【書評:2159冊目】うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣(山本衣奈子)

【具体的に何をすればいいかが分かる!】
伝わる表現アドバイザー・山本衣奈子氏が、『うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣』と題して、聞くと聞けるの違いを説きながら、聞ける力を伸ばす方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

「聞くこと」と「聞けること」。
この2つの違いを、あなたは説明できますか?

 

本書は、会話は「聞ける力」が整うほどラクになると提起し、「聞ける人」と「聞けていない人」の違いを比較しながら、「聞ける力」を磨くための実践的な方法を解説する一冊。

 

◎相手がどれだけ濃い話をするかは、聞き手であるアナタ次第
◎聞き手の聞き方が変われば、会話は見違えるほど良くなる

 

いずれも、コミュニケーション関連の書籍でよく見かけるフレーズだとおもいます。
要するに、会話の質を上げたければ「話し方」よりも「聞き方」に重点を置きなさいというわけです。

 

でも、こう言われると少しムッとしませんか?
「聞き方って・・・、こっちはちゃんと話を聞いているよ!失礼だな!!」と。

 

ここに、「聞く力」を磨こう!と前向きに取り組む際の”壁”があるように感じます。
なぜなら、一般的に、わたし達にとって「聞く」という行為があまりにも自然なことだからです。

 

相手が話す→内容が耳から入ってくる→聞く(聞いた)が、自然と成立してしまいます。
ゆえに、「これ以上、なにを学ぶ必要があるんだ?」と無意識にブレーキがかかってしまうのではないでしょうか。

 

著者は、この点について『「聞く」から「聞ける」へと意識をあげる必要がある』と指摘します。
そのうえで、「聞く」と「聞ける」の違いを説きながら、「聞ける」ようになるための具体的な方法を指南していきます。

 

では、「聞く」から「聞ける」に視点を上げると何がいいのか。
それはひとえに、『相手をより深く知り、自分もより深く知ってもらえ、人間関係が飛躍的に円滑になること』です。

 

ここで大事なのは、(自分もより深く知ってもらえ)の部分。
つまり、「聞ける力」を身につけることは、「伝える力」を伸ばすことにもつながるということです。

 

ぜひ、この点を意識して、「聞ける力」の磨き方を学んでみてください。
具体的に何をすべきという行動が明確に提示されているので、とても学びやすい印象を受けました。

 

要点を絞っているのに、内容はとても濃い一冊。
よく構成されており、著者と編集者、お互いの「聞ける力」が十分に反映されていると感じる良書です。

 

◆オススメの一冊!

うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣
山本衣奈子 明日香出版社 2025-1-17
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■【要約】15個の抜粋ポイント

息を吐くためには、まず吸うことが必要です。
会話も呼吸と同じで、吐く(話す)ことと、吸う(聞く)ことを繰り返して成立します。
つまり、きちんと話すためには、まずしっかり聞くことが大切です。

 

相手を大事にすることは、相手に大事にしてもらえること。
自分の話を聞いてほしいなら、まず相手の話をしっかり丁寧に聞きましょう!

 

”共感”とは、相手と同じ場所に立つことではなく、相手の横に立つことです。
相手の横から、相手が見ているものを一緒に見て、相手の気持ちを受け止めるということです。

 

・急に黙り込む
・身体を引く、遠ざける
・困ったような笑顔を見せる
・チラチラと時計を見る
・「まあまあ」「それはそうと」と話題を変えようとする
相手がこういう反応をしたときは、”引きどき”です。
うまく聞ける人はそこにさっと気付き、それ以上触れないようにそっと自然に話題を変えます。
そのさりげない態度が安心感となり、その後に違和感やぎこちなさをつくることなく会話を継続することもできていきます。

 

「分かる気がするなぁ。そういうのホントしんどいよね。それでどうなったの?」
「同じような経験したから聞いてるだけでドキドキする。その後はどうしたの?」
「それ聞いたことあるかも。聞いたときびっくりしたのだけれど、同じことかな?」
話を聞きながら生まれた”感情”を反応として伝えると、それだけでも”共感”となって相手に届いていきます。

