【書評:2199冊目】割に合わないことをやりなさい(小玉歩)

【効率の先に未来はあるのか?】
フロントラインワークス代表・小玉歩氏が、『割に合わないことをやりなさい』と題して、タイパ・コスパといった効率重視の今こそ考えたい、人間にしか生み出せない”価値”を考える一冊。

■書籍の紹介文

「すっごく感動したな〜!!」。
最近、そう心を踊らせる経験をしたのはいつですか?

 

本書は、10数年前に”効率主義”を説いた著者が、効率を追究する”過程”とAIなどの世の中の”変化”の中、これからの時代に必須だと気づいた『人間にしか生み出せない“価値”』を新たに問う一冊。

 

「効率」を重視して「最短距離」で「最大の成果」を出すことこそが「価値」。
この一文、あまりにも使われ過ぎて、もはや誰もなにも感じなくなっているように感じます。

 

確かに、効率を追求することはわたし達に大きなメリットをもたらします。
誰だって、それまで1日かかっていた業務が、わずか1時間で終われる、となったら大喜びですよね。

 

その性能を満たすには10個の部品が必要だったところ、半分の5個で満たせるようになった。
時間もコストも大幅に削減できるし、それを実現した人は社内で称賛されることでしょう。

 

このように、効率がもたらすポジティブな面は無数にあります。
著者もこの点については、一切の異論を持たず肯定しています。

 

しかし、効率”だけ”に固執することは絶対にダメだと強く主張します。
なぜか、効率を追い求めた人間社会は「AI」という道具を生み出してしまったからだと説きます。

 

いまさら言うまでもなく、「効率」「最短距離」は「AI」がもっとも”得意”とするところです。
また、その精度は今この瞬間も加速度的な進歩を続けています。

 

ここに立ち向かったところで、人間に勝ち目はありません。
さらに、目を背けて固執し続けると、周りからもどんどんと取り残されてしまうでしょう。

 

そうならないためには、「効率」「最短距離」はAIに譲り、新たな「何か」を見出して「自分だけの価値」を創造するしかありません。
この「何か」を見出す方法として、著者は『割に合わないことをやりなさい』と語りかけます。

 

このメッセージの真意を、本書を読んで受け取ったとき。
前向きな気持ちで目の前の現実と向き合っていけるようになるでしょう。

 

何を伝えたいのかがとても明確であり、主張や構成にブレがなくまっすぐで清々しい一冊でした。
自分の価値ってと考えてしまったり、不満までいかないけどモヤモヤした日常が続いていたり、そんな方に特にオススメです。

 

◆人間は人間らしく生きよう。

割に合わないことをやりなさい
小玉歩 KADOKAWA 2025-10-2
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■【要約】15個の抜粋ポイント

評価の時間軸が極端に短くなったこの社会では、誰かと比べて速く成果を出すことばかりが重視され、自分の価値判断や時間の使い方さえ、他人の基準に左右されるようになっています。
「このやり方が正解らしい」「これが最短ルートだ」ーーそんな声に急かされるように、私たちはつい、自分自身の足元ではなく、誰かのことばかりを気にしているのではないでしょうか。

 

これからの時代、必要とされるのは「速さ」や「多さ」ではなく、心を動かすものを生み出す力です。
信頼、感動、納得ーー効率では生み出せないけれど、人間にしか生み出せない価値。
それこそが、これからの世界であなたを支え、つながりを生み、意味をつくっていく力になっていく。

 

感情が動く小さな体験は、効率や論理では説明できません。
しかし、それこそが”人間らしさ”であり、”信頼の始まり”です。
だからこそ私は、そうした「割に合わない」行動こそが、人と人の関係を動かし、記憶に残り、信頼を生むーーこれからの時代に欠かせない「人間的な価値」なのではないかと感じています。
本書では、これを「感動資本」と呼び、その意味と可能性について掘り下げていきます。

 

