【書評:2129冊目】その敬語、盛りすぎです!(前田めぐる)

【盛り過ぎの原因は、そこに心がないから?】
コピーライター・前田めぐる氏が、『その敬語、盛りすぎです!』と題して、貴方を「盛りすぎ敬語」の沼へと誘いながら、沼にハマらないための心地よい敬語表現を提案する一冊。

■書籍の紹介文

「な、なんて?」
おもわず、そうツッコんでしまう言葉遣いに遭遇した経験はありませんか。

 

本書は、「空気を読む」という社会的風潮が、過剰なまでに”装飾”された「盛りすぎ敬語」を大量生産していると提起し、基本に立ち返った心地よい敬語表現を提案する一冊。

 

「お客様の方が、豚肉になります」。
「そして、お客様のお連れのお客様の方が、煮込みになります」。

 

本のタイトルをみて、以前、知人と食事をした際の強烈な記憶が蘇りました(笑)。
注文した”豚の生姜焼き定食”と”モツ煮定食”を、店員が運んできたときの言葉です。

 

「俺、これから豚肉にされるのか」「私は煮込まれるらしいよ」と大爆笑したのを覚えています。
そうしたら、本書もこれと似たようなエピソードから生まれた本なのだと書かれていて、おもわずニンマリしてしまいました。

 

いうまでもなく、わたし達の日本語は豊かでとても複雑な言語です。
言葉の数、表現の仕方、作法・用法、ルール、すべてが膨大な数にのぼります。

 

さらに、「正しいけれども絶対ではない(例外もある)」という”曖昧”さの蟻地獄も無数に備えています・・・。
そうした状況の中、相手や状況に合わせた言葉遣いを求められるのですから、日本語は本当に大変です。

 

だからこそ、どれだけ「心がある」言葉選びができるかが大切だと著者は説きます。
この意識が低く、「指摘されないために」「怒られないために」「言われたとおりにするために」という観点で敬語を使おうとすると、「盛りすぎ敬語」の沼にハマりやすくなると指摘します。

 

なんのために敬語を用いるのか。
なんのために、その表現を選択するのか。

 

「盛りすぎ敬語」の事例に触れながら、一度、原点に立ち返って考えてみてほしいと語りかけます。
堅くなりがちな敬語の世界に対して切り口がうまいなと感じますし、単純に読んでいて面白い内容です。

 

あなたの言葉を受け取るのは、相手です。
相手は、あなたの言葉を聞き、あなたの心を受け取ります。

 

心があれば、言葉(表現)がおかしくても受け取ってくれます。
逆に、心がなければ、どんなにキレイな言葉だったとしても流されてしまいます。

 

ぜひ、このことを「てんこ盛り敬語」の数々に触れながら考えてみてください。
あなたの言葉に、相手の反応が変わるかもしれませんよ。

 

◆楽しく考えられる一冊。

その敬語、盛りすぎです!
前田めぐる 青春出版社 2024-9-4
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「先生がお呼びになっていらっしゃいます」→「先生がお呼びです」
「何かお探しでいらっしゃいますか」→「何かお探しですか」
「いつお発ちでいらっしゃいますか」→「いつお発ちですか」
「今日はもうお帰りでいらっしゃいますか」→「今日はもうお帰りですか」
「部長がお尋ねになっていらっしゃいます」→「部長がお尋ねです」
どの表現も正解ですが、いかにも敬語という感じを出したいときは前段、さりげないながらも敬意をしっかり込めたいときは後段。
相手や場面次第で自在に使いこなせたら、かっこいい。
大人です。

 

やはり心がけたいのは、聞き手目線に立つこと。

 

敬意の度合いで示すなら、「方(尊敬語)ー人(中立)ー者(謙譲語)」の順。

 

・基本的に、慣用句は敬語化しない
・一部に例外もあるため、そのまま使うのが失礼だと感じたら敬語化を試みる
・敬語にしてやはり不自然なら、慣用句以外の語句を敬語にする

 

「おかげ(さま)で・・・しました(いたしました/できました)」を使うことで、感謝を述べつつも媚びない印象になります。

 

「させていただく」は、へりくだりすぎ表現の代表格。

 

敬語の用法で混乱したり、疑問に感じたりしたら、敬語を省いた元の言い方に直してみること。
迷路をぐんぐん進むより、最初に戻るのが近道です。

 

長い文章を正しい敬語かどうか判断する場合、短文に分けて、一文ずつ修正していくと、全体の意味が通るようになります。

 

敬語では、正しい文法であること、場面に合っていることは基本です。
加えて、初めの言葉選びを適切に行うことが肝心です。
もともと不適切な言葉をいくら最上級の敬語に仕立てたところで、敬語はせっかくの役目を果たせません。

 

外出前のチェックよろしく、「お/ご」をちゃんと付けているか、くれぐれも「ご確認ください」。

 

「あがる」に限らず、敬語ではその語句だけで機械的に正誤を決めることはできません。
「誰が・誰に・どんな場面で」が明らかになって初めて判断できるわけです。

 

「伺う」と「まいる」、「申し上げる」と「申す」。
使い方に迷ったら「ふさわしくない人物」を想定してみると区別がつきます。

 

シンプルに言葉を使うほうが思考もクリアになり、議論も尽くせるに違いありません。

 

違和感があれば、流されずに立ち止まること。
そして、「今、ここで使うのは適切か」と考えるのが「よろしい」のでしょうね。

 

答えることは、応えること。
人の数だけ、場面の数だけ、気持ちの数だけ言葉はあるのです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2129-1】かしこまった言葉を使うときほど、表現の確認を怠らない

【2129-2】常に「相手」を意識して言葉を選ぶ

【2129-3】敬語表現に違和感を感じたら、一度シンプルな表現に戻る

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】その敬語、盛りすぎです!
【著者名】前田めぐる著者情報
出版社青春出版社
【出版日】2024/9/4
オススメ度★★★☆☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード教養話し方苦手克服
【頁 数】192ページ
【目 次】
1章 その敬語、盛りすぎです
2章 その敬語、へりくだりすぎです
3章 その敬語、失礼すぎです
4章 その敬語、流されすぎです

 

▼さっそくこの本を読む

その敬語、盛りすぎです!
前田めぐる 青春出版社 2024-9-4
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前田めぐるさん、素敵な一冊をありがとうございました!

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