【書評:2207冊目】組織の違和感(勅使川原真衣)

【職場で発生する人間関係のモヤモヤを晴らす!】
組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏が、『組織の違和感』と題して、「観察」というスキルを磨くことで実現する、組織を機能させるための具体的な方策を指南する一冊。

■書籍の紹介文

「これって変じゃないか?」
職場でそのように感じることはありませんか。

 

本書は、小難しい理論よりもあなたが抱く”小さな違和感”こそが組織を良くする鍵だと提起し、『観察』というスキルを軸に、組織を機能させるための具体的な方策を指南する一冊。

 

『自分自身と相手への「観察」の腕を上げていくこと』。
これがこの本の目的になります。

 

ではなぜ、「観察」の腕が上がると、組織全体が良くなっていくのでしょうか。
それは、組織で起こる問題の大半は、当事者同士の「当たり前」「解釈」「正しさ」の”ズレ”によって引き起こされているからです。

 

この”ズレ”をしっかりと意思疎通して解消せず、「なんか変」と思いつつも時が進んでいくと・・・。
思わぬところで仕事上の深刻なトラブルに発展したり、人間関係のストレスになったりと、あなたを苦しめることになると指摘します。

 

そして、こうならないために、自分自身と相手への「観察」の腕を磨いていこうと説きます。
組織論がテーマではありますが、もっと広く「社会人としての人間関係の在り方」を説く、そんな印象をもった一冊です。

 

人はそれぞれの中に「自分の正義」を持っています。
一方、組織には指揮命令系統があり、組織の論理ともいうべき「組織の正義」があります。

 

これら「自分の正義」「相手の正義」「組織の正義」が日々ぶつかり合っている場所。
それが”職場”というわけです。

 

まずは、このことをきちんと自覚しておくこと。
そして、正義というのは「当たり前」や「決めつけ」を引き起こす危険性があるということも。

 

無自覚のままでいると、”ズレ”に苦しむことになってしまいます。
では、どうすればきちんと自覚しておくことができるのか。

 

それが、『自分自身と相手への「観察」の腕を上げていくこと』という本書の目的へとつながるわけです。
さらに、腕を磨くにあたって大切なことが「違和感を大事にする」です。

 

違和感とは、いわば”ズレ”を認識するためのセンサーのようなもの。
違和感を流したり飲み込んだりせず、ひとつ一つ解消していくことが、「当たり前」や「決めつけ」の沼にハマっていることに気づく最良の方法だと著者は語ります。

 

「違和感」と「観察」。
ここを軸に、最高の組織をつくるための具体的な方策を密度高くまとめ上げられています。

 

リーダーの方はもちろん、職場にモヤモヤしたストレスを感じているすべての人に有用な内容だと感じます。
相手を観察するための手法として解説されている「ソーシャルスタイル診断」はなかなかにオモシロイ。

 

◆観察し理解することで、組み合わせ方が見えてくる!

組織の違和感
勅使川原真衣 ダイヤモンド社 2026-1-14
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■【要約】15個の抜粋ポイント

どんな立場の人にも、必ず心の中で考えていることがあります。
でもそれを「言っても意味がない」と決めつけて、あきらめてしまっている。
もとい、あきらめざるを得ない状況に追い込まれている。
それってすごくもったいないことです。
なぜなら、せっかく仲間がいるのにひとりで働いていることと同じになってしまうから。

 

「決めつけ」の奥底には、それぞれの「当たり前」「ちゃんと」「普通」があります。
このことを私は、次のように表現しています。
「人はみな違う色のメガネをかけている」
本来、物事に色はついていません。
コナンくんではないですが、「真実はいつもひとつ」。
ところが、赤いメガネをかけている人には世界が赤く見え、青いメガネをかけている人には世界が青く見えます。
同じものを見ても、「解釈」が変わるのです。

 

どうしたら、色のついていない真実にたどりつくことができるのか。
その手がかりになるのが、「違和感」です。
違和感をキャッチした瞬間というのはまさに、相手とのメガネの違いが顕在化した瞬間だからです。

 

「あれっ、おかしいな」と思ったとき、
「誰が正しいのか?」
と考えるのではなく、
「それぞれの人が何を『正しい』と思って行動しているのだろう?」
と現状を認識し直すこと。
これが職場改善の一丁目一番地です。

 

