【否定しない=甘やかす、ではない!】
人財育成コンサルタント・吉田幸弘氏が、『結局、否定しない人ほどうまくいく』と題して、信頼関係のコツは「否定しないこと」だと提起し、「相手を否定しない」伝え方を伝授する一冊。
■書籍の紹介文
相手を否定しないこと。
あなたは・・・できていますか?
本書は、相手や部下との信頼関係構築のコツは「褒める」よりも「否定しない」ことだと提起し、3万人を超す指導経験の末にたどり着いた、「相手を否定しない」伝え方を伝授する一冊。
わたしは相手を否定などしないよ。
部下の話もよく聞くようにしているし、自分は問題なく実践できているな。
あなたは今、そう思っているかもしれません。
でも、本当に安心していて大丈夫でしょうか?
仮に、部下の話をよく聞いているとしましょう。
では、聞いた話のうち、どれくらい内容や心情を汲み取って会話や指示をしていますか?
話を聞いたとしても、伝える内容が100%あなたの考えや思っていること”だけ”だとしたら・・・。
部下は「勇気を出して伝えたのに、結局聞いちゃくれない(全否定かよ)」と捉えているかもしれません。
無論、仕事における上司からの指示に部下は従わないといけません。
ですが、部下はロボットではなく人間です。
”面従腹背”の状態では、あなたはリーダー失格です。
きちんとした信頼関係を構築しなければ、期待する成果も生産性向上も望めません。
現在、部下やチームの働きに少しでも思うところがあるのなら・・・。
それは、部下の問題ではなくリーダーである、あなたの側に問題がある可能性が高い。
そう注意喚起をしながら、真に信頼関係で結ばれたリーダーシップを提唱するのが本書です。
その構築の鍵となる「相手を否定しないこと」をキーワードに、簡潔かつ実践的なリーダーシップスキルが学べるように構成されています。
人間同士の信頼構築ですから、悩みが尽きることはありません。
だからといって、リーダーのあなたが改善する努力を放棄することは許されません。
文庫本のため、気軽に持ち運びができます。
あなたの努力を支える相棒として、カバンの中に忍ばせて活用してみてください。
個人的感想ですが、すでにある程度の期間、リーダー職にある方は第4章から読むのもオススメです。
第4章には、「否定しない伝え方」に関する実例集が収録されています。
そのため、「こういう場面今日もあった!」「こういう部下に悩んでいる」と学習動機を喚起しやすいでしょう。
目の止まったところから関連する項目を学習→実践することで、効率的に習得できるとおもいます。
ただ、著者もくり返し述べていますが「部下は部下ではある前にひとりの人間」ということをお忘れなく。
あなた都合でいきなりやり方を変えたら、それこそ部下は警戒し不安を募らせるだけです。
反応を見ながら少しずつ実践を重ねたり、思いきって本書を読んでいることを伝えるのも良いかもしれませんね。
あくまで相手(部下)あってのリーダーシップであることを肝に銘じましょう。
否定しないとは、決して、部下を甘やかすことではありません。
抵抗感を感じるリーダーほど、効く一冊だと感じます。
◆否定しない=負け、ではない!
結局、否定しない人ほどうまくいく
吉田幸弘 永岡書店 2024-9-10
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■【要約】15個の抜粋ポイント
心理的安全性の提唱者である組織行動学者、エイミー・C・エドモンドソンは、組織やチームの心理的安全性を高めるには、次の4つを取り除くことが重要だと指摘しています。
(1)無知と思われる不安
(2)無能と思われる不安
(3)ネガティブだと思われる不安
(4)邪魔していると思われる不安
人は「やればできる」「大切にされている」「信頼できるリーダーがいる」という感覚さえあれば、自然と動き出す。
白か黒かをはっきりさせるのではなく、「相手の意見も正しい。自分の意見も正しい」と考えて、お互いに歩み寄っていけばいいのです。
言葉を選ぶときに「できていない」などと過去に目を向けて頭から否定するのではなく、「こうすれば」と未来に目を向けるのです。
「○○さん、おはよう」「〇〇さん、お疲れさま」などと名前を呼んできちんと挨拶をし続けるだけで、相手は存在承認の欲求が満たされます。
するとコミュニケーションが取りやすくなり、相手のモチベーションも上がります。
「なぜ?(Why)」と言われると「人」に焦点を当てているので責められているように感じるのに対し、「何?(What)」ならば「できごと・モノ」に焦点を当てているので、自分と切り離して冷静に考えられるのです。
伝えるときは「〜です」「〜してほしいです」と、はっきりとした語尾で伝えるように心がけましょう。
リーダーは自分で思っている以上に部下に対して「圧」を感じさせています。
誰かに仕事を頼むのであれば、少なくとも、
①仕事の内容(What)
②なぜその仕事をするのか(Why)
③進め方・手段(How)
の3つの情報は必要です。
部下はいつでも同じ反応をするロボットではなく、人間です。
こちらの接し方次第で、リアクションもその後のパフォーマンスも変わってきます。
リーダーは部下に対して「質問や相談をしても評価を下げない」ということをしっかりと伝えましょう。
そのうえで、「何でも聞いて」ではなく、「○○についてなら答えるよ」などと範囲を限定することで、相手は「○○については相談していいんだ」と安心感を抱き、相談しやすくなります。
さらに「それ以外は自分で調べてみて、それでもわからなかったら質問に来て」などとつけ加えることで、リーダー自身の負担も減らせるでしょう。
部下などに指摘やアドバイス、注意などをする際は、相手に伝える前に一度立ち止まって「自分がこの言葉を言われたら、どう感じるだろう?」と、イメージトレーニングすることをお勧めします。
●ミスを繰り返させないための3つのステップ
STEP1:事実(現状)を確認
STEP2:「なぜ」ではなく「何」と聞く
STEP3:行動改善をうながす
ミスを報告してきたのは、「問題を起こしたダメな部下」ではなく、「問題が起きて困っている部下」であり、「言いづらいことを、勇気を出して報告してくれている部下」だと思うようにしましょう。
頑なに拒否する部下やメンバーに対しては、「どの部分ならできる?」「1つだけ受け入れられるとしたら?」などと家庭の質問をすると、相手も「この部分は仕方がないか」と譲歩しやすくなります。
■【実践】3個の行動ポイント
【2141-1】伝えるとき、その伝え方を自分がされたらどんな気持ちになるかを想像してから伝える
【2141-2】原因を追求する際、「なぜ?(WHY)」ではなく「なに?(WHAT)」にフォーカスする
【2141-3】相手の反応は、自分の伝え方の”鏡”だという意識を持つ
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】結局、否定しない人ほどうまくいく
【著者名】吉田幸弘 ・ 著者情報
【出版社】永岡書店
【出版日】2024/9/10
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】明日のリーダー力を磨きたいときに
【キーワード】リーダー、人間関係、指導力
【頁 数】256ページ
【目 次】
第1章 あなたは「否定モード」になっていませんか?
第2章 否定しないコツは「承認」と「感情のコントロール」
第3章 「否定しない」人のメンタル&コミュニケーション術
第4章 信頼関係を深める「否定しない伝え方」実例集
巻末付録 コンフリクトマネジメントとは?
▼さっそくこの本を読む
結局、否定しない人ほどうまくいく
吉田幸弘 永岡書店 2024-9-10
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吉田幸弘さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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