【シェア読書:454冊目】最貧困女子(鈴木大介)

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【不都合な真実】働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。三つの縁と三つの障害を切り口に、現代社会の最底辺でもがき苦しむ人達の存在をあぶり出す。非現実的な現実世界をあなたに突きつける衝撃の一冊。









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書籍情報
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【書籍名】最貧困女子
【著者名】鈴木大介
【出版社】幻冬舎
【出版日】2014/9/27
【推薦度】★★★★★
【頁 数】213ページ
【目 次】
第1章 貧困女子とプア充女子
第2章 貧困女子と最貧困女子の違い
第3章 最貧困少女と売春ワーク
第4章 最貧困少女の可視化
第5章 彼女らの求めるもの







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なぜこの本を選んだのか?
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・キュレーションしている中で、話題に上っていたから

 

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なぜこの本を読むのか?
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・最底辺と定義する世界がどれだけの現実なのか知りたい

 








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1分間紹介文
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信じたくはないが、信じざるをえない現実。

 

非常に暗澹たる気持ちになる一冊。
時にフィクションのように思え、時に罪悪感で気分が悪くなる、興味本位で読むことはできない衝撃的な内容。

 

一番の問題は、”可視化されていない”ということ。
あまりにも非現実的すぎる!という感情が湧き出ててきて、現実視できない。そこまで、現代社会の最底辺の現実は、あまりに地獄すぎる。
著者ですら、
==(引用)===========
ここで懺悔するならば、僕は逃げたのだ。彼女らを取り巻く、圧倒的な不自由と、悲惨と壮絶から、僕は尻尾を巻いて逃げ出した。そこにあったのは、考えても考えても救いの光がどこにあるのか分からない、どう解決すればいいのか糸口も見えない、そんな、「どん底の貧困」だった。
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と文中で書くほどだ。

 

何を書いても、言い訳を書いているようで吐き気がしてくる。
でも、この現実は自分のすぐそばに横たわっている現実世界であることを、皆が知らなければならない。
だから、紹介する。

 

「一晩ゆっくり休む場所がほしい」
この記事を読むアナタには当たり前の権利すら、奪われている現実。
覚悟して向き合ってほしい。

 

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Key Phrase(15の気に入った一文)
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そもそも貧困とは何か。多くの専門性をもった社会活動家や支援者が貧困の分析をしているので詳しい論証はそちらに譲りたいが、僕なりの考察では、人は低所得に加えて「三つの無縁」「三つの障害」から貧困に陥ると考えている。
※三つの無縁:家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁
※三つの障害:精神障害・発達障害・知的障害

 

頑張ると言っていた翌日に頑張れなくなるのが貧困

 

デフレという言葉が流行語になった時代に「ワンコイン飯」という言葉も現れたが、彼女たちのワンコインは「500円ではなく100円」

 

最大の生活の知恵は「シェア」という感覚だ。彼女の会話の中にはとにかく「友達が」「友達と」と、友達がらみの話が多いのだが、それもそのはず。彼女らの生活は、基本的に地元仲間との「支え合い、分け与え」で成立している。

 

年越し派遣村などを率いた湯浅誠さんが「貧困と貧乏は違う」と発言していたことがある。貧乏とは、単に低所得であること。低所得であっても、家族や地域との関係性が良好で、助け合いつつワイワイとやっていれば、決して不幸せではない。一方で貧困とは、低所得は当然のこととして、家族・地域・友人などあらゆる人間関係を失い、もう一歩も踏み出せないほど精神的に困窮している状態。貧乏で幸せな人間はいても、貧困で幸せな人はいない。貧乏と貧困は別ものである。

 

痛みの大きさも、そもそもその存在自体も、可視化されていない。分かりづらい。一見すれば本人の自己責任にも見えるし、差別や批判の対象となりがちである。以上が、セックスワーク周辺者となった貧困女子が、様々な支援のチャンスや接点をふいにして「最貧困」へと陥っていく所以だ。

 

腹を減らした子供が道を歩いているのを見て「どうしたの?何か食べる?」と言ってくれる大人がいない点で、日本も開発途上国と同じだ。

 

どれほど目を背けたくなることでも、信じたくないような残虐でも、これが虐待という言葉の「具体的な内容」であり、彼女らの身体に刻まれた「証拠」だ。家を飛び出したのは「本人の選択」として「もうちょっと我慢すれば」というような言葉を軽々しく吐く者は、同時に加害者と変わらない

 

子供の頃に好むハイカロリー食を脱出できず、食生活も子供のまま大人になってしまうため、肥満になることが多い

 

「知的障害の作業所で小銭貰うのか、自分の力で稼いでおしゃれするのか?知的障害の子だっておしゃれはしたいし遊びたい」という言葉。重い・・・・・・。

 

ここに自己責任論など、絶対にさしはさむ余地はない。なぜなら彼女らは、その「自己」というものが既に壊れ、壊れされてしまっているからだ。

 

貧困女子というキーワードが広まるにつれ、地方都市を中心として、昼には一般職を持ち週に数回だけ性風俗業でバイトをする女性が増えている

 

確かに彼女らの容姿は、読者モデルでもやれそうな雰囲気だった。彼女らの属する地元のグループの中では、夜職の兼業は「やれる容姿がある」証でもあり、感覚的には周囲から少し羨ましがられるような空気すらあるようなのだ。

 

「あのですね。ユダヤ人と夜職の女は似てるんですよ。どういうことかと言うと、ユダヤ人ってのは、何千年も前から自分の国を追い払われて、どこに行っても迫害されてきた人たちですよね。そういう歴史の中でユダヤの人が見つけたのは、金や土地なんてものは、侵略されたら奪われておしまいってことなんですよ。だから彼らは、他人が奪うことができない知識とか教育とかを、宗教の中にシステムとして組み込んで、一生お勉強って習慣を当たり前にしました。ノーベル賞多いの当たり前ですよね。でもこれ、女と同じなんですよ。女にとって、最後まで奪われない財産ってなんですか?女であることですよね。風俗でトップの子らがどのぐらいの努力してるか知ってますか?ファッション誌全部目ぇ通して、メイク勉強してエステしてジム通いして、そうやって女の子は『誰からも奪われない女力』を磨くんですよ。女が女を磨く理由は、それが保険だからなんです。そうやって頑張ってる子がいるから、店の側も必死にサポートできるんじゃないですか」(デリヘル店長)

 

何よりも求めているのは、ひと時でも良いから何者にも怯えず何者にも自由を奪われずに「ゆっくり寝ることができる場所」。実はこれでしかない。

 

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Take Action(実践ポイント)
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●困っている人には、自分ができることはさせていただく

 

●1日を無事に終われることに毎日感謝して寝る

 

●自分ができることを精一杯やる

 

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今日の一言
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ゆっくり寝る権利だけでも、与えてあげられる社会にしませんか?

 

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編集後記
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本日もここまでお読み頂きありがとうございました。

 

今日も1日終われたことに感謝。
今年も残り10日。
2014年を振り返り、新年を清々しく迎えましょう!

 

以上、本日も本との出会いに感謝し、編集後記とします。
次回もよろしくお願いします!

感謝!米山智裕

 

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今回紹介した本
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最貧困女子
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鈴木大介さん、ずっしりと投げかける一冊をありがとうございます\(^0^)/

 

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読了までの時間
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02時間50分。
通勤電車とカフェでじっくりと。

 








 

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

 

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