【書評:1692冊目】捨てられる食べものたち(井出留美)

【食品ロスとは、命を捨てること!】
食品ロス問題ジャーナリスト・井出留美氏が、『捨てられる食べものたち』と題して、食品ロスの現状を紹介しながら、ひとり一人が問題とどう向き合うべきかの心構えを指南する一冊。

■書籍の紹介文

あなたが捨てるゴミ袋。
その中に食品をどれくらい入っていますか?

 

本書は、東京都民1年分の命(食料)を捨てる国、日本の食品ロス問題の深刻さを紹介しながら、問題とどう向き合うべきかの心構えを指南する一冊。

 

日本のフード・マイレージは1人当たり6628トン・キロメートル。
これは、アメリカのそれに比べて6倍という異常さ。

 

日本で発生する食品ロスは年間612万トン。
これは、東京都民1200万人の1年分の食料と同じ。

 

日本の食料問題は、たくさんの要因が複雑に絡んで解決のスピードを遅らせています。
その中でも、一番大きい問題があることに本書で気づきます。

 

それは、「知らない」という問題です。
言葉は知っていても、それが自分の未来にどんな影響を与えるかを大多数の人は知りません。

 

知らなければ、行動を起こすことができません。
問題だと声を上げても、「自分には関係ないこと」と判断してしまいます。

 

ただ言い換えれば、知りさえすれば、行動を起こせ、大きなうねりを起こすことができます。
新型コロナウィルスの自粛生活が好例ですね(罰則のないお願いベースであれだけの行動が起こせたのですから)。

 

まずは、多くの人が食品ロス問題を知ることです。
知ることで、どこかで起こっている問題から自分の問題になります。

 

この動きが広がっていくことで、大きなうねりになっていくのです。
その一歩目が、あなたが本書で知り、理解した上で周りに紹介することです。

 

小さなお子さんでも楽しめるように、かわいいイラストやフリガナもふられています。
親子で一緒に食品ロス問題を考えることも、効果が一層高いものとなるでしょう。

 

これだけの情報化社会です。
「知らないから」と見て見ぬフリすることだけはやめましょう!

 

◆知ることからはじまる。

捨てられる食べものたち
井出留美 旬報社 2020-6-29
売上ランキング(公開時):48,798
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■【要約】15個の抜粋ポイント

地球温暖化などの気候変動の影響を減らすためには、できるかぎりフード・マイレージを低くする努力が必要です。

 

国内には耕作せずに放棄されている農地(耕作放棄地)が42万3000ヘクタールあります(平成27年)。
東京都の面積がおよそ21万8800ヘクタールですから、東京都の2倍近くの農地が耕作放棄地になっています。

 

「プラネタリー・バウンダリー」(地球の限界)という考え方があります。
これは人間の活動が地球にどれだけの影響を与えているかを評価するもので、「種の絶滅の速度」「気候変動」「窒素の量」などは、すでに人間が安全に活動できる範囲=地球の限界を超えるレベルに達していると指摘されています。

 

食文化はそれぞれ異なり、食べられる部分と食べられない部分は国によってちがいます。
そのため食べられるのに捨てられてしまう食品ロスだけを世界規模で正確に算出するのは難しいのが現実です。

 

日本で発生する食品ロスは年間612万トン(平成29年度)。
日本人1人あたり132グラムの食べものを毎日捨てている計算で、まさにおにぎり1個分です。

 

国の調査によると、平成29年産の野菜(41品目)の収穫量約1334万トンに対し、実際に出荷されたのは約1141万トンでした。
生協のパルシステムのレポートでは、「出荷されなかった約193万トンの一部は農家で自家用に消費されたものだが、多くは規格外、余剰分として廃棄されている」としています。

 

食品ロスの46%は家庭から出ています。

 

買い物に行く前はアメをなめたり、ちょっと甘い飲み物を飲んだりして、お腹と気持ちを落ち着かせてから行くようにしましょう。

 

食品業界の「3分の1ルール」が、大量の食品ロスを生んでいます。

 

食品ロスが発生するおもな理由を、「作りすぎ、賞味・消費期限切れ」と答えた食品メーカーが20.5%ありました。

 

奈良の1つのお寺からはじまった「おてらおやつクラブ」は、今では47都道府県に広がり、1454ものお寺が協力してくれるようになりました(2020年5月現在)。
食品ロスをなくすとともに、貧困問題の解決にもつなげている活動です。

 

日本は南北に長く、土地の気候風土に合わせて、バリエーション豊かな食材が作られています。
みなさんの地元の特産品はなんでしょうか。
食への理解を深めることで、食べ残しも減っていくことが期待されています。

 

食べる側だけでなく、作る側になることで、食の見方は変わります。
家でも簡単に栽培できるのは、「豆苗」です。

 

賞味期限はあくまで目安。
少しくらいすぎてもおいしさは変わりません。
すぐ食べるものは賞味期限の近づいているものから買うように心がければ、食品ロスも減っていきます。

 

日本の食料の6割以上が海外からやってくること。
その一方で、日本の耕作放棄地が東京都の2倍もあること。
世界の10人に4人が太りすぎなのに、9人に1人が飢餓状態にあること。
日本と世界には、食料をめぐる数多くの課題があります。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1692-1】地場の食材を積極的に購入する

【1692-2】家庭菜園を経験する

【1692-3】賞味期限の近いものを購入する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】捨てられる食べものたち
【著者名】井出留美著者情報
出版社旬報社
【出版日】2020/6/29
オススメ度★★★☆☆
こんな時に社会貢献を考えるきっかけに
キーワード食生活社会考える
【頁 数】120ページ
【目 次】
1章 「食」についての驚きの現実
2章 食品ロスはなぜ生まれる?
3章 食品ロスを減らすには
4章 私たちにできること

 

この本が、あなたを変える!

捨てられる食べものたち
井出留美 旬報社 2020-6-29
売上ランキング(公開時):48,798
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井出留美さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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