【書評:2182冊目】駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?(坂口孝則)

【潰れない理由の裏に儲けの極意あり!】
経営コンサルタント・坂口孝則氏が、『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?』と題して、身近にある「なぜか潰れないあの店」を題材に、儲けのカラクリを解説する一冊。

■書籍の紹介文

あの店って潰れずにずっとあるよね。
あなたの身近にそう感じるお店、ありませんか?

 

本書は、町中華や100均、古本屋など30以上の「なぜか潰れないあの店」の事例を題材に、潰れない秘密を紐解きながら、あなたのビジネスにも効く『儲けのカラクリ』を解説する一冊。

 

ハンコ屋、婦人服屋、雑貨屋、食堂。
わたしの散歩圏内にも、「なぜか潰れないあの店」がこれだけあります。

 

どのお店も、どう見ても繁盛している様子もありませんし、活気もありません。
でも、日々淡々と店の電気はついています。

 

「なんで潰れないんだろうか?」と何度となく疑問に思っても、まさか店主に聞くわけにもいきません。
このモヤモヤを解消するのにうってつけなのが本書です。

 

「なぜ?」の疑問の裏側は、商売の極意や儲けのカラクリの宝庫である。
しっかり分析することで、あなたの明日のビジネスのヒントが得られると説きます。

 

当然ながら、潰れないのには理由があります。
そして、商売が続けられているということは、続けられるだけの”儲け”があるということ。

 

ゆえに、身近にある「なぜ?」を放置しておくのはもったいない。
一歩踏み込んで学ぶことで、目から鱗のアイデアやビジネスの着眼点を得ることができるのだから。

 

著者のそんな想いを感じながら、楽しく読むことができます。
煮詰まっているときの頭の体操に最適な一冊です。

 

◆おもしろい!

駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?
坂口孝則 SBクリエイティブ 2025-4-30
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■【要約】15個の抜粋ポイント

カスタマーロイヤルティの強化は、商売が生き残るために重要です。
結局ビジネスはお金が続けば潰れません。
潰れるのは現金が枯渇するときです。
そこで、もちろん新規顧客を増やすのも大事ですが、同時にすでにつながっているお客との関係を強固にすることが重要です。

 

地方の生花店がアイドルの推し活に使う花に特化することで、顧客のSNS拡散を促し、知名度を高めました。
これに倣って、他のビジネスでも「顧客が他者に伝えたくなる要素」を取り入れるべきです。
みなさんの商品を使って顧客がSNS等で自慢できたり、発信できたりする仕組みを作るのがポイントです。

 

男性アイドルで有名なとある事務所が、コンサートのたびに客席を出身地が同じ人同士にしていたようです。
この意味がわかりますか?
つまり、佐賀県から東京のコンサートに来ていた人が複数人いるとします。
すると、彼女らを隣同士の席にしていたわけです。
コンサートが終わって、帰り道もずっと一緒だと、自然に会話が始まります。
そこでお互いが同郷だとわかると会話が盛り上がる。
そうすれば次のコンサートに一緒に行くようになるでしょうし、ずっと連絡を取るようになって強固なファンダム(=ファンの連携)ができるようになる。
そうすれば男性アイドル事務所の経営もより盤石なものになるでしょう。
それだけ「お客同士の紐帯」はビジネスに重要なんですよね。

 

顧客の声を聞き続けることが鍵です。
お客が的屋に何を求めているのか、かき氷屋でどんな味や形を楽しんでいるのか、スキー場の利用者が夏場に何を期待しているのか。
これを知ることで、より適切なサービスを提供し、新たなファンを獲得できるのです。
常に新しいアイディアを試し、変化する市場に適応することで、季節ビジネスにも無限の可能性が広がるでしょう。

 

日本における高齢化は今後も続いていくので、遺品整理業者のニーズはさらに拡大していくと思われます。

 

重要なのは、顧客との関係性を一度限りの取引ではなく、長期的な関係に昇華していくと決意することです。
現代はデジタルな時代だからこそ、人間味があって、きめ細かなサービスを求めている人は少なくないはずです。
テクノロジーは道具であり、最終的には人間の感情や潜在的なニーズに応える手段ですからね。
商売人は顧客の人生に寄り添うサービスを追求するのが一番です。

 

「古い」と感じるのはそれを知っているから。
(略)、まったく知らない人には新鮮に映ります。

 

今は、みなさんのビジネスで参加者をいかに「自己表現させるか」が重要になる時代です。

 

中小企業でもパンフレットを作ってもらったり、動画を作成・配信してもらったり、どこかのイベントで話してもらうなど、社員に対して積極的に自己表現の場を与える必要があります。

 

銀座のような好立地に進出できる業種がプチプラブランドなのは、実質賃金が伸びない日本の経済の状況を表していますね。
現在は食糧高、さらに円安など、多重の原価高要因に襲われています。
まだまだ100均需要は続きそうです。

 

「大盛り無料」サービスの「無料」とは、文字通りタダというだけの意味ではありません。
長期的な売上や顧客満足度の向上を目指した総合的な経営戦略の一部であり、飲食店が顧客との関係を深めるための重要な手段と考えたほうがよさそうですね。

 

本を読む人口の減少に伴い、出版の市場規模が縮小するのはほぼ自明です。
今こそフリーミアムモデルでガンガンにコンテンツを公開し、読者のメールアドレスを積極的に取得しなければならないのではないでしょうか。
そして出版社ほど有名なビジネスパーソンや学者、実業家などとつながっている会社はありません。
だから読者の情報を有効活用して、ビジネスを展開すべきではないかと私は考えています。

 

私はこれから、会社員たちの定年後の莫大な自由時間を消費するビジネスが花開くと思っています。

 

いつの時代もトレンドへの反動はやってきます。

 

失敗を恐れず、小さくても新しいことを試みる勇気。
人とのつながりを深め、信頼を築き上げる努力。
そして、どんなに困難な状況でも「何かできることがある」と信じる心。
それが商売だけでなく、私たちの生き方そのものを支えてくれるのではないでしょうか。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2182-1】自社の商品に「顧客が他者に伝えたくなる要素」を組み込めないか考える

【2182-2】自社ビジネスを通じていかに「自己表現させるか」の仕組みを考える

【2182-3】「何かできることがある」と考え続けることを常に意識する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?
【著者名】坂口孝則著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2025/4/30
オススメ度★★★☆☆
こんな時にビジネス理論を深めたいときに
キーワードビジネスモデル稼ぐ力発想力
【頁 数】208ページ
【目 次】
第1章 あの駄菓子屋は、儲けが0円なのになぜ潰れないのか?
第2章 あの商店街の傘屋はなぜ30年続くのか?
第3章 地方都市のあの個人経営店は、シャッター街の中でどうやって生き残っているのか?
第4章 街中をうろつくあの軽トラは、どうやって儲けているのか?
第5章 期間限定のあのビジネスは、シーズン以外の時期に何をしているのか?
第6章 メイン通りの一本裏手にあるあの店は、本当に儲かっているのか?
第7章 気になるあの人たちは、どうやって食っているのか?
第8章 お客に嬉しいあの格安サービスで、店は儲かっているのか?
第9章 タイパ時代に、ゆっくりなのにボロ儲けできるあのビジネスの秘密とは?

 

▼さっそくこの本を読む

駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?
坂口孝則 SBクリエイティブ 2025-4-30
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坂口孝則さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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