「感動資本」とは、人の心を揺さぶるような経験が、記憶に刻まれ、信頼を生み、評判となって社会に広がり、やがて新たなチャンスを呼び込むーーーそんな人間的な価値の蓄積のことを指します。

 

人間は予測可能であることを好む一方で、予期せぬポジティブな出来事に対しては、非常に強い好意と印象を抱く傾向があります。
「期待通り」は安心感をもたらしますが、「期待以上」は幸福感を高め、その体験を記憶に深く刻む力を持っているのです。

 

脳の成長にとって刺激となるのは、違和感や戸惑い、あるいは思わぬ失敗です。
いわば”ノイズ”のような経験が神経の接続を活性化させ、応用力や発想力を鍛えてくれます。

 

間違いを避ける社会の中で、私たちが決定的に失っているものがあります。
それは、精神的なレジリエンス(回復力)です。

 

失敗が多いということは、それだけ多くの仮説を立てて、検証してきた証です。
何もしなかった人より、はるかに多くの情報を手に入れている。
つまり、成功の輪郭に誰よりも早く近づいているということです。
だからこそ、試行錯誤の多くさそのものが、あなたにとっての”武器”になります。

 

重要なのは、「他と比べて優れているか」よりも、「他とどう違うか」なのです。
この違いがポジションをつくり、結果として希少性を生む。
そして希少性こそが、「この人に頼みたい」「この人でなければ意味がない」という指名買いにつながっていきます。

 

私は常々こう考えています。
たとえ現時点で評価されていなくとも、そこに可能性を見出せるのであれば、時間と労力を惜しまず注ぐべきだ、と。

 

大切なのは、「みんながやっているから」という理由で安易に流されるのではなく、「自分だからこそできること」「自分だからこそ提供できる価値」とは何かを徹底的に考え抜くことです。

 

相手に合わせようと努力する姿勢は、相手に対する敬意や関心の表れとして伝わるものです。
(略)
この「合わせる」という行為は、単なる迎合ではありません。
自分の中にない価値観に触れることは、ふだん使わない思考や感情の”筋肉”を強制的に鍛えることに他なりません。
その負荷こそが、視野を広げ、感情知性(EQ)や対人スキルといった、AI時代にこそ求められる”人間的知性”を飛躍的に向上させるのです。

 

本当に豊かな時間とは、効率では測れない味わいに満ちているものです。
そこには寄り道があり、偶然があり、時に非効率な手間もある。
けれどそうしたものこそが、心を動かし、人生に深みを与えるのです。

 

●AI時代に磨いておきたい4つのスキル
(1)経験と洞察に基づいた「問いを立てる力」
(2)感情と共感を駆使した「共振力」
(3)「創造的破壊」と「編集する知性」
(4)複雑な現実を引き受ける「納得解の構築力」

 

我々人間がこれからの時代に問われるのは、「何ができるか」ではなく、「なぜするのか」「誰とするのか」、そして「どれだけの想いと手間を込められるか」という視点です。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2199-1】「相手の期待を少しだけ超えてみる」という意識で仕事や行動をするよう心がける

【2199-2】あえて相手に合わせる努力を積極的にする(但し、遜ったり迎合したりしないこと)

【2199-3】目的を持たない散歩/街散策を趣味にしてみる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】割に合わないことをやりなさい
【著者名】小玉歩著者情報
出版社KADOKAWA
【出版日】2025/10/2
オススメ度★★★★☆
こんな時に生き方に迷ったときに
キーワード生き方働き方マインド
【頁 数】208ページ
【目 次】
第1章 効率化時代の「次の価値」
第2章 AI時代の最強兵器「感動資本」
第3章 「失敗」と「寄り道」こそがあなたを強くする
第4章 あなただけの価値を生み出す「逆張り思考」
第5章 「ムダ」から生まれる深いつながり
第6章 効率主義の先で人生を「味わう」

 

▼さっそくこの本を読む

割に合わないことをやりなさい
小玉歩 KADOKAWA 2025-10-2
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小玉歩さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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