本書で言う観察は、職場の違和感を解消し、チームの力を最大限に引き出すための土台となるものです。
それは、能動的で知的な次の3つのステップから成り立ちます。
ステップ①:違和感に気づく
ステップ②:複数の解釈を当ててみる
ステップ③:対話の糸口になる仮説を立てる

 

「自分を変える」というのは、自分の内面を変えることではなく、外部環境との接続の仕方を調整することだととらえ直すことができるでしょう。

 

「今」をしっかりとらえることができるのが、違和感なのです。
違和感は言わば、生ものです。
その場の状況を察知した瞬間の感覚で、感じたことがすべて。
そこには正しさも何もなく、現実だけがあります。
これを否定せず、受け入れなくてもいいので、受け止めるというのがポイントです。

 

それぞれの相性(ソーシャルスタイルの類型ごとの)を理解してしまえば、つべこべ論評するのではなく、あとは環境を調整すればいいだけの話です。
個人を憎まず、トラブルを未然に防ぐこともできるし、トラブルを早期に解決することだってできます。

 

社会や組織はレゴブロックの組み合わせのようなもので、個々人の特徴へのジャッジや序列なしに、目的(何をつくりたいのか?)に沿って組み合わせることが大切です。
そして組み合わせるためには「能力」ではなく、その人の特徴(持ち味)を知っておく必要があります。
レゴで言う、それぞれのブロックの形の違いですね。
◎「何ができるか」ではなく、「何は苦にならないか、やりやすいか」
◎組織全体の目的や存在意義(バーパス)の体現に対して、何を補い合う必要があるか?

 

組織において、他者が他者を否定すべき場面はひとつもありません。
他者と自分は違う、というだけです。
そのうえで、「誰と誰、誰と何を組み合わせると、見たことのない景色をみんなで見ることができそうか?」という考え方がすべての基本になります。

 

正解は誰にもわからない。
でも、まずは相手の問いに対して「応答」する。
この心がけだけで、現状がぐっとシンプルになります。

 

実際の現場では、次のポイントを意識するのがおすすめです。
◎自分の感情に流されず、相手の解釈のクセを淡々と「観察」できているか?
◎決めつけず(良い悪い、けしからんなど抜きに)相手の考えをいったん受け止められているか?
◎とはいえ、相手の言動が業務の目的にそぐわない場合は、「相手に伝わる言葉で」どうにか働きかけて調整する必要があるが、有効な質問・フィードバック・共感・傾聴など使い分けができているか?
このように相手の持ち味を想像することが、現場を動かすために大きな一歩となります。

 

社会は、はなから多様です。
その多様性を捨象せず、承認し合った先に、多様性からの連帯や、合意形成が存在します。
つまり、相手との違和感をほぐすことは、自分も相手も肯定すること。
そこから「まだ見ぬ景色」が始まるのです。

 

だからぜひ、「健全に疑う」ということを大切にしてください。
いいことばかり書いてある情報を鵜呑みにするのではなく、「そう説くことで誰かが潤っているのではないか」「誰かの口が塞がれていないか」という視点を忘れずに。

 

多くの人は、相手を認めたら「自分の何かが減る」と思わされているのでしょう。
「何か」というのは、価値とか、頑張ってきたこととか、権威といったものです。
自分のポイントを相手にあげてしまうような感覚でしょうか。
(略)
感謝はいくらしても、減るものではない。
むしろ、感謝すればするほど自分も周りも働きやすくなる。
そう考えられたら、行動に移せるはずです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2207-1】自分の「正しさ」を一方的な押しつけぬよう、相手の「正しさ」もしっかりと聞き出す

【2207-2】違和感を感じたら、何に違和感を覚えたのか言語化する癖をつける

【2207-3】自分も相手も肯定することを意識してコミュニケーションする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】組織の違和感
【著者名】勅使川原真衣著者情報
出版社ダイヤモンド社
【出版日】2026/1/14
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワード組織改革リーダー指導力
【頁 数】288ページ
【目 次】
第1章 違和感とは何か?ー「決めつけ」が横行する現場で
第2章 まず、「自分を知る」ー違和感に気づくと「自分」がわかる
第3章 次に、「相手を知る」ー人間関係の違和感から「相性」を知る
第4章 そのうえで、「組み合わせる」ー違和感を役立て最高の組織をつくる
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革

 

▼さっそくこの本を読む

組織の違和感
勅使川原真衣 ダイヤモンド社 2026-1-14
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勅使川原真衣さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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