【なぜ人はお金を増やすのか考えたことがあるか】
作家・森博嗣氏が、『お金の減らし方』と題して、なぜ人々は殊更に「お金を増やしたい」と躍起になるのだろうかという疑問から始まる、お金の価値観について語る一冊。
■書籍の紹介文
「やりたくてもお金がない」。
この言葉、あなたはどういう意味だとおもいますか?
本書は、「どうしてわたし達はお金を増やそうとするのだろうか?」という疑問からはじまる、ほとんどの人が分かっているようでいない、”お金の価値観”について語る一冊。
「どういう意味って、そのままの意味でしょ」とおもいましたか?
もしそう思ったのなら、その深く考えようとしない”思考停止”こそ大きな問題である、という著者の鋭い指摘から話は始まります。
現実問題、ほとんどの人は生きていくのにお金が必要です。
そのために、必要なお金を労働などによって”稼いで”います。
稼ぐことで生活はできます。
ならば、お金を”増やす”必要性はどこにあるのだろうか。
「お金はたくさんあったほうがいいから増やしたい」。
疑問を挟むこと自体が理解できない、この”あたりまえ”の価値観はどこから来ているのか。
このことをよく考えて、自分なりの「お金の価値観」を定めたほうが、人生をより楽しめるとおもう。
少なくても、定まっていないうちに「お金を増やしたい」と叫ぶのは意味がないのではないか。
著者のこうした語りに浸るうちに、否応なく「お金の価値観」について考えさせられます。
なんのためにお金を増やしたいのか、そもそも生活に必要なお金ってなんだ、など思考の範囲がどんどんと広がっていく感覚が刺激的です。
価値観の話ですので、こうすべき!こうしよう!というゴールはありません。
著者の価値観に触れて自分の価値観をどう定めていくのか、ただ淡々と自己対話するための本です。
著者の揺るがない「お金の価値観」は次のとおり。
『欲しいものを買う、必要なものを買わない』。
あなたの「お金の価値観」はどうでしょうか。
じっくり向き合い、自分ととことん問答してみてください。
◆触れておくべき価値観がここに。
(新版)お金の減らし方
森博嗣 SBクリエイティブ 2024-6-7
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■【要約】15個の抜粋ポイント
お金が成立するのは、社会で大勢の人間が分業し、お互いの生産物を交換するような場が保証されているからだ。
お金というのは、自分の未来の可能性を考えるツールの一つだ、と捉えるのが、最も近いように僕は思っている。
僕が大前提としたのは、やはり、「どれくらい必要か」は問題ではなく、大事なことは「どれくらい欲しいか」なのだ、という理屈である。
必要なものの多くは、実は絶対に必要というわけではない。
なにしろ、それを買う今現在、それがなくても過ごせているからだ。
一方、欲しいものは、それ自体でかなり説得力を持つ。
どれくらい欲しいかが説明できれば、相手を説き伏せることができるだろう。
自分に投資することが、最も期待値が高い。
自分の価値を高めることが、その後のすべての価値を増幅するからだ。
あなたのお金で買うものは、あなたの未来なのである。
●お金を増やす方法
第一の方法:自分の時間とエネルギーを差し出して、その対価をもらう
第二の方法:自分の持ちものを売る
第三の方法:投資
第四の方法:ギャンブル
お金の増やし方として、さきほど挙げたどの方法よりも有効なのは、実は自分自身の仕事能力を高めることであり、もっと簡単な言葉でいえば、「勉強」である。
お金を増やすことにエネルギーと時間を消費すれば、自ずとお金を減らすことができなくなるはずだ。
これは、増やす方向の援助になる。
自分はやりたいことができない、という不満を持っている方は、おそらく、自分以外のものに支配されているのだろう。
「お金がないからできない」というのは、「お金でできることだ」と誤解しているから出る言葉であることに気づいてもらいたい。
本当は、お金では得られないものが沢山ある。
それは知識であったり、時間であったり、それぞれが楽しみながら築き上げた履歴がある。
そういうものを、すべてひっくるめて、「いくらで買えるの?」と尋ねるのが、既に大変失礼なことなのである。
お金持ちに共通する傾向として、勤勉で真面目だということがある。
これも、自分の楽しみに関連していることだから、積極的になってしまうのだろう。
人に任せておけない。
できることなら全部を自分でやりたい。
それを実践していると、細かい点にも気づきがある。
それがまた、仕事に活きる、という具合に回るようである。
お金というのは、時間、労力(能力)などと交換できる。
自分の得意な分野で稼ぐことで、自分が欲しいものを結果的に得ることができる。
そこをよく理解して、人より自分はどんな点で優れているのか、と考えるくらいのことはしてみても良いだろう。
お金があれば、欲しいものが買える、というのは、平和な社会だからこそ、といえるのではないか。
他者を羨ましく思う気持ちは、とても大事だと思う。
どうしてかというと、自分が欲しいもの、自分がしたいことを教えてくれるからである。
価値があるものを知ることは、価値を手に入れるための第一歩であり、重要な目標をもらったことに等しい。
だから、素直に憧れること、羨ましがることが、人を成長させる原動力となる。
とりあえず、常に好奇心を持って、自分が欲しいものを探すことである。
これまでの人生で何が楽しかったか、と思い出してほしい。
どこかで、自分は目を輝かせた時間があったのではないだろうか。
そのときの気持ちをもう一度取り戻して、少しずつでも、できることを探して、試してみよう。
■【実践】3個の行動ポイント
【2120-1】「お金があったら」と諦めた・遠ざけたことを思いつくままに書き出してみる
【2120-2】【2120-1】で書き出したものの中から、今でも好奇心を抱くものをリスト化する
【2120-3】【2120-2】のリストをもとに、好奇心を満たすために今できることを探す
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】(新版)お金の減らし方
【著者名】森博嗣
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2024/6/7
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】お金と賢く付き合いたいときに
【キーワード】お金、マインド、考える
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 お金とは何か?
第2章 お金を何に使うのか?
第3章 お金を増やす方法
第4章 お金がないからできない?
第5章 欲しいものを買うために
第6章 欲しいものを知るために
▼さっそくこの本を読む
(新版)お金の減らし方
森博嗣 SBクリエイティブ 2024-6-7
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森博嗣さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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