【アートで学ぶ”正解なき時代”の生き方】
京都造形芸術大学・岡崎大輔氏が、アート作品を鑑賞することが仕事や人生の充実に繋がると提起し、自分の能力を引き出す美術鑑賞法を伝授する一冊。人間力は美術館で磨け!
ゆっくりと美術館をめぐる。
最後にその時間をとったのは、いつですか?
本書は、アート作品を鑑賞することで培われる力は、すなわち、正解なき時代を生きるために必要な人間力そのものだと提起し、アート作品の学び方を伝授する一冊。
正解なき時代を生きるために必要な人間力。
それは、『明確な答えが出ない状態に耐えながら、それでも考え続ける力』だと、著者は述べています。
「答えが出ない問題は、問題として間違っている!」とムキになって反論する人。
じっくり考えることができずにすぐに飽きてしまう我慢のできない人。
ニュースだったり私自身の目撃だったり、こうした場面が、教育現場から職場まで、日本中のいたるところで発生しています。
これこそ、『明確な答えが出ない状態に耐えながら、それでも考え続ける力』がきちんと養えていない証拠だな。
この本を読みながら、そう思いました。
エリートだから、美術館に行くのではありません。
美術館で『明確な答えが出ない状態に耐えながら、それでも考え続ける力』を養った人が、結果的にエリートになる確率が高いというのが、この本のタイトルの正しい捉え方だと思います。
アメリカでは、美術館で『明確な答えが出ない状態に耐えながら、それでも考え続ける力』を養うことが、美術鑑賞メソッドとして確立されています。
それが本書のベースとなる、「ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ(Visual Thinking Strategies:VTS)」です。
この鑑賞メソッドにしたがって、アート作品をみることで、考え続ける力は養えます。
すなわち、正解なき時代を生き抜いていく人間力が引き出されるのです。
この本では、VTSをあなたが実践するために必要なことがコンパクトにまとまっています。
あとは、ゆっくりと美術館をめぐるだけです。
アート作品が引き出す人間力。
ぜひ、目一杯引き出してもらいましょう!
◆アートを人生にとりいれる生き方。
VTSを実践することで、美術への造詣を深められるだけでなく、複合的な能力を伸ばす効果もあることが、米国の教育現場で実証されています。
複合的な能力とは、具体的にいえば、観察力、批判的思考力、言語能力などです。
●アートとアート作品の違い
アート作品:アーティストが制作した作品。基本的に、モノ。
アート:アート作品と鑑賞者の間に起こる不思議な”コミュニケーション”。モノではなく、コト。
対話型鑑賞では、まずは「アート作品そのもの」にスポットを当てて鑑賞しよう、と提唱しているのです。
アート作品の鑑賞で大切なのは、「目の前の作品をしっかり見る」ということです。
私たちが何かを「見ているとき」、それは別の可能性を「見ていない」ということも意味します。
「アート作品をしっかりと見る」ためには、「解釈」と、その根拠となった「事実」を結び付けることが重要になります。
「事実」に基づいて「解釈」を導き出し、作品の中に含まれている要素を取り出していくことを「ディスクリプション(記述)」といいます。
鑑賞を深めていく足がかりとして、まずはディスクリプションによって、できる限り作品から要素を取り出すことが重要です。
●VTSで用いられる3つの質問
(質問1)この作品の中で、どんな出来事が起きているでしょうか?
(質問2)作品のどこからそう思いましたか?
(質問3)もっと発見はありますか?
●鑑賞が深まる4つのプロセス
【みる】→【考える】→【話す】→【聴く】のサイクルを繰り返す
●アート作品を鑑賞するときの8つの視点
【初級編】
(1)直感を言葉にする
(2)区切って見る(対比する)
(3)要素を組み合わせる
【中級編】
(1)「立場」を変えてみる
(2)連想する
(3)抽象化する
【上級編】
(1)喩える(置き換える)
(2)「自分のモノの見方」を疑う
ひとりで美術鑑賞をするなら、「自分の頭の中で、もうひとりの自分と会話をするように鑑賞を進めてみる」のも1つの方法です。
アート作品を鑑賞することは、正解がない問いに主体的に取り組み、自分なりに答えを導き出すという行為でもあります。
アート作品には、嬉しそうに見えながら悲しそうにも見える、温かそうに見えながら冷たそうにも見えるなど、相反する要素が同居しています。
また、1つの事実に対して、解釈も複数成り立ちます。
どんな事実を取り出すか、その事実をどう解釈するかによって、物事の捉え方は変化するのです。
そう気付くことができれば、1つの考えに固執することはなくなります。
正解がない問いに主体的に取り組む姿勢と意欲、詳細な観察力と論理的・体系的な思考力。
こうした力が身に付くと、自分自身の日常を振り返り、そこからも様々な気付きを取り出して学ぶ力、すなわちセルフエデュケーション力が高まります。
アートを通して得られるのは、限られた場の学びだけではなく、日常のあらゆる場面から新たな学びを生み出す方法、つまり、学び方なのです。
【1293-1】最寄りもしくは気になる美術館を調べて、鑑賞しに行く
【1293-2】興味の惹かれた作品を、しっかりと見る
【1293-3】作品を見て浮かんだことを書き留め、事実と解釈に分ける
アート作品を嗜む力が、生きる力につながる。
【書籍名】なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?
【著者名】岡崎大輔 ・ 著者情報
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2018/9/20
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】教養、勉強法、思考
【頁 数】224ページ
【目 次】
序章 なぜ、美術鑑賞が仕事に役立つのか?
第1章「作品の情報」に頼らずに鑑賞する
第2章 じつは、私たちは「アート作品」を見ているようで見ていない?
第3章「アート作品」は「事実」と「解釈」を分けて鑑賞する
第4章「3つの問い」と「4つのプロセス」で鑑賞を深める
第5章【実践編】アート作品を鑑賞するときの8つの視点
終章 なぜ、新しい時代に「アート」が重要なのか?
この本が、あなたを変える!
岡崎大輔さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/
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コメント
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2018年 11月 14日
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2018年 12月 04日
映画監督をやっているのですが、この思考がとても大事であるなと思っております!
映画監督として撮影した動画が「OK」かそうでないかを判断するのですが、撮影したカットがなぜ「OK」かそうでないかを説明できない監督と監督としての信頼を失ってしまうのでそうならないためにこれからもアート思考を磨こうと思います!
勉強になりました!シェアさせていただきます!