【文系と理系のバランスを整えよう】
サイエンス作家・竹内薫氏が、論理的思考の本質や科学観の育て方など、あなたの「理数センス」を養成する方法を、教養講座として公開。なんのための理数センスか、今明らかに!
「文系ですか?理系ですか?」
こう聞かれて、あなたは何と答えますか?
本書は、AIや最先端テクノロジーなど、これからの時代を生き抜く教養として「理数センス」がますます重要になると提起し、どう捉えどう接すればいいのかを紹介する一冊。
まずは、整理してみましょう。
・理系:抽象、相対、客観、論理
・文系:具体、絶対、主観、情緒
このように分類できることが、本書にも書かれています。
ここで、冒頭の質問です。
質問の違和感を、感じていただけるでしょうか。
そう、「私は文系です」「私は理系です」と区分することは無意味なのです。
人のなかには、抽象的な感覚もあれば、具体的な感覚もある。
すなわち、自分の中には文系の要素も理系の要素もあるのです。
要するに、バランスの問題なのです。
自分が文系だと思うのなら、理数センスに触れてバランスを整える。
自分が理系だと思うのなら、近づき過ぎていないか距離感を確認する。
片方の中に安住し、生き残れる時代は終わりました。
バランスを整え、どちらの領域にも適切に判断できる思考を養わなければ、生き残ってはいけないのです。
専門書ではなく教養本です。
楽しみながら読めますよ。
◆理数センス、なかなかにおもしろい。
日本では、文系・理系以外にも芸術系や体育系などと、学生を早々に細々と区分、分類してしまいますが、欧米の人たちには、文学も数学も音楽もスポーツも一体で、「すべてに豊かな素養であってこそ教養人」という「一般教養(リベラルアーツ)」重視の意識が基本にあるのです。
たとえて言えば、目の前にあるのはサクラの木で、その向こうに見えるのはウメの木だったとしても、理系の人は森全体を俯瞰的に見回して、「ここはヒノキの森だ」という本質を見抜き、ヒノキを中心にした森の管理を考えます。
ただ、彼は1本ずつの木を具体的に世話することは下手だったりします。
これに対して文系の人は、1本1本の木の世話は器用にこなし、サクラの木の病虫害なども上手く防いだりします。
が、その森で優先すべきヒノキの計画的な植林や伐採による管理などは考えず、目立つサクラやウメの世話だけに一所懸命になってしまうのです。
●理系的発想法
その1 要点にまとめる
その2 前例の打破
その3 事後調整
その4 コペルニクスの原理
PDCAサイクルは、じつは科学研究の手法と非常に近いもの
理論とは絶対的な真理などではなく「推論」だということです。
だから科学的な思考法とは、「正しい推論の方法」なのだとも言えます。
思考のベース、推論のベースとなる根拠はとても大切です。
そして、確かなものをベースにして、そこから徐々に思考を重ねていく方法の基礎が、皆さんもよく知っている3段論法なのです。
科学技術はあるとき突然に飛躍的な進歩をしたかと思えば、長きにわたって低迷期に入ってしまうこともあるのが普通だということが科学史を追ってみるとわかります。
ガリレオとニュートンは今から何百年も前の人なので、現代人の多くは彼らの発見によるパラダイムをもはやあたりまえに受け入れています。
これを言い換えれば、「彼らの発想が我々の常識と化した」ということです。
想像力の限界が科学にも限界をもたらすのではないかという指摘は、けっして飛躍した意見ではありません。
実際、科学研究は「想像する」ことから始まっています。
「こうではないだろうか?」と想像できなければ、実験しようとか、観察してみようとか、我々はそもそも考えません。
だから、想像力がなければ、科学という営みそのものがなくなり、当然、実験や観察や考察の結果が科学知識として蓄えられることもないのです。
すべてが予想できないとしても、第4次産業革命によって到来しつつある人口知能・ロボット社会に備えるために、そのときには大人になっている現在の子供たちにどのような教育を授けるべきなのか、これは今すぐ検討し、実行していかなくてはならない重要な課題
常識とはいわゆる「暗黙知」なので、人間的な経験を積むこと以外ではこれを鍛えにくく、しかも、論理的には非常に遠い関係にある概念を人間は感性でいとも簡単に結び付けてしまうので、高性能の人口知能でもまだなかなか追いつけないのです。
これから起こることは、すでに人間が通ってきた道です。
人間だけが出来ると思っていたことを、これまで以上に機械にいとも簡単に再現されてしまうようになるのは残念ですが、人工知能やロボットに妙な対抗心を燃やしても、ほとんど意味はないのです。
これまで以上のスピードで、しかも多くの分野で、その担い手に彼らが加わってきます。
あくまで不正を行なったのは「人」で、科学研究そのものは不正な行ないではありません。
それは、悪徳弁護士が法律を悪用したとしても、法律そのものが不正なものではないのと同じで、ここをきちんと区別することが、理数センス獲得への大事なポイントだと強調しておきたいと思います。
どでかい会社をビッグカンパニーと言い、ある分野で名前が通った人のことをビッグネームと言うのと同様に、科学にもいわば”注目される大きな科学”があって、「ビッグサイエンス」と呼ばれます。
巨額の予算、大勢の研究者や技術者、巨大な実験施設や観測施設などで特徴づけられる科学研究のことで、ここ十数年の間だけでも現代科学は急速にビッグサイエンス化しているのです。
科学は、放っておけばますますブラックボックス化するのですから、そうであればこそなおさら、その本質や最新の大きな動向には、専門家以外の私たちも目を配る必要が出てきます。
科学は、専門家に任せっぱなしで良いものではありません。
社会の側にもこれを正当に疑う眼が必要で、その意味でも、日本の発展のためには理系・文系の区別を今こそ捨てるときがきているのです。
【936-1】科学に関する本を読む
【936-2】自分の捉え方が、事実を捉えているのか、解釈が混じっていないのかに常に注意する
【936-3】過度に分類し過ぎない
あなたは1つ。分類される存在ではない。
【書籍名】文系のための理数センス養成講座 (新潮新書)
【著者名】竹内薫
【出版社】新潮社
【出版日】2017/2/16
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】教養、サイエンス、思考
【頁 数】223ページ
【目 次】
第1章 理系と文系の違いを探る
第2章 科学的思考とは何だろうか
第3章 科学はいかに進歩するのか
第4章 最新科学技術の本質を知る
第5章 ビッグサイエンスの時代に
気になったら、今すぐお手元に!
竹内薫さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/
本日もお読みいただきありがとうございました!
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