【今こそ、地政学の封印を解け!】
元外務省主任分析官・佐藤優氏が、『地政学入門』と題して、いまと未来を読み解き、世界を動かす「見えざる力の法則」である”地政学”のエッセンスを講義形式で解説する一冊。
■書籍の紹介文
地政学。
あなたはどんなイメージをお持ちですか?
本書は、地政学の重要性を示す出来事が世界中で頻発していると提起し、世界を動かす「見えざる力の法則」といえる”地政学”のエッセンスを講義形式で解説する一冊。
日本における地政学は、「政」が強調されすぎている。
本来、地政学は「地」、つまり”地理”であると説きます。
なぜ、日本ではそうなってしまったのか。
ここを紐解きながら、地政学の本質を歴史とともに解説していきます。
地政学の影響は世界中におよびます。
当然ながら、わたし達も意識無意識に関わらず影響下にあります。
それなのに、現代の日本人は、地政学について無知、誤認識が過ぎると指摘します。
地政学に起因する国際問題が頻発する現代社会において、これは致命傷になり兼ねません。
【入門】とタイトルにつける割には、読み手の教養がある程度必要な難易度です。
ですが、これくらいはスムーズに読み解くくらいの知性は持っていないければという気持ちにもさせられます。
わたし達の世界は、さまざまな影響を受けて成り立っています。
それを紐解く”地政学”の力、その一端を学びましょう。
◆地政学の目を持つ。
地政学入門
佐藤優 KADOKAWA 2021-11-10
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■【要約】15個の抜粋ポイント
地政学というのは基本的にはユーラシアの話です。
もっと言うと、東欧の話。
東欧を押さえることができればユーラシアを押さえることができ、ユーラシアを押さえることができれば世界を押さえることができると言う、そのような作業仮説であって、一種の陰謀論的な要素が強いものです。
ある人が何かを信じていたら、それを外部からの影響で変えることはなかなかできない。
つまりそれほど物語というものには、すごい力がある。
そのように物語一つで人間をつかんでしまう危険性を持っているのが地政学です。
一つの物語で人間がいくらでもアグレッシブになり得るものといえます。
だから地政学が流行になり、地政学で世の中が動いているという物語をみんなが信じるようになると、世の中が怖くなる。
地政学にはこのような危険があることを、よく覚えていてください。
地政学との関係において、とても重要なのがファシズムです。
地政学で重要なのは、地理的制約条件です。
戦前の日本の地理学が、ほとんど地政学だったことに対する反動です。
地政学はナチスの公認イデオロギーでした。
日本でもさまざま地政学派があったし、京都学派は非常に地政学的な考え方をしていました。
それに対する反動から、「地政学というのは戦争に直結している学問なので扱わないほうがいい」と封印してしまった。
だから現在のわれわれは地政学がよくわからなくなってしまったのです。
ハートランドという地政学上の要となる場所が世界には二つあるというのがマッキンダーのモデルです。
一つはユーラシア。
ロシアのあたりから、中国の内陸部に入ってくるところです。
それからサハラ砂漠の下の南アフリカ。
この二カ所をマッキンダーはハートランドと呼んだ。
住むのがとても難しいけれど、豊かな資源がある地域。
このハートランドを押さえた国が世界覇権を握るというのが、マッキンダーの仮説です。
「イスラム国」が原因ではありません。あれは結果です。
(略)
「イスラム国」が生まれたそもそもの原因は何かというと、一九一六年のサイクス・ピコ協定です。
サイクス・ピコ協定というのは、連合国側にいたロシア、イギリス、フランスが、当時のオスマン帝国が敗れるだろうと予測し、オスマン帝国が解体したあとの領土の分け方をこっそり決めておいたことをいいます。
アラビア半島の付け根のところをグッとつかんで引っ張ったら、アフリカもアジアもヨーロッパも、全部くっついてくるのです。
アジアとアフリカとヨーロッパが交差するのは、まさにこの現在のイスラエルやレバノンのあたりになるわけです。
いろいろな文明の交流の地になるとともに、そこを押さえることによって世界全体を鳥瞰できるようになる要の土地です。
だから争奪戦になるのは必然的だという見方をマッキンダーは示しています。
イデオロギー対立がなくなって、人間たちの対立だけになると、地政学が表に出てくる。
海洋戦略論は、イコール、アメリカ論でもあります。
われわれが考えなければならないのは、海洋国家とはどういう性格のもので、どういう振る舞いをするかということです。
海洋国家にとっての脅威は同じ海洋国家です。
海洋国家と大陸国家は手を結ぶことができる。
ところが海洋国家と海洋国家は磁石のN極とN極のようなものだから、常に反発するというわけです。
日本が海洋国家であるという前提に立つと、現在の日本が置かれた情勢がよくわかります。
北洋行路を開設するということは、同時に北方領土問題の解決につながるわけです。
アメリカのキリスト教の考え方はキリスト抜きのキリスト教です。
これはユニテリアンという特殊なキリスト教です。
地政学とは地理です。
なぜならば地理的な要因はなかなか変化しないから。
その中で私が毎回の講義で強調してきたのが、「山」です。
今の国際情勢で障害になっているところは全部、「山」です。
これからわれわれが地政学を考えていく場合は、長く変わらないような要素として何があるのかと、変わり得る要素で何があるのかをしっかり把握する必要があります。
地政学的要因で説明できないようなことが出てきたときに、どういう文化的要因があるのかを考えること。
文化的要因の中でも長いスパンで影響を与えて、地政学的な要因に限りなく近いことは何かというと、たとえば人種や宗教のような概念になります。
こうした長いスパンで影響を与える概念と、比較的近代になってから起きた科学技術の進歩や、民族などの概念を一定程度分けて、相互に動的な分析をするというのが地政学の要です。
■【実践】3個の行動ポイント
【1735-1】巻末の「関連書籍リスト」の書籍を読む
【1735-2】高校の「地理B」の教科書を読む
【1735-3】地政学的視点で国際ニュースを考えてみる
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】地政学入門
【著者名】佐藤優
【出版社】KADOKAWA
【出版日】2021/11/10
【オススメ度】★★☆☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】考える、教養、グローバル
【頁 数】312ページ
【目 次】
第一講 地政学とは何か
第二講 ハートランドの意味
第三講 ヨーロッパと中東
第四講 海洋国家とは何か
第五講 二一世紀の地政学的展望
この本が、あなたを変える!
地政学入門
佐藤優 KADOKAWA 2021-11-10
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佐藤優さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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