 

「WHY(なぜ?)」は相手を問い詰めてしまう傾向がありますが、「WHAT(何?)」や「HOW(どんな?)」は話を広げる役割を持ちます。

 

「この話をどう広げていけるだろう」と考えるようにすると、ちゃんと聞いていないことには広げることなど不可能なので、自然に集中して聞く姿勢と意識も高まっていきます。
もらったボールは、「次につなげる」という気持ちで話を聞いていきましょう。

 

ぶつかることを避けたり逃げたりするのは、その場しのぎにしかなりません。
相手がどういう人間なのかを知るために、その人に対する付き合い方を考えるために、ぶつかることも大切なのです。
とはいえ、次のような側面が目立ったら、向き合うことに固執するよりも、適切な距離感が必要な相手とも言えます。
・敵意剥き出しの人
・暴言ばかりを吐く人
・こちらの話をまったく聞かない人
・コントロールしてこようとする人
・感情的に怒鳴りつけるなど、力ずくで押さえつけようとする人

 

”理解”というのは、つまり自分と相手を切り分けて考えるということでもあります。
具体的には、「この人は、」と付けて考えながら聞いていきます。
「この人は、こういうことが嫌いなんだな」
「この人は、こういうことにこんなにも腹が立つんだな」
「この人は、これについて、そういう風に受け取ったんだな」
といったように、「この人は、」と付けて考えることで、自分の考えや価値観ではなく、その人の考えや価値観だと認識しやすくなります。

 

うまく聞ける人は、自分も周囲も守るために、正確性を何より大事にしています。
確かではない情報は、まずは耳で受けて止めておき、真偽を確かめてから頭や心に入れ、咀嚼してから必要があれば周囲に伝えていきます。

 

聞ける人は、行動と想いをセットで聞いていきます。
「沖縄に行ったんだね。どうして沖縄にしたの?」
「ホテルはどうだった?そこにした決め手はあったの?」
「沖縄料理色々食べた?」特に好きなものってあるの?

 

うまく聞ける人は、相手の話をきちんと聞くために、「考える時間」の必要性を認識して、大切にしています。
ですから、相手が黙っていたとしても、過度な不安や恐怖心を抱くことなく、相手から自然に言葉が出てくるのを待っています。

 

「でもそうではないかも」と考えることで、違う見方をする余裕を持ち、偏りのない真っ直ぐでフラットな見方を意識して保っています。
「そうである」可能性と同じくらい、「そうでない」可能性もあることを、心の片隅に持っておくようにしたいですね。

 

自分だけでは考えもつかなかったようなアイデア、思いもよらなかった視点、それを教えてくれるのは自分ではない他の人なのです。

 

何を言ってあげようかと悩むより、「そうなんだね」と受け止めてあげればいいだけのことも多いものです。
相手の感情と行動を観察しながら、「そっか」と受け止める。
これだけでも十分聞けています。
力を抜いた方がうまく聞けるということもあるものですよ。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2159-1】「次にどうつなげるか」を意識して相手の話を聞くようにする

【2159-2】「この人は、」を頭につけて相手の意見を聞くようにする

【2159-3】「行動」と「想い」をセットにして聞く意識を持つ

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣
【著者名】山本衣奈子著者情報
出版社明日香出版社
【出版日】2025/1/17
オススメ度★★★★☆
こんな時に聞く力を身につけたいときに
キーワード話し方人間関係コミュニケーション
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 聞き方の基本
第2章 相手が心を開くリアクション
第3章 距離が縮まる聞き方
第4章 話の盛り上げ方
第5章 仕事・人間関係がうまくいく秘訣
第6章 もっと話を引き出す聞き方
第7章 聞き上手の考え方

 

▼さっそくこの本を読む

うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣
山本衣奈子 明日香出版社 2025-1-17
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山本衣奈子さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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