
【重要なのは変革が持続すること!】
プロ経営者/カインズ社長・高家正行氏が、『いい経営者は「いい経営」ができるのか』と題して、経営者としての「正しさ」を探求する道のりの先に辿り着いた、経営哲学を指南する一冊。
■書籍の紹介文
「いい経営者」と「いい経営」。
それぞれ一言で表すと、あなたはどう表現されますか?
本書は、カインズで「東急ハンズの買収と過去最高益を実現」したプロ経営者が、「変化=持続」の経営を極める”道”を通じて研ぎ澄ましてきた経営哲学を指南する一冊。
著者は、変化が持続する組織の運営こそが「いい経営」だと考えます。
そして「いい経営」を実現するには、自律的なリーダーが自発的に育つ環境を整えることが最重要であると説きます。
さらに、自律的なリーダーの成長に合わせて、経営者の存在感を小さくしていく。
ここまで実現できる経営者こそが、「いい経営者」であると語ります。
なぜ、この考えに至ったのか。
18年に及ぶプロ経営者として苦闘の歴史を紐解きながら、経営哲学へと言葉を落とし込んでいきます。
経営哲学をまとめた書籍ですので、”緊張感”が途切れることは最後までありません。
プロとしての厳しい矜恃の数々は、読者の背筋を自然と伸ばしていきます。
ただ一方で、言葉のひとつ一つがスーッと心に届いてくる書籍でもあります。
この感覚は、個人的に経営関連の書であまり感じることがないので、とても珍しい経験をさせていただきました。
これはひとえに、著者の人柄・人格が書面に十二分に滲み出ているからだとおもいます。
その点、著者と編集者(製作陣)の相性がとても良かったのだなと感じます。
現役の経営者はもちろん、部下の自律に悩むリーダー職の人にも学びの多い一冊だとおもいます。
変化を持続させるための仕組みは、多くの現場でその威力を発揮することでしょう。
著者の経営哲学が息づく、カインズと新生ハンズ。
今度の休みにじっくり巡ってみようとおもう。
◆きわめて良書。

いい経営者は「いい経営」ができるのか
高家正行 海士の風 2025-12-14
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■【要約】15個の抜粋ポイント
変化とは、一つのキンク(屈折)が起きること。
一方、持続とは、ある状態が安定して継続すること。
つまり、変化と持続というのは、一見両立しがたい。
しかしながら、「変化→持続→変化→」と独立して連続していくのではなく、「変化=持続」、つまり変化そのものが持続することこそが「いい経営」であると考えている。
●変革ストーリーの組み立て
(1)資金:変革の時間軸は?
(2)損益:この先のキャッシュ創出力は?
(3)組織:この組織のストレス耐性は?/組織は何で動いているのか?
(4)市場:顧客は?/競合は?
(5)戦略:勝てる戦略か?
(6)ステークホルダー:変革によるステークホルダーへの影響は?
変革とは、ある種の破壊でもある。
従来のやり方や制度、成功体験といったものを温存したまま変革することはできない。
ただし、変革が成功するとは限らない。
何もしなければ、もうしばらくは延命できたかもしれないのに、性急に改革を進めたばかりに組織が壊れ、従業員が混乱する。
そんな可能性もないとはいえない。
失敗したときには全責任を負うという覚悟がなければ、変革はなしえない。
「霜を履みて堅氷至る」
人々が遠い冬の到来に気づいていないときに、先んじてその準備ができるのが「いい経営者」だ。
●「いい経営者」の3つの素養
(1)論理的・戦略的にものごとを分析し、課題を整理し、打ち手の選択肢を考え、意思決定に導く力
(2)自らの意思と覚悟を持って決断し、組織を引っ張り結果を出すまでやりつづけるリーダーシップを備えた企業家精神
(3)合理性を超えた道理性を備え、信頼と共感によって人を動かし、組織や社会を変えていくことのできる力
新しいことを始めるとき、これまでのやり方を変えるとき、誰しも不安を感じるが、その不安を払拭し、「こうすればいいんだ」と思って自分に身近なものとして理解してもられるかどうか。
それが変革においてキンクを起こす重要なポイントとなる。
大事なのは、変革の主役を自分から自律したリーダーへスウィッチしていくことだ。
1人の経営者から、自律したリーダーたちへ変革のバトンが渡される。
こうして、最初のキンクによって起きた変化が、拡大しスピードを上げながら持続していくのである。
