
【宗教を通して社会をみるという視点】
ライフネット生命創立者・出口治明氏が、『世界は宗教で読み解ける』と題して、人類を形作ってきた宗教の歴史を解説しながら、宗教を通して世界の動きをみることの意義を指南する一冊。
■書籍の紹介文
宗教という側面から日々の社会情勢を見る。
あなたはその視点をお持ちですか?
本書は、宗教という概念こそが古代から現代まで脈々と続く人類社会を形作ってきたと提起し、だからこそと、宗教を通して世界の動きをみることの重要性を説く一冊。
宗教に関して無関心。
しばしば、日本人は自分たちの社会をこう捉える傾向にあるといわれます。
ただ一方で、さまざまな宗教に根ざしたイベント(正月、Xmasなど)を自然に受け入れているのも事実です。
つまり、宗教という意識がないだけで、宗教の影響を多大に受けた社会をわたし達は生きているといえます。
では何故、わたし達人類は「宗教というものを生み出したのか」。
この極めて根源的なことを追求することで、自分が生きる社会を見る目をより深く鋭いものにできるのではないか。
より深く考えられるようになる人が増えることで、より良い社会への一助になるはずだ。
そのような思いからしたためられたのが本書です。
ときに人を救い、ときに人を争わせ、ときに人を進歩させる宗教。
世界には異なる歴史を生きるさまざまな人が存在するのに、どうして形は違えど皆「宗教」という共通項を持つのか。
その歴史を紐解きながら、宗教と社会の関係性を主要な地域ごとに解説していきます。
宗教を単体で学ぶのではなく社会情勢とリンクさせながら紐解く試みは、個人的に飽きが来ず最後までペースを落とさず読めました。
宗教という単語だけで遠ざけてしまう方もいるでしょう。
しかし、否応なくわたし達は宗教の影響を受けた社会を生きています。
であるならば、腰を据えて宗教と社会の関係性を理解しておくことは有意義だとおもいます。
インバウンドや移民が増える現在、読んでおきたい一冊です。
◆なるほどね!な一冊。

世界は宗教で読み解ける
出口治明 SBクリエイティブ 2025-4-30
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■【要約】15個の抜粋ポイント
ドメスティケーション(狩猟採集生活から農耕牧畜社会への移行)は単なる生活様式の変化にとどまらず、人間の思考様式や社会構造にまで大きな影響を与えます。
農耕の命運を左右するのは天候です。
また、農場や家畜は、ほかの生物に常に狙われてもいます。
そうするとなんとかして「自然を支配したい」という欲求が発生します。
ひいては目の前にある森や海、川、動物などだけでなく、「自然界の原理・ルール」という抽象的なものまでも支配しようとする試みに発展していきます。
おそらくここから「神」という概念が生み出されたのです。
「時間」の概念が「最後の審判」という思想の誕生に影響を与えた。
直線的な時間の終わりに、神が世界を裁くーーこの発想がさまざまな宗教の「救済」の考え方をかたちづくり、人々の心に深く根付いていきます。
ゾロアスター教は人類初の「世界宗教」とも言われ、古代ペルシア、現在のイラン高原北東部で生まれた宗教です。
世界宗教とは、人類や民族を超えて世界規模で思想が広がり、さまざまな国・地域で信仰されている宗教のことです。
ザラスシュトラ(英語名:ゾロアスター)の教えは、アーリア人の民族信仰を基にしており、その教義は非常に論理的かつ明快でした。
ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教など後世の一神教にも大きな影響を与え、これらの宗教は、天地創造や最後の審判、天国と地獄、洗礼の儀式など、ゾロアスター教から多くを学んだとされています。
ゾロアスター教21世紀初頭現在、世界で約13万人と推定されており、7万5000人ほどがインド在住、イラン周辺に3万人から6万人と目されています。
インドではゾロアスター教の信者にはタタ財閥をはじめ経済的な成功者が複数いることで知られています。
「時間をいかに捉えるか」は人類にとってはきわめて重要な問題であり続けています。
「自然の円環する時間」と「人生を支配する直線の時間」というふたつの時間概念は、人類の思想や宗教の発展に深い影響を与え、現代に至るまでわれわれの世界観をかたちづくる重要な要素となっているのです。
