【時代に合わせて学び直すスキルを磨く】
一般社団法人ノンプログラマー協会代表理事・高橋宣成氏が、『デジタルリスキリング入門』と題して、不確実な時代を生き抜く武器となる、リスキリングの獲得戦略を指南する一冊。
■書籍の紹介文
最近よく耳にする「リスキリング」。
あなたはどんなイメージをお持ちですか?
本書は、リスキリングを理解するために必要な知識や原則を説きながら、不確実性の時代を生き抜く武器となる、リスキリングの獲得戦略を指南する一冊。
リスキリング=スキルの学び直し。
このように理解している人が多いとおもいます。
決して間違いではありませんが、十分でもありません。
『リスキリング=時代の変化に適応する力』と理解したほうが、リスキリングの本質により近くなります。
つまり、自分の「働く(仕事)」に価値がある状態をつくり出し、それを維持する力をもつことが目的。
その力に必要な要素として、仕事スキルのアップデート(スキルの学び直し)をし続ける術を身につけよということです。
とはいえ、必要性を頭で理解はできても、どう進めればいいか分からないというのが本音。
ましてや、目の前に”今の”仕事があり、”今の”生活がある状態ですから、時間の問題もあります。
気持ちだけで闇雲に取り組んでも、挫折は火を見るより明らかです。
そこで用意されたのが本書です。
リスキリングの力を身につけるために必要な知識と戦略、行動するうえでの原則がまとめられています。
そして、学び直しの対象として、デジタルスキルのアップデートを推奨していきます。
時代は刻々と変化しています。
変化に合わせて、求められる仕事やスキルも刻々と変化していきます。
この変化に自分を合わせていかないと、時代に取り残される=仕事がなくなる運命が待っています。
言い換えれば、リスキリングの力をはやく身につければ身につけるほど、働き方に余裕が生まれることになります。
考えるべきことや準備すべきこと、戦略の立て方や行動の手順など、必要なことが一冊に凝縮されています。
一つひとつ消化していくことで、自分にとってのリスキリング力が身につく構成になっています。
何をアップデートすべきか判断できるのは自分だけ、自分を守れるのも自分だけです。
この機会に、一生モノのスキルとしてリスキリングの力を獲得しましょう!
最後に、本書を読むうえで留意しておいてほしいと感じる点がひとつ。
一般的な文章の構成として、『●●は〜である』と主張し、その論拠を説明、最後に『ゆえに、●●は〜であるのだ』と締める展開はよくあるとおもいます。
ただ本書においては、その『』と『』の意味が微妙にズレているように感じてしまう頻度が高い印象を受けました。
したがって、都度、「結局どっちなの?」と『』の間を行き来しながら読み手側が整理しなければなりません。
内容や着眼点がおもしろいだけに、この負担感を強く感じる点がとてももったいなく感じます。
本選びの参考情報として、付記させていただきます。
◆現実的かつ効果的な自己防衛術。
デジタルリスキリング入門
高橋宣成 技術評論社 2023-7-20
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す
■【要約】15個の抜粋ポイント
リスキリングとは「市場ニーズに適合するため、保有している専門性に、新しい取り組みにも順応できるスキルを意図的に獲得し、自身の専門性を太く、変化に対応できるようにする取り組み」のことです。
「リスキリング力」を以下のように定義します。
「働くことで心理的成功を収められる状態をつくること、またそれを維持するために、スキルをアップデートし続ける力」
リスキングにおいて、プログラミングスキルは注目のスキルです。
実務でも活用できるシーンが多く、すぐにスキルをいかすことができます。
また、IT人材は慢性的に不足していますから、転職などキャリア面で有利というのがその人気の理由です。
リスキリングの戦略は、以下2つの組み合わせで構成されています。
◎思考・行動の型
◎原則
人の活動は、以下のような手順が、ぐるぐると繰り返されているものと考えられます。
①思考する
②行動する
③環境へのアウトプット
④環境からのインプット
リスキリングの目的と、リスキリングに関連するリソースを明らかにしていけば、理想のリスキリングの戦略がどういったものかを導き出すことができそうです。
●リスキリングにおいて重要な3つのリソース
◎時間
◎モチベーション
◎お金
一連のループを高速で回すための思考・行動の型がOODAループです。
人生に与えられた時間は限られています。
その中で、世の中の変化のスピードに負けないよう、むしろそれに勝るスピードで観察、情勢判断、意思決定、行動を重ねることは、まぎれもなく「働く」の中での心理的成功をもたらすものでしょう。
『目標と計画』というシステムがうまく稼働しているかどうか、よく観察し、情勢判断する必要があります。
それは、別途用意している、『習慣』や『決定木』というシステムにも当てはまります。
これら3つのシステムは、限られたリソースの中で、あなたの意思決定と行動の手数を劇的に増やす効果があります。
●学習効果を高める5つの原則ポイント
(1)関連づける
(2)反復する
(3)適度な負荷
(4)アウトプット
(5)他者関与
リスキリングをはじめようとすると、何のスキルを身につけるかという「What」の問いからスタートしがちですが、それはおすすめしません。
スキルを身につけるのは、目標にはなりえますが、目的にはなりえません。
おすすめしたいのは「Why」の問いからスタートをすること、つまり課題を見つけるということです。
●スキルを身につける4つのフェイズ
1:環境を整える
2:時間を確保する
3:目標と計画を立てる
4:学習と実践を習慣化する
●スキルを選ぶ際に考えるべき4つのポイント
(1)やりたいことが実現できるか
(2)職場環境で使用可能か
(3)学習時間はどれほどか
(4)効果は大きいか
●プログラミング上達のための8つの約束
(1)実務で使う
(2)習慣化する
(3)構文どおりに書く
(4)調べて、頼る
(5)打ってはいけない
(6)構造化データを使う
(7)読みやすいコードを書く
(8)アウトプット
人がやるべき仕事と、テクノロジーに任せるべき仕事は、どのように見極めればよいのでしょうか。
(略)
すぐに答えは出てこないことも多いかもしれません。
しかし、こういった問いに向き合っていくことこそが、「人がやるべき仕事は何か」をより浮き彫りにしていくのではないかと僕は思います。
そして、その浮き彫りになった人がやるべき仕事に、自分のリソースを集中させていき、それ以外の部分はテクノロジーを活用していく、それが「『働く』の価値を上げる」ことにつながるのではないかと思います。
■【実践】3個の行動ポイント
【2041-1】仕事・キャリア設計における課題を書き出す
【2041-2】書き出した課題が、どう解決すれば、心理的成功を収められる状態になるか考える
【2041-3】【1】【2】をもとに、リスキリングの目標と計画を作成する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】デジタルリスキリング入門
【著者名】高橋宣成 ・ 著者情報
【出版社】技術評論社
【出版日】2023/7/20
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】学ぶ力を身につけたいときに
【キーワード】教養、勉強法、キャリアアップ
【頁 数】392ページ
【目 次】
Chapter0 リスキリングの先にあるものとは
Chapter1 リスキリングのための知識と準備
Chapter2 リスキリングの戦略
Chapter3 リスキリングの原則
Chapter4 時間を生み出す
Chapter5 デジタルスキルの習得
▼さっそくこの本を読む
デジタルリスキリング入門
高橋宣成 技術評論社 2023-7-20
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す
高橋宣成さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。