【書評:1473冊目】僕らのAI論(森川幸人・他)

【いま、AIはどこにいて、どこに向かうのか?】
ゲーム系AI開発の第一人者・森川幸人氏が、『僕らのAI論』と題して、各界のオーソリティ9名のAI論を伺いながら、AIと”こころ”の関係性を考察する一冊。

■書籍の紹介文

AIに人間のような”こころ”は宿るのか。
あなたは、どのようにおもいますか?

 

本書は、AI専門家・こころの専門家・言葉の専門家など、各界の第一人者が考えるAI論を通して、AIと”こころ”の関係性を考察する一冊。

 

AIの現在地とこれからどこに向かうのか。
各界の専門家がいま何を考えているのかを一気に学べます。

 

いかに、人間世界に溶けさせるか
このような表現が、複数の専門家から出ているのが印象的です。

 

つまり、AIが人間(社会)に溶け込んでいく存在になっていくのか。
それとも、AIが人間(社会)と独立した存在になっていくのか。

 

その分岐点にこれから差し掛かるのかな。
素人目には、そのような空気感を感じ取りました。

 

さらに、
◎日本をはじめた東洋のほうが、AIと相性がいい
◎Google HomeやAmazo Echoなどのスマートスピーカーが無機質な箱の形をしているのは西洋的哲学の影響

 

このように、テクノロジー・哲学・精神学などをいっぺんに学べる教養的な側面も高い一冊です。
総じて、知的好奇心をとっても刺激されます。

 

AIは、すでに日常の中に普通に存在しています。
そして、これからますますわたし達の生活に影響を及ぼしてきます。

 

たとえ専門家でなくても、AIに対する自分なりの意見を持つことは大切になっていきます。
そのためにも、各界の第一人者それぞれの視点を学べる本書は、刺激になるとおもいます。

 

ビジネスの観点からみると、三宅陽一郎氏の章が、参考になりました。

 

◆AIに”こころ”は宿るのか。

僕らのAI論
森川幸人 SBクリエイティブ 2019-6-15
売上ランキング(公開時):171,160
Amazon Kindle 楽天

■【要約】15個の抜粋ポイント

【松原仁/公立はこだて未来大学 副理事長】

我々が人間型のロボットの実現を目指すのは、ロボットの研究を介して人間を知りたいという関心ももちろんあるのですが、何よりも人間の住んでいる社会が、人間向きに作られているからというのが一番の理由です。

 

画像認識も音声認識も自然言語処理もゲームも、人間が当たり前にやっていることは、人工的に再現することが容易にはできないすごいことなのです。

 

【一倉宏/コピーライター】

クリエイティブよりも、情報の整理とか伝達を重視する質の仕事においてなら、AIコピーライターは実用化されていくのでしょう。
すでにいまでも、簡単なスポーツ記事や天気予報のように定型化された文章なら、人間の記者が書いたのかAIが書いたのかの見分けがつかない段階にきているとも聞きます。
しかし、その先の段階はまだよく見えません。

 

【伊藤毅志/電気通信大学准教授】

AIの何が便利かというと、その時々の局面に対して「こちらのほうが何点良い」とAIの評価を数値的に見せてくれる点です。

 

仮にロボットという身体感覚を持ったとしても、「自分たちが生きるということは何か?」ということを、AI自らが考えるようにならない限り、人間の生得的な感覚を身につけることは難しいでしょう。
おそらくこの問いは、人間の感情はどこから生まれるのかということと結び付いています。

 

【鳥海不二夫/東京大学大学院准教授】

我々がAIに対して嘘をつく必要はないし、AIも我々に対して嘘をつく必要がありません。
そのため、そもそも説得しなければいけない状況というのがAI開発においてはあまり存在しなかったのです。
しかし、将来この関係は変わってくるはずです。
なぜなら、嘘をつくことは良いコミュニケーションのためには絶対に必要なことですから。

 

少なくとも、私から言えるのは、あくまでも今の人工知能には直感と呼んでよいものはあるかもしれないが、心や意識がないということです。
そして、「将来、人工知能が心や意識を持ち得るか」という問いは、意識を持っていないことは証明できても、意識を持っていることは証明できないでしょう。

 

【三宅陽一郎/ゲームAI開発者】

人間の直観の検証にビッグデータ解析やデータマイニングが行われているという実態があります。
人工知能には問題を発見する力がないのです。

 

東洋の人は自分の生活の中にスッとAIを入れるし、人間や生物の姿にしようとする。
そのような思考の整理を西洋人はやりたがらないので、スマートスピーカーも筒とか球といった、いかにも道具という外観にしたがるのです。

 

【糸井重里/「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰】

ぼくはAIが機械とかシステムというよりも「道具」として扱えるものになるといいと思っています。
道具という言葉がすごくしっくりくるのですよね。

 

【近藤那央/ロボットアーティスト】

コミュニケーションロボットの開発において、生き物であると感じさせたり、感情があると感じさせたりといった人間の妄想力を最大限に引き出すという視点を持った設計が今後求められているのだと思います。

 

【山登敬之/精神科医】

私はAIについては門外漢ですが、少なくともSiriレベルでは、AIには情も意志もないと言ってよいと思います。

 

AIを「サリーとアンの実験」に参加させたら、正解を出せるでしょうか。
というよりも、そういう機能を備えたAIを開発してもらえると、自閉症の人の助けになると思います。

 

【中野信子/脳科学者】

AIは社会性をまったく持たなくても生きていけるので、「正しさ」も「美しさ」も必要ない。
これらのことを本質的には理解することはないだろうと考えられます。

 

人間が人工知能に脅威を感じるのは、自分たちが出せない正解を、自分たちが知らない方法で出していることに気持ち悪さを感じるからです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1473-1】「AIって何だろう?」と自分で考えてみる

【1473-2】「AIはこれからどう発展するだろうか?」を考えてみる

【1473-3】自分ならどういったAIを開発するかを考えてみる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】僕らのAI論
【著者名】森川幸人
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2019/6/15
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード哲学教養サイエンス
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 AIがヒトになる日 [松原仁]
第2章 人工知能は言葉を話せるか [一倉宏]
第3章 AIでゲームは強くなるのか [伊藤毅志]
第4章 AIは人間を説得できるのか [鳥海不二夫]
第5章 ゲームから現実へ放たれる人工知能 [三宅陽一郎]
第6章 AIは道具であってほしい [糸井重里]
第7章 「生き物らしさ」に必要なのは「痛み」 [近藤那央]
第8章 精神医療にAIを活かす [山登敬之]
第9章 誤解だらけのAI論 [中野信子]

 

この本が、あなたを変える!

僕らのAI論
森川幸人 SBクリエイティブ 2019-6-15
売上ランキング(公開時):171,160
Amazon Kindle 楽天

森川幸人さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

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