【書評:2144冊目】心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい(小林弘幸)

【自分で整えるからこそ”自律”神経】
順天堂大学医学部教授・小林弘幸氏が、『心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい』と題して、心身ともに健康な状態を保つために役立つ自律神経の整え方を指南する一冊。

■書籍の紹介文

心や体に不調を感じたとき。
あなたはいつもどのように対処していますか?

 

本書は、自律神経の”自律”には「自分で(自分の行動を)律する」という意を含むと解釈する自律神経研究の第一人者が、すべての人に実践してほしい自律神経の整え方を指南する一冊。

 

「おてんとうさまはあなたのことをいつも見ているよ」
日本で生まれ育った人であれば、どこか懐かしさを感じる言葉だとおもいます。

 

「おてんとうさま」を常に意識して行動すること。
昔から「日々よい行いを心がけて陰徳・善行を積みなさい」として、語り継がれてきた日本人の教えでもあります。

 

この教えは、自律神経を整えるという医学的観点からもとても理にかなっている。
そう説くのが、自律神経研究の第一人者である本書の著者です。

 

自分の良心に反するようなことをしてしまったとき。
「ああ、おてんとうさまが見ているんだから、ちゃんとしないといけないな」と行動を改善しようとする意識。

 

これは、そのまま「自分で自分の行動を律する」=「自律」につながる。
ゆえに、自律神経は「自分で律することを積み重ねることで、みずから整えることが可能である」と説いていきます。

 

自律神経は、わたし達の心身の健康に大きな影響を及ぼします。
バランスを崩すことで、体調を崩したり、病気になったり、心を病んでしまったりすることにつながりかねません。

 

さらに厄介なのが、自律神経バランスは些細な”ちょっとした”ことで簡単に乱れてしまうということ。
したがって、ストレスフルな時代に生きるわたし達にとって、積極的にバランスを整えることをしないと危険性は増す一方なのです。

 

そこで、乱れがちな自律神経をしっかり整えるために役立つことをまとめたのが本書です。
自律神経を整える方法だけでなく、「陰徳を積む大切さ」「自分に正直に行動することの大切さ」など、禅の要素も感じられる空気をまとった内容になっています。

 

さながら、『昔からの教えを蔑ろにすんじゃねえぞ!」と祖父母にコツンとやられたような印象を受けます。
疲れたときに寄りかかりたい、そんな一冊です。

 

◆下を向いた顔を、また上げてくれる本。

心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい
小林弘幸 草思社 2024-11-12
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「よいことも悪いことも、自分が受ける結果のすべては自分がつくっている」という因果応報の教えを胸に刻んだうえで、できるだけよい流れへ自分をシフトしていこうとする姿勢が大切なのです。
そして、そのためにも、陰徳を積んだり、善行を積んだり、人に親切にしたりして、日々よい行いをする心がけが重要になってくると私は思います。

 

加齢とともに力が低下しやすいのは副交感神経です。
副交感神経のブレーキの働きは、男性の場合30代、女性の場合40代になるとガクンと落ち込むことが分かっています。

 

日々陰徳や善行を積む行為が、副交感神経を刺激する「気持ちのいい行い」であることも、ぜひ覚えておいてください。

 

人間が「毎日を生きるリズム」をつくり出すための「起点」となっているのが「朝のおてんとうさまの光」です。

 

そもそも私は、自律神経の「自律」という語には、「自分で(自分の行動を)律する」という意が含まれていると解釈しています。
つまり、「自律」とは、きちんとあいさつをしたり、散らかっているものを片づけたり、困っている人を助けたりといった「自分なりの行動ルールで自分を律すること」を意味しているということ。
そして、普段からこうしたルールで自分を律して行動をしていれば、自律神経を整えて心や体の調子を上げていくことができる。
簡単に言えば、「自律神経は、『正しい行い』をすることで、『正しく働く』ようになる神経」なのです。

 

人間は誰しも「善」と「悪」のはざまで揺れ動いている存在なのだということ。
善悪のはざまで、どちらへ行くべきかで迷うのは、まったく当たり前のことだと思います。

 

自分を鏡に映せないような行動は取るべきではない。
昔から言われるように「おてんとうさまに顔向けできない」ような行動は取るべきではないのです。

 

私は、人間関係を無難にこなしていく極意は「見ざる・言わざる・聞かざる」にあると考えています。
(略)
なお、「見ざる・言わざる・聞かざる」のうちでも、一番気をつけておくべきは「言わざる」です。
とりわけ、「他人の評価」や「他人の悪口」に関しては、絶対に口にしないと決めておくほうがいいでしょう。

 

人間関係は「合う人は合うし、合わない人は合わない」としっかり割り切ったうえで、合う人とは距離を縮め、合わない人とは距離を置いて、人によってつき合う距離感を変えていくべきです。

 

自律神経の大きな乱れを防ぐためにも、人への信用や期待は”半分半分”くらいにするのがいいと考えます。
すなわち、「信用や期待の気持ちが半分」「それを疑う気持ちが半分」ということ。
これくらいのスタンスなら、アテが外れたときのダメージも少なく済むのです。

 

他人と自分を比べて無理な背伸びはしないほうがいい。
「私もああいうふうになりたい」という目標の人やあこがれの人がいたとしても、その全部をマネするのではなく、まず「いいとこ取り」をして、その取り込んだものの中から「自分ができること」や「自分らしくやれる部分」を見つけて、そこを伸ばしていくようにすればいいのです。
きっとそれが、私たちが「置かれた場所」で大輪の花を咲かせていくコツなのではないでしょうか。

 

私は常々、日々自律神経を整える習慣として「日記をつけること」をおすすめしています。

 

私が推奨する日記は、長々と文章を綴る必要はありません。
1日に書くのは、たったの3行。
しかも、書くべきテーマが3つ決まっていて、そのテーマを1行ずつ書いて計3行にしていけばOKというスタイルを取っています。

 

●「おてんとうさま3行日記」をつける手順
1行目:今日一番「おてんとうさまに恥ずかしい」と思った行動を書く
2行目:今日一番「おてんとうさまに胸を張れる」と思った行動を書く
3行目:明日の目標を書く

 

人生に奇跡が起きようと起きまいと、私たちが行くべき道は「日々を精いっぱい努力して生きていくこと」以外にありません。
そういう努力や修行を積み重ねていくことこそが、後悔を減らして自分の人生を幸せなものにしていく「一番着実で間違いのない道」なのです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2144-1】毎日どこか1カ所を片づけることを習慣にする

【2144-2】朝起きたら、十分に日の光を浴びることを習慣にする

【2144-3】「おてんとうさま3行日記」を習慣にする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい
【著者名】小林弘幸
出版社草思社
【出版日】2024/11/12
オススメ度★★★★☆
こんな時に心の平穏や導きがほしいときに
キーワード健康法メンタル習慣術
【頁 数】244ページ
【目 次】
1 自律神経は「よい行動」で整えられる
2 自分を律して「よい行い」をしていると、「運」が寄ってくる
3 他人や周囲に振り回されずに済む「人とのつき合い方」
4 「おてんとうさま3行日記」で1日1日、自分を整える

 

▼さっそくこの本を読む

心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい
小林弘幸 草思社 2024-11-12
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小林弘幸さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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