人々が「これこれこんなことをしてしまいました。許してください」と教会で秘密を話して懺悔するのですから、教会には個人的な悩みから政治的な動向まで、あらゆる情報が集まるようになりました。
これが民衆の支配・監視ツールとして機能するのです。
ローマ教会はひとつの大きな流れですが、決してキリスト教全体を代表するものではありません。
いわゆる「イスラーム原理主義」がたびたびニュースに取り上げられます。
その台頭の背景のひとつには「ユースバルジ」の問題があります。
ユースバルジとは、人口構成において若年層が突出して多い状態を指す言葉です。
若者が成長し、労働市場に参入する時期に既存の経済システムが彼らを吸収しきれなかった場合、失業率が上昇し、多くの若者が安定した職を得られない状況に陥るからです。
不満が限界値を超えれば爆発し、社会的な事件につながります。
(略)
この不満の受け皿となっているのが過激なイスラーム原理主義組織です。
こうした組織は、往々にして現代社会の問題の原因を西洋化や世俗化に求め、イスラームの教えに立ち返ることで解決できると主張します。
歴史的に見ると、仏教僧侶が政治や社会変革に関与した例は少なくありません。
たとえば、20世紀のベトナム戦争時には多くの僧侶が反戦運動を展開し、世界的な注目を集めました。
禅僧であるティク・ナット・ハンはのちの「マインドフルネス」に多大な影響を与えたのみならず、平和を求める社会参画仏教(行動する仏教)の活動でも著名です。
いまの日本人の多くは、東南アジアの仏教ナショナリズムや政界へ深く関わる高僧を見ると、「仏教徒が俗世の政治に関わるなんて」「仏教には不殺の教えがあるのに」などと思いがちです。
でも近代日本でも仏教思想、仏教団体はほかの宗教勢力や政権、軍との緊張関係もあるなかで、自らの生き残りをかけて深く政治に関わってきました。
現代中国は、表向きは共産主義、その実態は儒教的な価値観が残る、「建前の共産主義、裏の儒教」と言えます。
アフリカの経済発展とキリスト教の成長は密接に関連しており、教会が社会サービスや教育の提供で重要な役割を果たしている地域も多くあります。
対照的にヨーロッパでは教会の社会的影響力の低下が続いています。
あるいはいずれアメリカの外交政策において、アフリカのキリスト教徒の利益がより重要視されるようになる日が来るかもしれません。
日本では伝統的に、多くの人々が特定の宗教に属していると自認しない傾向がありますが、さらに強まる可能性があります。
(略)
また、移民の増加に伴い、イスラーム教やヒンドゥー教など、これまで日本では少数だった宗教の信者がやや増加する可能性もあります。
多様化する社会において、宗教リテラシーの重要性は高まる一方で、宗教教育のあり方が議論になるでしょう。
■【実践】3個の行動ポイント
【2186-1】自分の家系における宗教・宗派を確認し理解を深めておく
【2186-2】近代日本の政治と宗教の歴史について勉強する
【2186-3】主要な宗教について、それぞれ基礎教養的な書籍を1冊読む
■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】世界は宗教で読み解ける
【著者名】出口治明
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2025/4/30
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】教養、社会、宗教
【頁 数】288ページ
【目 次】
はじめに 宗教を知れば、世界がわかる
第1章 宗教はどのように生まれたのか?
第2章 宗教がアメリカの政治で絶大な影響力を持つわけとは?
第3章 資本主義の原型をつくった予定説とは?
第4章 原理主義台頭の背景にあるユースバルジとは?
第5章 ヒンドゥー・ナショナリズムとムスリムの緊張関係とは?
第6章 東南アジアにおける社会運動と仏教の関係とは?
第7章 中国共産党と儒教の関係とは?
第8章 世界の宗教勢力図はどのように変わっていくのか?
▼さっそくこの本を読む

世界は宗教で読み解ける
出口治明 SBクリエイティブ 2025-4-30
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出口治明さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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