【書評:2154冊目】ひとことで整える(堤藤成)

【言葉を整えることの”使命”を知る】
コピーライター・堤藤成氏が、『ひとことで整える』と題して、個人でも組織でも「らしさ」を一言で表すことで得られる効力を語りながら、5ステップで一言を表す方法を解説する一冊。

■書籍の紹介文

あなたにとっての「自分らしさ」。
ひと言で表すとどんな言葉になりますか?

 

本書は、個人でも組織でも「らしさ」をひと言で表現できるようにしておくことは”幸せに至る道”なのだと提起し、その根拠を示しながら、5つのステップを通した”ひと言を紡ぎ出す方法”を解説する一冊。

 

取り繕ったり誤魔化そうとしたりするときほど、言葉は長くなります。
反対に、揺るぎない信念や考えがあるときは、言葉は短くなります。

 

このことは、なんとなく肌感覚としてわたし達は理解できるとおもいます。
そして、短い言葉ほど心に届き、心に留まることも。

 

さらに、この心に留まった言葉は、やがて、その人自身を司る指針へと昇華されていきます。
すると、短い言葉はますますパワーを増していくことにつながります。

 

だからこそ、漫然と言葉を消費するのではなく、丁寧に言葉を紡ぎ出してほしい。
ひとつでも多く、自らを幸せに導いてくれる「ひと言」を整えてほしい。

 

そんな思いから書かれているのが本書です。
深くも分かりやすく、自分「らしさ」をまとった「ひと言」を紡ぎ出す方法がまとめられています。

 

◎ただ短ければいいわけではない
◎借りてきた言葉や他者の影響を受けた言葉では意味がない

 

この2つを意識したうえで、著者が解説する5つのステップを学習してみてください。
最初のうちは拙いかもしれませんが、なんとなく「なんかいいじゃん♪」というひと言が紡ぎ出されるとおもいます。

 

さらに、折をみて、ひと言を紡ぎ出すことをくり返せば、紡がれるひと言も鋭くなるはずです。
それに比例して、”幸せに至る道”はクッキリしていくことでしょう。

 

言葉と丁寧に向き合って生きていることが伝わってくる空気感。
とても心地よいものを感じます。

 

◆オススメ。

ひとことで整える
堤藤成 祥伝社 2024-12-26
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■【要約】15個の抜粋ポイント

人生は山登りだと考えると、どんな理由で、どんな山に、どう登るのか。
その山登りのプロセスこそが、唯一無二の人生を紡ぐのではないでしょうか。

 

ミッション・ビジョン・バリューという構造を厳密に規定することで、「自分たちが何のために働いているのか」という使命を振り返ることができます。
そして、どんな未来を目指すのかが明確になり、日々の働き方において何を大切にするかのまさに価値基準まで鮮明になる良さがあります。

 

「唯一無二」というと大げさに聞こえますが、じつはここまで見てきたこのミッション(使命)、ビジョン(未来像)、バリュー(価値基準)の3つの掛け算を行なうだけで、その自分らしいパーパスは自然に紡ぐことができます。

 

「らしさ」とは、「自分軸」や「他人軸」や「ありのまま」ではなく、「自分と相手とのあいだで、おいしく満たし合える理想のあり方」を耕すもの。
「コピー化」とは、「見える化」や「言語化」や「伝え方」ではなく、「言葉を整えることで、存在意義を明確にし、ワクワクする羅針盤」を紡ぐもの。

 

「らしさのコピー化」のコツは、「おすし」にある。
お:おいしい
す:素(す)のままの
し:志(こころざし)
と覚えていただけたら幸いです。

 

●「らしさのコピー化」のためのSUSHIチェックリスト
Simple:わかりやすいか?
Useful:機能するか?
Small:ひとくちサイズか?
Happiness:おいしいか?
Identity:個性が活きているか?

 

●「らしさ」を紡ぐ「コピー化」のステップ(FOCUS)
ステップ1:見える化(Find/傾聴や内省でネタを「見える化」する)
ステップ2:言語化(Open/イメージを広げながら「言語化」する)
ステップ3:変化(Choose/言葉を選択しおいしい「変化」をつくる)
ステップ4:進化(Update/細部を磨き上げながら「進化」させる)
ステップ5:文化(Share/口に出し味わいながら「文化」にしてゆく)

 

「らしさのコピー化」を読み解くと、各社の企業戦略や未来の展望も見えてくる。
ミッション・ビジョン・バリューやパーパスは、会社の成長とともに変化する。

 

伝統ある企業こそ、「らしさのコピー化」を軸にリブランディングすることで、企業に関わるステークホルダーが誇りを持てるようになっていくのです。

 

個人においても、自分らしい言葉を持つことで、大きく人生を好転させられる。

 

自分をひとこと化するパーパスということで、言葉を短くしましょうと言ったときに、とはいえ「そんなに短い言葉、つくれないよ」と思われる方もいると思います。
ですが、じつはたった6単語で、小説さえもつくれるんです。
これは「フラッシュ・ノベル」というジャンルですが、アーネスト・ヘミングウェイが書いたと言われているこんな6単語の小説があります。
For sale:baby shoes , never worn
(売ります。赤ん坊の靴、未使用)

 

あなたらしい言葉は名詞や動詞でも語尾でも構いません。
あなたの普段の職業や口癖などから意識してつくると、自分らしさは出てきやすいのだと思います。

 

「キーワード選定シート」を使って、自分らしさを表す5つの単語を書き出していきましょう。
(略)
英語の授業で「SVOC」と習ったと思いますが、そのようにシンプルに「S(誰が)、V(どうした)、O(誰を/何を)、C(どのように)と埋めていきます。

 

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
この問いに、散歩中や、朝起きたときなど、ふとしたときに向き合うことです。
すると、自分の原体験は何だろうとか、何に問題意識を持っているか、何にワクワクするのかというキーワードが自然と見えてくるはずです。

 

「らしさのコピー化」の本質は、外面を「繕う」のではなく、内面を「耕す」ことにあるのです。
それが、苦しかった過去の自分と、何者でもない今の自分と、まだ不確かな未来の自分を、清算し肯定することになります。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2154-1】「人生は山登りだと考えると、どんな理由で、どんな山に、どう登るのか」をくり返し自分に問う

【2154-2】「キーワード選定シート」を使って、自分らしさを表す5つの単語を書き出す

【2154-3】「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という問いを持ち歩く

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】ひとことで整える
【著者名】堤藤成著者情報
出版社祥伝社
【出版日】2024/12/26
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のマーケティング力を磨きたいときに
キーワード発想力ことばのチカラリーダー
【頁 数】248ページ
【目 次】
第1章 なぜ「らしさのコピー化」が大切なのか?
第2章 「らしさ」と「コピー化」の誤解
第3章 「らしさ」を紡ぐコピー化の5ステップ
第4章 「らしさ」を紡ぐコピーの活かし方
第5章 自分らしさを紡ぐ コピー化実践講義

 

▼さっそくこの本を読む

ひとことで整える
堤藤成 祥伝社 2024-12-26
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堤藤成さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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