【書評:1298冊目】なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか(田口佳史)

【文明の大転換期を生き残れ!】
東洋思想研究者・田口佳史氏が、世界は文明の大転換期にあると指摘し、7つのパラダイムシフトをとおして、なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのかを考察する一冊。

■この本の紹介文

社会のココが変わってきた。
あなたが感じている変化はどんなことですか?

 

本書は、世界のビジネスリーダーがこぞって東洋思想を学ぶ背景には、『7つのパラダイムシフト』があると指摘し、この大転換期をどう生き残っていくかを考察する一冊。

 

・故スティーブ・ジョブズの「禅」へ傾倒
・Googleが導入しているマインドフルネス
いま、世界をリードしてきたトップランナー達が東洋の思想・教えをこぞって取り入れています。

 

その背景には、近代世界を支えてきた西洋思想に基づくさまざまなシステムが機能不全に陥っている現状があると著者は指摘します。
その答えを、西洋思想の対極にある東洋思想に求めようとしているのです。

 

こうした流れを示しながらも、そもそも世界全体がもっと大きなうねりの中にあると著者は考察しています。
それが、200〜300年おきに起こる”文明の大転換期”です。

 

文字通り、今までの思想・手法・価値観が意味をなさなくなる大転換です。
この「今までの」を担っていたのが、近代西洋思想です。

 

その上で、大転換期を生き残っていくには「西洋と東洋の知の融合」だというのが著者の主張です。
そのために、東洋思想をきちんと自分の中に取り込んでおくべきだと提起します。

 

結果主義からプロセス主義など「7つのパラダイムシフト」について、「老子」「論語」「禅」の一文を引用しながら、「自分の中に取り込んでおくべき」と主張する東洋思想がもつパワーを示していきます。

 

「懸命にがんばったのに、満足いく評価がない」
これを、大転換期に歪みの1つだということがわかります。

 

もし、それ私のことだよ!と思ったのなら。
いま、あなたが読んでおくべき一冊なのかもしれません。

 

◆西洋から東洋への大回帰。

■本がわかる!15の要約ポイント

結論から言ってしまうと、今という時代は「経済における転換」と「文明の転換」が同時に起こっている「大転換期」です。

 

人間を機械的に評価し、すべてを数字で割り切っていく。
そんなパラダイムに歪みが生じてきた現代において、次に人々が求めたのは「もっと人間的に」「もっと楽しく」という思想でした。
言い換えるなら、人間としての「命を喜ばす」という価値観です。

 

もちろん「これが正解だ」という確固たる基準があるわけではなく、私たちは、文明の大転換期を生きるなかで、これまでとは異なる思想を自らにインストールして、新しい価値基準を作り直さなければならないのです。
これこそ「近代西洋思想偏重」から「西洋と東洋の知の融合」が求められているという実態です。
こうした状況を目の当たりにし、日々痛感しているからこそ、思想・思考の源泉を求めて、今、世界中のトップリーダーたちがこぞって東洋思想を学ぶのです。

 

今の世の中では「がんばったほどの豊かさ」を感じられるのは、ごく限られた人であり、多くの人が「がんばりに対するリターン」に満足していません。
この不納得感によって、時代の中心にあった「がんばれば、結果が出る」「結果がよければ、すべてよし」というパラダイムが揺らいでしまったのです。

 

西洋の庭園が「完成したものを眺める」という結果主義に近い思想に根づいているのに対し、日本の庭園が「プロセスを楽しむ」という思想を持っている点は非常に興味深い対比

 

ワクワク、楽しく仕事をするなら、やはり「人間的な魅力に溢れた人」「一緒に楽しさを共有できる人」と一緒に働きたいと思うはずです。
これもまた「技術・能力偏重」から「人間性重視」へと変わってきている、シンプルな構造の一つです。

 

こんな時代にあって、私たちが持つべき精神とは何か。
身につけるべき人間性とは何か。
そういったものを求めて、多くのトップリーダーたちが東洋思想を学ぼうとしています。
事実、東洋思想、東洋の古典の中には「人間とはどうあるべきか」「持つべき徳とは何なのか」という教えが豊富に揃っています。

 

そもそも「データ分析」「マーケティング」「ニーズの分析」というのは、すべて「過去を分析して、未来を予測する」という手法。
(略)
しかし、転換期とは「過去とはまったく異なる未来」が訪れる時代。
急激なカーブを曲がっているときに、過去のデータを分析して「曲がり角の先」を精微に予測することなどそもそも不可能です。
そんな世の中にあって、相対的に重要度が増しているのが「見えない世界」であり「直感」なのです。

 

言葉で表現できることには限界がある。
目に見えるものがすべてではない。

 

自分の内側を徹底的に見つめ、自分自身に目覚める。
これが仏教でもっとも大切にしている考え方です。
欧米的な「外側からの教えに従う」という発想とは、そもそものスタート地点が違うのです。

 

周りからの目ではなく、自分がどう思うか。
時代はあきらかに「客観から主観へ」と重心が動いてきているのです。

 

今やそんな「選択と集中」だけでは勝負できない時代に突入しています。
より包括的なアプローチによって「新しい価値を生む出すこと」。
選択をせず、双方を成り立たせるようなイノベーションを起こすこと。
そんな発想が求められるようになっているのです。

 

今、世の中は変化の時代です。
陰陽論には「陰極めれば陽となる、陽極めれば陰となる」という言葉がありますが、この世の中、一つの側面が永遠に続くことなどあり得ません。
(略)
そういう意味でも「直線的なキャリア」より「らせん型キャリア」がより求められる時代になってきているのです。

 

もはや現代は「情報や技術、リソース」を囲い込むより、共有する方が有利な時代になっているのです。
この「自他非分離」の動きは大きなパラダイムシフトの一つに挙げられるでしょう。

 

仏教思想のみならず、もともと日本には「三方よし」という考え方があります。
近江商人による「商売の極意」を表したものですが、よく知られる「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」というものです。
これも一つの「自他非分離」の思想です。
(略)
商売をやるからには「自分」と「相手」はもちろん、世間様も一緒によくなって行かなければならない。
こうした社会を意識したビジネスマインドは、今やひと回りして、非常に現代的な感覚となっています。

 

■これをやろう!3つの実践ポイント

【1298-1】「老子」本を読む

【1298-2】「論語」本を読む

【1298-3】「禅」本を読む

 

■ひと言まとめ

自分の内側にあるものを大切に生きる。

 

■本日紹介した書籍情報

【書籍名】なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか
【著者名】田口佳史
出版社文響社
【出版日】2018/9/28
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード哲学社会思考
【頁 数】224ページ
【目 次】
序章 新しい時代を読み解くための『前提』を理解する
本章 今、世界で起こっている「七つのパラダイムシフト」
第1章 『機械的数字論』から『人間的生命論』へ
第2章 『結果主義』から『プロセス主義』へ
第3章 『技術・能力偏重』から『人間性重視』へ
第4章 『見える世界、データ主義』から『見えない世界、直感主義』へ
第5章 『外側志向』から『内側志向』へ
第6章 『細分化・専門家型アプローチ』から『包括的アプローチ』へ
第7章 『自他分離・主客分離』から『自他非分離・主客非分離』へ

 

この本が、あなたを変える!

 

田口佳史さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

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