自律したリーダーとは何だろうか。
さまざまな定義があるが、私は「自分で考え、意思決定できる人」のことだと考えている。
そして、これこそがリーダーとしての最も重要な資質である。
ここでいう意思決定とは、ただ会社の規定に従って稟議書にハンコを押すようなことではない。
正解のないなかで自分なりの結論を出すことである。
人は育てるものではなく、育つものである。
人は誰しも個性や主体性があり、それが発揮されないとすれば、それは置かれた環境のせいかもしれない。
企業という組織が、一人ひとりの個性や主体性を出させない方向で仕組みが出来上がっている可能性すらある。
本来、人は育つもの。
そう信じると、自律性を阻害している要因を取り除くことが必要であり、そのような場でつくることができれば、おのずと人は自律性を発揮するに違いないと考える。
「いい経営」をするためには人が育つ環境を整えること。
そのためには、人が育つ時間的猶予のある状況をつくることである。
人材育成は投資だ。
目先の利益と相反するが、私から見れば、目先の利益を盤石にするためにこそ、人が育つ環境を整えることが前提条件となる。
相手の自律性を引き出すということは、当然ながら、上司が仕事を丸投げすることとは異なる。
権限を委譲してもゴールを明確にして認識を共有するのは、上司の役割であり、責任だと思う。
CXOや本部長メンバーには、部下に指示を出すとき、具体的な施策や手法である「How(どうやって)」ではなく、「What(実現したいこと)」と「Why(なぜ必要なのか)」を伝えるように頼んでいる。
自律したリーダーの意思決定スタイルは、人によってさまざまだが、私は衆議独裁が良いと考えている。
(略)
関係者全員で意見を出しあい、議論を尽くしたうえで(=衆議)、最終的にはリーダーが責任を持って決定する(=独裁)ということだ。
衆議が良いと考える理由は、なるべく多様な意見を出してもらうほうが、結果として意思決定の質が上がるからである。
「正しさ」とは、そもそもどこにあるのか。
どうすれば、見つけることができるのか。
それは、どこにもない。
誰も教えてくれない。
それは、自分の中に見つけるしかない。
ゆえに「内省」するしかない。
というのが、私の結論だ。
日々さまざまな矛盾と向き合い、修羅場を経験するなかで、自分自身の内側にある行動、意識、価値観を省みる。
経営者として私の根底にあるのは「いかにしてプロとしての信頼を築くのか?」という信念である。
小さな信頼を一つひとつ積み上げながら、変革が続くように目の前の一人ひとりと関係構築をしていく。
それこそが経営者という”人”ができることではないかと思っている。
自分なりの「正しさ」を探究する日々は、自分が生きている証の確からしさを実感できる時間でもある。
それは人生を豊かにしてくれる濃密な時間であることは間違いない。
■【実践】3個の行動ポイント
【2206-1】「人を育てる環境」ではなく、「人が育つ環境」の構築を志す。
【2206-2】人それぞれに「正しさ」があることを自覚する。
【2206-3】「正しさ」は「内省」の先にしかないと心得る。
■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】いい経営者は「いい経営」ができるのか
【著者名】高家正行
【出版社】海士の風
【出版日】2025/12/14
【オススメ度】★★★★★
【こんな時に】明日のリーダー力を磨きたいときに
【キーワード】リーダー、組織改革、指導力
【頁 数】256ページ
【目 次】
序章 なぜカインズは東急ハンズを買収したのか
第1章 最初の目標はプロ経営者
第2章 「いい経営者」とは
第3章 「いい経営」とは
第4章 変革の主役は自律したリーダーへ
第5章 自律したリーダーによる意思決定力とは
第6章 経営者としての「正しさ」を探究する
第7章 私の「正しさ」の探究
第8章 経営者になるという醍醐味
▼さっそくこの本を読む

いい経営者は「いい経営」ができるのか
高家正行 海士の風 2025-12-14
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高家正行さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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