- 2017-10-2
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- ★☆☆☆☆, グローバル, ジョーン・C・ウィリアムズ, 教養, 教養を伸ばしたいときに, 海外の人気本, 社会, 集英社
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【だからトランプが大統領に選ばれた】
泡沫候補といわれたドナルド・トランプを大統領にしたのは、見てられたと悲観するワーキング・クラスにあったと指摘する一冊。今アメリカを動かすものは一体何かを考察する。
ドナルド・トランプ米国大統領。
あなたは、なぜ彼が大統領になれたと思いますか?
本書は、ドナルド・トランプの大統領就任は、超大国アメリカでもワーキング・クラス(労働者階級)の怒りが爆発した結果であると提起し、今アメリカで起こる地殻変動を考察する一冊。
アメリカでは深刻な階級間の軋轢が、さらに深刻化していることがわかります。
これは、一般的にイメージされる「白人と黒人の人種的争い」ではまったくありません。
エリート層は、労働者階級が理解できない。
労働者階級は、自分たちの税金である補助金を得る貧困層が憎い。
頑張ってエリート層になっても、周りの労働者階級から理解されない。
人種の隔たりではなく、階級的な隔たりの深刻度がひしひしと伝えわる内容です。
そして、一番怒りを溜めているのがホワイト・ワーキング・クラス(白人労働者層)です。
そう、彼らこそがドナルド・トランプを大統領に押し上げたのです。
自分たちの不満を理解し、解決しようと約束してくれた初めての候補だったからです。
労働者の不満が、なぜ今爆発したのか?
白人エリートとも言えるトランプを、なぜ彼らは支持したのか?
アメリカという社会の今を知れる良い機会となる一冊です。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
◆日本にとっても他人事ではない問題。
エリートはよく自分の優秀さを誇りに思い、必死に努力してきたからだと主張する。
だが努力しているのは、ホテルの客室係であっても同じことだ。
それを忘れてはいけない。
富裕層でも貧困層でもないアメリカ人を「ワーキング・クラス」と呼ぶことにした。
過去一世紀以上にわたり貧困層に目を向け、そこに的を絞った社会福祉制度を考案してきた。
(略)
これはつまり、所得レベルをわずかでも上回れば、制度からはじき出されるということだ。
これが階級間の対立の原因になっている。
専門職階級と同じ価値観を持てないからといって貧困層を非難したりはしない。
こうした礼節を、どんな人種のワーキング・クラスにも示す必要がある。
年収が一〇万ドル以上の世帯の寄付額は、可処分所得の四・二%なのに対し、年収が五万〜七万五〇〇〇ドルの世帯の寄付額はそれよりかなり多く、可処分所得の七・六%に及ぶ。
住み慣れた世界から新たな世界へ移ろうとすれば、それぞれの世界に片方ずつ足を突っ込んで居心地が悪くなる場合が多い。
優秀な子供になることがそれほど大切なのか?
誰もが平均以上でなければならないのか?
恵まれた白人は、恵まれない白人に人種差別の責任を転嫁することで、人種問題から距離を置こうとしている。
政治的に見れば、性は、さまざまな社会階級の女性を結びつける要素にはならない。
現在求められているのは、特定の目的ーつまり、需要のなくなってしまった仕事に従事していた者に、新たなスキルを与えるためのターゲットを絞った教育プログラムだ。
現在のアメリカには、ドイツのように肉体労働者が尊敬される文化が存在しない。
アメリカは他の国には見られない独自の発展を遂げ、多くのイノベーションを生み出してきたが、その裏にも政府の支えがあったことを指摘しておくべきだろう。
異なるグループ同士の連携は、ある意味、親戚づき合いのようなものだ。
そこにはまず、「あなたが自分の主張を通すなら、わたしもある程度は勝手にさせてもらいますよ」という取り決めがある。
こうしたコミュニケーションは、人間関係の破綻を防ぐ。
ワーキング・クラスの男性が求めているのは、中間層としてまともな生活を送れるだけの収入を保障してくれる仕事だ。
トランプはここ数十年で初めて、正面からそれを約束してくれた政治家なのだ。
トランプは少なくとも自分たちが何を求めているかをわかってくれる。
その事実だけで多くの有権者が彼を高く評価したのである。
トランプがいかに無鉄砲なボス猿のようにふるまおうとも、それがいつまでもうまくいくはずがないからだ。
しばらくの間はいいかもしれないが、そう長くはもたないだろう。
その間に我々は、白人エリートと労働者の関係の修復を始めよう。
階層間の軋轢が政治で歪めることのないように。
【1063-1】「なんでそれが起きたのか?」という問いを立てる
【1063-2】「なんでそれが起きたのか?」を仮説を立てる
【1063-3】「なんでそれが起きたのか?」を調べる
人間は、今いる場所が常識だと考える生き物。
【書籍名】アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々
【著者名】ジョーン・C・ウィリアムズ
【出版社】集英社
【出版日】2017/8/25
【オススメ度】★☆☆☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】教養、社会、グローバル
【頁 数】240ページ
【目 次】
第1章 なぜ、階級の話をするのか?
第2章 ワーキング・クラスとは、どんな人々なのか?
第3章 なぜ、ワーキング・クラスは貧困層に反感を抱くのか?
他、計14章
この本で、あなたは今後こそ変わる!
ジョーン・C・ウィリアムズさん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/
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