい”間違った考え方”を正しながら、生存戦略を指南していきます。
学びっぱなしではなく、各項目ごとにボリュームたっぷりのワークシートが付属している点は実用性も十分です。
耳障りのいい綺麗事ではなく、どこまでも実務的な視点で著者は語りかけます。
その熱量は、あたかも目の前で対面しながら熱血指導を受けているように感じることでしょう。
言うまでもなく、日本経済は名もなき無数の”小さな会社”が支えています。
だからこそ、”小さな会社”は元気でなくてならないし、健全な経営がされなければなりません。
そのためには、”小さな会社”の経営者が正しい戦略をもって”覚悟”を決める必要があります。
著者の熱血指導に触れ、”戦略”と”覚悟”を磨いてみてください。
◆美徳を言い訳にしないために。
「4割値上げ」で始まる小さな会社の”らしさ”ブランディング
吉田由佳 同友館 2025-2-3
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■【要約】15個の抜粋ポイント
消費者の金銭タイプを2つに分けると、次のようになります。
①「お金に余裕がある人または消費に活発な人」
②「お金に余裕がない人または消費に消極的な人」
小さな会社がターゲットにするべきなのは、①の「お金に余裕がある人または消費に活発な人」です。
「共感・感動・応援」は、消費者の罪悪感を払拭できる強力なキーワードです。
消費者は一生懸命働いたお金を使って楽しいことを経験し、ストレス発散にお金を使いたいと思っています。
そんな時に、消費者は罪悪感無くお金を使う言い訳を求めています。
「共感・感動・応援」の言い訳は、購買を迷う消費者の背中をそっと押してくれます。
店舗があるから店舗で買う、荷物は当然持ち帰るという固定概念を外して考えることで、お客様に喜んでもられるより良いサービスが生まれます。
「お金を儲けている人が沢山いるけれども、その方々に対してビジネスを展開できていないので、売上が上がらず、会社が苦しい」ことを理解していない経営者が多いです。
「3つの勇気」を持てる経営者は強い
「不完全である勇気」
「失敗をする勇気」
「誤っていることが明らかにされる勇気」
BtoCのお客様は一度値上げを受け入れたら値下げはしてきませんが、BtoBの取引先は「原材料の高騰が収まったら値下げできるのか」と、詰め寄ってくることが多々あります。
その際には、「努力します」と口頭で伝えますが、値下げはしなくて構いません。
今後、世界的に資源不足、人材不足は止まらないでしょう。
将来的に値下げできる要因は、ほとんどないのです。
あなたの会社が経営難で倒産した場合、お客様はあなたの会社の商品サービスを買うことができなくなって本当に困ります。
「謙虚が美徳」で倒産してしまわないよう、あなたは稼いで、利益を会社に残して、ゴーイングコンサーン(会社が将来にわたって継続していくこと)を、実現していかなければなりません。
小さい会社が生き残るマーケットを創造する際にお勧めなのが、オンリーワン(うちだけ)とファーストワン(うちが元祖)を生み出すことです。
●”らしさ”ブランディングの3ステップ
STEP1:棚卸
STEP2:トリセツ
STEP3:発信
小さな会社は「弱み」よりも「強み」を伸ばすことを重視することが大切です。
「弱み」は「強み」の足を引っ張るものに優先順位をつけて克服していきます。
お客様や取引先の購買決定プロセスにAMTULの法則があります。
「Awareness 認知」
「Memory 記憶」
「Trial 試用」
「User 購買・日常利用」
「Loyalty ファン」
この5つのプロセスそれぞれに、会社または商品サービスとお客様のタッチポイント(接点)があります。
この5つのプロセスに、STEP2で作成したトリセツを散りばめていきます。
あなたの中に見えない敵がいます。
それが「飽き」です。
小さな会社の経営者は従業員をフルタイムで働ける人を探しすぎです。
市場にはそんな方はそうそういません。
マニュアル化を進めることで、さまざまな方々に仕事を依頼しやすくなります。
副業であれば、何人もの人へお試しで仕事を依頼してみて、会社にフィットする方を探すこともできます。
オンラインで検索すれば副業募集サイトがヒットしますので、試しに始めてみてはいかがでしょうか。
近江商人の商売哲学のひとつである「三方良し」には順番があります。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」と、本来であれば、売り手が満足し、買い手が満足すると、結果として社会貢献ができるという順番です。
昭和は、三波春夫氏の「お客様は神様です」がまかり通りましたが、令和は違います。
会社とお客様は対等なパートナーです。
お客様の言いなりになることなく、三方良しの順番を変えてみることで、経営者と従業員の苦しみから解放されるかもしれません。
■【実践】3個の行動ポイント
【2158-1】「継続し続けることこそ最大の貢献」という意識をもつ
【2158-2】売り手(自社)→買い手→社会貢献の順で、経営課題の解決策を考える
【2158-3】強みを分析し、「オンリーワン」で「ファーストワン」の武器を考える
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】「4割値上げ」で始まる小さな会社の”らしさ”ブランディング
【著者名】吉田由佳 ・ 著者情報
【出版社】同友館
【出版日】2025/2/3
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】明日のマーケティング力を磨きたいときに
【キーワード】ビジネスモデル、稼ぐ力、アイデア
【頁 数】 200ページ
【目 次】
第1章 万人ウケをやめる
第2章 「NO罪悪感」で4割値上げする
第3章 “らしさ”ブランディングが価値を引き上げる
第4章 三方良し(自社・顧客・取引先)のビジネスモデルを「仕組み化」する
▼さっそくこの本を読む
「4割値上げ」で始まる小さな会社の”らしさ”ブランディング
吉田由佳 同友館 2025-2-3
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吉田由佳さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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2025年 2月 27日
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